国内販売が開始されたGPD Pocket2をレポート!

リンクスインターナショナルが都内にて「新製品発表会」を10月26日に開催し、OSにWindows10 Home (64bit)を採用したGPDの新型ウルトラモバイルパソコン(PC)「GPD Pocket2」の国内販売を発表しました。

同製品はすでに11月上旬より販売が開始されており、市場価格は8万~9万円程度。全国のビックカメラ、ヨドバシカメラ、ツクモ、ソフマップ、コジマほか、Amazon.co.jpなどのオンラインショップでも販売されています。

かつてはモバイルデバイスの華とも呼ばれた手のひらサイズのウルトラモバイルPCですが、現在では処理性能の問題や画面解像度および視認性の実用度などから同カテゴリーの製品が非常に少なく、選択肢の極端に少ない状態が続いています。

その中にあってGPD Pocket2は7インチWUXGA(1920 × 1200ドット)液晶の広い画面領域や第7世代Core-m3の採用、余裕のある8GBのメインメモリー(RAM)など、小型であっても十分に活用できるだけの性能を確保した納得できる仕様に仕上がっています。

発表会場にて本機に触れる機会がありましたので、写真とともにご紹介します。

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GPD Pocket2は前機種から何が変わった?


■大幅に向上した処理性能と豊富な外部接続端子類
本機はその名の通り前身の機種として「GPD Pocket」があります。GPD Pocketも7インチ・WUXGA(1920 × 1200ドット)の液晶ディスプレイを備えたウルトラモバイルPCですが、CPUやメモリー周りは大幅に強化されています。

GPD PocketではCPUにAtom x7-Z8750(1.60GHz、バースト周波数 2.56GHz)を採用していましたが、本機ではCore-m3-7Y30(1.00GHz、ターボ・ブースト時 2.60GHz)を採用することで、マルチコア性能で約2倍も処理性能が向上しました。

またeMMCを採用している内蔵ストレージも性能向上が図られており、読み取り・書き込み速度はシーケンシャルアクセスで2倍以上、ランダムアクセスで1.5倍~2倍程度も高速化されています。

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処理性能の向上は何よりも嬉しい


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ストレージ速度もモバイルマシンでは非常に重要な要素


処理速度が向上したことで気になるのは発熱やバッテリー持続時間ですが、低消費電力が最大の売りであるAtomを採用していたGPD Pocketでは公称約12時間だった連続駆動時間は、本機では8時間と若干短くなっています。

ですが実利用上で不便するほどの時間の短さではなく、むしろCPUやストレージの高速化に伴い各種作業が高速化されることで、実際の利便性はかなり向上しているものと思われます。

内蔵ストレージ容量は変わらず128GBとなっており、増設や換装ができない仕様となっていますが、本機では新たにmicroSDカードスロットが追加されているため、より多くのデータを持ち歩く際にはmicroSDカードを利用すると便利でしょう。

このほか、USB 3.0 Type-A × 2基、USB 3.0 Type-C (PD2.0対応) ×1基、イヤホンマイク対応ジャック ×1基と豊富な外部接続端子類を備えています。バッテリーの充電及び本体への給電にはUSB 3.0 Type-C端子が用いられ、本機をモバイルバッテリーとして利用しスマートフォン(スマホ)などを充電することも可能です。

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左側面にUSB 3.0 Type-A、イヤホンマイク対応ジャック、microSDカードスロットが並ぶ


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右側にUSB 3.0 Type-C、USB 3.0 Type-Aが並ぶ


■ポインティングデバイスの配置から見直した新しいキーボード
もう1つの大きな改良点がキーボードです。前機種のGPD Pocketも小さな本体ながらタッチタイプも可能な使いやすいキーボードを備えていましたが、本機ではポインティングデバイスとして光学式センサーを採用。キーボード中央にスティックタイプのポインティングデバイスがあった前機種よりもさらに打鍵が容易になりました。

光学式ポインティングデバイスはキーボード面右上に配置されており、またマウスの左右クリックに相当するキーをキーボード面左上に配置することで、ゲームパッドのように両手で持って利用しやすくなっています。

これは同社のゲーム特化型ウルトラモバイルPC「GPD WIN」シリーズで培ったゲームパッド配置にヒントを得たとのことで、一般的なノートPCのようにテーブルや膝の上で使うのではなく、立ったままでも両手で使うことを想定したウルトラモバイルPCならではの良発想と言えます。

もちろんディスプレイにもマルチタッチ対応のタッチディスプレイを採用しているため、画面を触って直接操作することも可能です。ディスプレイガラスにはゴリラガラス4を採用しており、強度面にも配慮されています。

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筐体のフットプリントは大差ないが、キーボード面に大きな変更が加えられたGPD Pocket2(左)


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キー配置は若干癖があるが、よく使うキーが大きくタッチタイプは十分に可能だ


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光学式ポインティングデバイスは押し込むことで左クリックとしても利用できる


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右手でポインターを操作し左手でクリックする感覚は慣れるととても使いやすい


またポインティングデバイスが並ぶ列には冷却ファンの動作調整キーや音量調整キー、画面輝度調整キーなどが並んでおり、利用シーンに合わせて瞬時に動作状況を変更できるのも大きなポイントです。

冷却ファンの動作調整では、ボタン1つでファンを停止させファンレス駆動で静音性を高める「ワンボタンファンミュート」機能があります。本機能を利用すると動作速度(処理性能)は下がりますがほぼ無音での利用ができるため、図書館など静かな場所でも安心して利用できます。

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ゲームパッドを備えた「GPD WIN2」(右)との比較


本体の厚みも前機種の18.5mmから14mmへと薄くなっており、本体下部のエッジを側面にかけて緩やかにカーブさせて薄く削り込んでいるために持ちやすく、さらに薄い印象を与えてくれます。

ヒンジ部にも改良が加えられており、前機種よりも更に大きく開口するようになりました。

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GPD Pocket(下)との比較。GPD Pocket2(上)はディスプレイ背面のパネルも側面を僅かに削りこんであり、画面の開閉がしやすくなっている


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GPD Pocket2(手前)はディスプレイ面が大きく開口するように改良された


■小さいだけじゃない、実用性を新たに手に入れたGPD Pocket2
前機種のGPD Pocketが登場した当時、ライバルとなるウルトラモバイルPCがほとんど存在しなかったことから、多少の性能の低さは妥協しつつ唯一無二的なデバイスとして珍重された雰囲気がありますが、GPD Pocket2では本格的に実用性や快適な動作性能を追求してきた印象です。

リンクスインターナショナルの担当者は「背面がかなり熱くなるため両手持ちでは実用的ではないかもしれないが」と前置きしつつも、動作の比較的重い弾幕シューティングゲームの動作デモなどを行い、非常になめらかに動作する様子を紹介しました。

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ちょっとしたゲームなら十分に遊べるポテンシャルを持っている


片手で持てるコンパクトサイズにPCとしてのテイストと性能を凝縮した本機は、8~9万円という価格も含めてモバイルデバイスとして大きな魅力を放っています。

とくに本機の重量が500g程度しかなく、さらに6,800mAhの容量を持つモバイルバッテリーとしても機能する点はモバイラー視点では非常に大きなメリットであり、モバイルバッテリーと簡易的なモバイルPCを持ち歩くならこれ1台で済ませるという選択肢もあります。

モバイルシーンでのメインマシンとしてのPCではなく、「ポスト・スマホ」マシンとしてのGPD Pocket2という選択肢は大いにアリだと感じます。

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モバイルデバイス好きの心をくすぐるマシンだ




記事執筆:秋吉 健


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