みんな気になる!?QWERTYキーボード搭載スマホ「F(x)tec Pro1」を使って気が付いたアレコレ

最近のスマートフォン(スマホ)として非常に珍しいスライド式QWERTYキーボードを搭載したAndroidスマートフォン(スマホ)「F(x)tec Pro1(型番:QX1000)」(FX Technology製)が日本にてリンクスインターナショナルから7月11日より販売されています。SIMフリーモデルで、価格は89,900円(税抜)。

日本では横スライドタイプのQWERTYキーボード搭載モデルとしては本当に久しぶりのスマホで(先日紹介したPlanet Computers製「Cosmo Communicator」は通話機能をサポートしているものの、製品ジャンルとしてはコミュニケーターという位置付けですし、何よりスライド型ではなくクラムシェル型)、スライド式キーボードを収納した状態では普段使いできる一般的な板状のAndroidスマホとしても使えますし、スライドさせてキーボードを出して横持ちで使ってもどちらでも快適に利用できるのが魅力となっています。

そんなF(x)tec Pro1をリンクスインターナショナルにお借りしており、前回は外観やプリインストールアプリなどを紹介しましたので、今回は本機を実際に使って気に入った点と気になった点を併せて紹介しつつ、実際にしばらく使ってみた感想をお送りしたいと思います。

【実際に使ってみて気に入った点】

○やっぱりQWERTYキーボードはイイ!

前回にも紹介したようにQWERTYキーボードはバックライト搭載かつ一部の記号キーなどは独立していてキー数も豊富(5列66キー)となっているほか、「Shift」や「Ctrl」キーが2つ(スペースキーを中心にして左右に各1つずつ配置されている)ずつあり、テーブルに置いての利用はもちろん、立ったまま両手に持っての操作もバッチリ使えます。
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何にも増してキーを実際に押すという快感と歓びがそこにはあります


キーが若干クセのある配置となっていますが、慣れるとサクサクと入力可能です。すべてのアルファベットキーと数字キーにショートカットを設定可能なのもグッドです。そして何よりキーを実際に押せるクリック感のある幸せは、通常のスマホでも予測変換などでいかに早く入力できるようになったとはいえ、格別です。

○多数のIME(文字入力)アプリに対応している

これも前回の紹介記事でも触れていますが、プリセットされている文字入力(IME)アプリは「Gboard」ですが、他にGoogle Payストアから「Google日本語入力」(Google製)や「ATOK」(ジャストシステム製)、「Wnn Keyboard Lab」(オムロンソフトウェア製)のほか、筆者が試したところでは「Microsoft SwiftKeyキーボード」(SwiftKey製)も利用できました。

一方、筆者がシェアウェアの中の購入済のものでは「FSKAREN」(富士ソフト)での利用は挙動が怪しく、まったく入力できなくなったり、アプリがクラッシュして落ちたりするなど、アプリそのものがハードウェアキーボードに対応していないようでした。

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使い慣れたIMEアプリをセットして快適な文字入力が可能

これについて富士ソフトに問い合わせたところ、「物理キーボード搭載のAndroid製品はサポートしていない」という回答がありましたので、ハードウェアキーボード搭載スマホに対しては公式に非対応という認識で良さそうです。

ただし、富士ソフト側からは「ハードウェアキーボード搭載のAndroid製品が安価に数が出回るようになったら、改めて対応したい」という内容も含まれていましたので、個人的には今後に期待したいところではあります。

こうしたさまざまな文字入力アプリに対応しているということで、アプリごとに日本語入力とアルファベット入力の切替方法が異なるため、そこをフォローした主な日本語入力アプリの対応表を記しておきます。

<「F(x)tec Pro1」における主な日本語IMEアプリの対応表>
アプリ名提供者対応状況入力切り替え操作備考
GboardGoogle(キーボード設定で日本語とQWERTY配列のアルファベット)を追加した状態で「Shift」+「Space」2回プリインストール
Google日本語入力Google「Shift」+「Ctrl」無料
ATOK(買い切り版)ジャストシステム「Alt」+「Space」1,720円
Wnn Keyboard Labオムロンソフトウェア「Shift」+「Space」無料
Microsoft SwiftKeyキーボードSwiftKey画面内右下の丸いアイコンをタップする無料
Simeji - 日本語文字入力バイドゥ「Shift」+「Space」無料(アプリ内購入あり)
アルテ日本語入力キーボードUmineko Design切り替え不可(他のIMEを簡単に呼び出し可能で、この機能をもって代用)無料(アプリ内購入あり)
FSKAREN富士ソフト×利用不可980円
※2020年9月時点(今後のアップデートなどで対応する可能性あり)

○コンテンツ試聴にも向くステレオスピーカー&ディスプレイ

横向き時に本機を置くと、ちょうど左右にスピーカーがくるため、動画や音楽の視聴(聴取)に向いているというのは前回の記事でも触れていますが、それに+αのポイントとして、ディスプレイがAMOLED(有機EL)ディスプレイであることが挙げられます。

通常の液晶ディスプレイと比べると動画の視聴などにアドバンテージがあるため、コンテンツ試聴用としても悪くなく、視野角も広いので手に持ってキーボードで文字入力する際にも利用者自身の作業しやすい角度で手に持って利用できます。

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実は有機ELディスプレイのキーボードスマホは非常に珍しい


○普段使いにも十分についていけるスペック

基本スペックとしてはQualcomm製「Snapdragon 835」(チップセット(SoC)オクタコアCPU:2.45GHz+1.9GHz)や6GB内蔵メモリー(RAM)、128GB内蔵ストレージなどとなっており、SoCこそ数年前のものですが、そこは型落ち(現在のハイエンド向けSoCは「Snapdragon 865」や「Snapdragon 865 Plus」なので、およそ3世代分の旧版)でもハイエンド向け、よほど処理の重い設定でゲームアプリなどをやろうと思わなければ、まだまだしばらくは余裕で使っていける性能となっています。

○HDMI接続で画面出力が可能

市販のUSB Type-C画像出力ケーブルを利用したオルタネートモードによる外部画面出力に対応しており、モニターやプロジェクターなどのHDMIやDisplay Portなどへケーブル接続することで、F(x)tec Pro1の画面をそのまま表示させることができます。

F(x)tec Pro1で作成・編集した帳票や動画・写真などを手軽に大画面へ出すことが出来るのでビジネス用途はもちろん、プライベートユースにも活用できるのではないでしょうか。

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家族で動画を見たり、大画面で作成したファイルの見直しなど幅広く活躍できる機能ではないでしょうか


【実際に使って気になった点】

○カメラアプリが誤動作する

F(x)tec Pro1標準のカメラアプリ起動時に、フォーカスを併せるために画面内をタッチしたところ、突然カメラの設定画面に飛ぶ現象を何度か確認しています。

気になった点というよりもバグのような挙動で、もしかすると本当に本機は「Snapdragon Camera」をプリセットしたのみで、調整不足な可能性があります。(サードパーティ製のカメラアプリではそういった挙動は見られず)

○キーボードオープン時、ディスプレイのチルトの角度が変更できない

本機はスライドでキーボードを引き出すとディスプレイ側が持ち上がる機構になっているのですが、キーボードの水平に対して、画面側の角度は固定なので、水平に持っての利用はできません。W-ZERO3やXperia Proなどのような画面に対してまっすぐにキーボードを出した状態にはならないため、人によっては気になるかもしれません。

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傾きのあった方がいいという人ももちろんおられると思うので、あくまでも個人的な……という点です。(画像内右側の赤いのが「Xperia Pro」)


○一部のアプリでキーボードを引き出した状態でも強制的に縦画面となるアプリがある

ぶっちゃけてしまうと、FacebookやInstagramなどの一部アプリにて投稿を行おうとすると、キーボードを出した状態でも強制的に縦画面へ戻ってしまい、QWERTYキーボードでの文字入力が非常に不便になってしまうというものです。

とはいっても、ひと手間かかるものの解決方法があり、「Rotation Control」などの画面回転を制御するアプリをインストールして、画面方向を固定化してしまえば解決します。なお、簡単に解除もできるので、必要に応じてオンオフは切り替えられます。

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対策なしで、横画面モードでFacebookを投稿しようとするとこんな感じに……

アプリ側がこういった製品の利用を想定していないのか、F(x)tec Pro1側の仕様なのかはわかりませんが、特別な対策が必要なく快適に使えると、なお嬉しいのですが……。

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画面回転制御アプリを使用すれば解決できる問題ではある


まとめ:希少なスライドキーボードスマホとして要チェック

一部の機能での挙動や動作・仕様に足りないと思われる部分もないわけではありませんが、それを補ってなお余る“物理QWERTYキーボード入力の楽しさ”があります。気になった点のいくつかはソフトウェア面で解決できそうな要素も多々あるので、今後のアップデートにも期待したいところです。

キーボード搭載という変わり種ながらメインスマホとしても十分についていける性能も備えたF(x)tec Pro1。使う人を選ぶ個性の強いスマホではありますが、是非、一度手に取って試して欲しい1台であることは間違いありませんよ!

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魅惑のQWERTYキーボード端末の世界。変態先駆者のユーザーたちが手ぐすね引いて待ってますよー






記事執筆:河童丸


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