KDDIがヘリコプター基地局の実証実験に成功!

KDDIとKDDI総合研究所は21日、災害時にヘリコプターを携帯電話の基地局(以下、ヘリコプター基地局)として活用し、携帯電話サービス「au」の商用網を通じて離れた場所にいる人との通話やデータ通信などを可能にする通信手段確保の実証実験を2021年1月15日に実施して成功したと発表しています。

これにより、実証実験で得られた知見をもとに両社では今後、国や自治体と連携しながら災害時におけるエリア復旧や救助活動への活用をめざしていくとのこと。なお、実証実験は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」として2018年度から受託して実施したものだということです。

02

ヘリコプター基地局はヘリコプターに小型・軽量化した携帯電話の基地局を載せて上空から電波を発射し、携帯電話エリア外の一部をエリア化する取り組みです。KDDIおよびKDDI総合研究所では1月15日に鹿児島県薩摩川内市鹿島町(下甑島中ノ浦港)にてこのヘリコプター基地局の実証実験を実施。

実証実験ではヘリコプター基地局と車載型・可搬型基地局を接続することによってヘリコプター基地局のエリアからau商用網への通信を確保し、離れた場所にいる人への通話やメールなどを可能にし、加えて、エリア化された範囲内ではヘリコプター基地局の移動管理機能によって携帯電話から発信される電波を補捉して携帯電話の在圏状況の確認や位置推定も行ったとのこと。

03

<実施内容>
1)ヘリコプター基地局が他の携帯電話の基地局に与える電波干渉の調査
2)携帯電話の通信(通話・SMS)、インターネットサービス接続の可否確認
3)通信可能エリアの調査
4)ヘリコプター基地局による携帯電話の捜索

これにより、災害時や船舶遭難時などに陸上や海上から携帯電話が使用困難な状況においても地形や構造物の電波遮蔽に影響されず、被災者の携帯電話の位置推定と通信エリアの構築を実現することができ、国や自治体からの救助要請などに迅速に対応することが可能となるということです。

04

今回用いられたヘリコプター基地局は無線設備およびモバイルコア設備の総重量を約7kgまで小型化・軽量化し、人がバッグを担いでヘリコプターに搭乗できるようにしており、直径約2kmの範囲をエリア化します。また車載型・可搬型基地局を介してLTEバックホール回線と接続することにより、au商用網と接続が可能になり、日常的に利用している携帯電話サービスを利用することが可能です。

さらにヘリコプター基地局へ接続する携帯電話からその位置(GPS)情報を取得することができるようになっています。なお、実証実験ではKDDIがヘリコプター基地局の企画・実用化検討、実証実験の推進、KDDI総合研究所がモバイルコア設備の小型・軽量化、実証実験の推進、実用化検討を行ったということです。

05






記事執筆:memn0ck


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
災害時のヘリコプターの基地局化実証、au商用網を活用した通信確保に成功~ヘリコプター基地局のエリアからどこへでも、誰とでも通話・メールなどが可能に~