スマートタグについて考えてみた!

みなさんは忘れ物をしたことがあるでしょうか。「忘れ物をしたことがない人なんていないだろ!」と憤慨されそうですが、筆者は子供の頃から忘れ物が酷く、小学校時代にはほとんど毎日のように何かしら忘れ物をし、先生に叱られてばかりでした。

筆者の場合、そんな自身の忘れ物の酷さを痛感したことから高校時代以降は工事現場の安全点検のように指差し確認で持ち物をチェックするようになり、その後は酷い忘れ物をあまりしなくなりました。特にスマートフォン(スマホ)や財布など、非常に重要なものは気にし過ぎではないかというほどに何度も確認する癖がついています。

そんな忘れ物に関してAppleが4月23日に「AirTag(エアタグ)」という忘れ物防止タグ(以下、スマートタグ)を発表し、同30日に発売しました。このスマートタグというのは数年前から密かなブームアイテムとなっているものですが、いよいよ満を持してAppleから発売されたといった流れです。スマートタグが流行ったのも、恐らく筆者のように忘れ物を頻発する人が多かったという証左でしょう。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はスマートタグへの人々の関心度とともに、その有用性と利便性について解説します。

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AppleのAirTagは1個3,800円から


■忘れ物対策、万全ですか?
はじめに、人々がどの程度忘れ物をし、どの程度対策を行っているのか見てみましょう。

MMD研究所が4月に行った「AirTagと忘れ物に関する調査」によると、「忘れ物をしたことがあるもの」のトップ3は「スマートフォン」、「財布」、「鍵」となっています。

これだけでは普通過ぎて「そうだろうなぁ」という感想以外とくに何も出てこない調査データではありますが、それ以外の項目を見ると、「腕時計」や「アクセサリー」といったものと紛失の割合ではあまり差がないものの、「忘れ物をしたことがあるもの」としてスマホや財布、鍵を挙げている人が有意に多いことが分かります。

腕時計やアクセサリーは基本的に一度身に着けると外出先では外さないことが多く、紛失のリスクも低いということかもしれません。

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忘れ物だらけの筆者としては、スマホや財布などを忘れたことがないという人が半数もいることに驚いた


では、人々が「忘れ物をしないためにしていること」はどんなことでしょうか。

筆者のように出かける前の持ち物チェックなどを行っている人はどの世代でも40~50%前後で、心がけとして世代を問わず定着している感があります。そのほか、「事前に準備をしておく」、「時間に余裕を持つ」なども高い数字となっており、物事を行う際の準備の大切さを感じます。

そのような中で忘れ物対策のトップとなったのは「決めた置き場所に置く」でした。朝起きたら鍵がない。どこに置いたか思い出せない。こういった経験は、多くの人が身に覚えのあることでしょう。

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「決めた置き場所に置く」人が加齢とともに増えていくのは、忘れっぽくなるからかもしれない


■「保険」としてのスマートタグ
決めた場所に置くよう心がけたり、出かける前の持ち物チェックを忘れずに行ったとしても、どうしても忘れ物をする時はあります。とくに、出かける前の準備やチェックは入念でも、出かけた先での忘れ物はなかなか防げません。

友人との談笑に夢中になって忘れる、レストランで一息ついて忘れる。洗面所に忘れる、仕事で多忙になり忘れる……。書き上げるだけで自分の過去の失敗をいくつも思い出し、なんとも複雑な心境になります。

だからこそ、スマートタグがブームになるのです。

スマートタグとは「忘れても大丈夫」というものではありません。飽くまでも「忘れた時に無くさないための保険」であり、万が一への備えです。

AppleのAirTagが発売されるまでにも数多くの製品が登場していますが、その種類が爆発的に増えたのは、やはりスマホ(スマホアプリ)との連携や低消費電力の通信規格が普及し始めてからです。

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Amazon.co.jpなどのオンラインショップで検索すれば山ほどヒットする


スマートタグは、基本的に通信方式としてBluetoothを採用しています。

Bluetoothは近距離無線通信規格であり、その伝送距離はワイヤレスイヤホンのように音楽データの場合は10~15m程度ですが、忘れ物防止タグのように非常に小さなデータを断片的に送信すれば良いだけのものなら50~60m程度は通信可能です。

とくに、Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE、BLE)に対応した製品は消費電力が低く、さらに複数のBLE対応製品を同時に運用できるというメリットもあり、数多くの安価な製品が多数発売されています。

機能としては、Bluetoothの通信範囲内にある場合なら定期的に通信を行って位置情報を更新するほか、万が一通信範囲外まで離れてしまった場合はアラームやスマホへの通知などで警告するという機能が一般的です。

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スマートタグブランドとして大きなシェアを持つ「MAMORIO」シリーズ


Bluetooth方式の弱点は「スマホがないと探せない」点です。基本的にスマホとBluetooth通信を行うことによって位置を特定しているため、ユーザーがスマホと一緒に持ち歩いていなかったり、スマホごと置き忘れてしまった場合は意味がありません。

製品によってはスマホアプリ以外にPCアプリなどからも位置を特定できるものがあります。これはスマホのGPS機能と連動させ、スマートタグが最後に検知された場所をスマホのGPS情報とともに記録することで可能にしています。

また、AppleのAirTagでは、自分以外のスマホ(iPhone)とも通信を行い、非常に高度な位置特定を行います。この場合、プライバシーなどへの影響が懸念されますが、Appleは「他人が通信情報や位置情報を覗くことも通信自体を把握することもできない」として、その安全性をアピールしています。

iPhoneのシェアが大きな日本においては、「他人のiPhoneも位置特定に利用できる」というAirTagのメリットはとくに大きいと言えます。上記のように通信しているスマホがないと位置を特定できないのがスマートタグの弱点であるため、その弱点が解消もしくは大きく軽減されることになるからです。

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スマホ本体とOSの両方を一貫生産しているメーカーならではの強力な機能だ


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AirTagはiPhoneに標準で入っている「探す」アプリで簡単に見つけられる

■まずは気軽に導入してみよう
このように、忘れ物防止の救世主として存在しているようなスマートタグですが、再びMMD研究所の調査データに目を通せば、AirTagに対して興味がある(とても興味がある、を含む)と答えた人は、iPhoneユーザーで47.7%、Androidユーザーでも29.3%もいます。

また、AirTagに興味がある人々の中では、購入もしくは購入したいと考えている人は23.2%、購入を検討している人も含めれば71.5%もいます。

前述の「忘れ物をしたことがあるか」という調査データの数値と併せて考えるならば、過去に忘れ物で痛い目に遭ったことがある人ほどスマートタグへの関心や興味が高いように思われます。

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正直、筆者も欲しい


スマートタグに難点があるとしたら、定期的な電池交換や買い替えを必要とすることくらいでしょうか。

一般的に電池交換が可能なタイプはランニングコストの面で有利ですが、電池交換ができないタイプは財布に入れやすいカードタイプであったり、キーホルダー型でも小型・軽量であったりと運用性の面でメリットがあるため、用途に応じて使い分けるのがポイントです。

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4月に発売されたカードタイプの「MAMORIO CARD」はワイヤレス充電方式。1回の充電で最大6ヶ月間利用できる


昨今はコロナ禍によってあまり外出しなくなり、忘れ物をするという感覚すら忘れそうな毎日ですが、まさにそんな時だからこそ、久々の外出でうっかり忘れ物をする、などということは十分考えられます。

前述したように、スマートタグは忘れ物をしなくなったり忘れ物をしても大丈夫という道具ではなく、忘れ物をした時に「見つけやすくするための保険」です。

「私は忘れないから必要ない」と自分の記憶力を過信せず、ちょっと高いお守りだと思って買っておくのも良いかもしれません。少なくとも、筆者には必携のデバイスであるように感じる今日この頃です。

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常に持ち歩く大切なものにこそ、お守りは必要だ


記事執筆:秋吉 健


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