楽天グループが2022年度第2四半期決算説明会を開催! |
楽天グループは10日、オンラインにて「2022年度第2四半期決算説明会」を開催し、2022年度第2四半期(Q2)における連結業績では売上収益が2桁増収でQ2として過去最高の4,565億円(前年同期比+13.5%)を計上し、楽天グループの国内平均月間アクティブユーザー数が3700万を突破(前年同期比+11.3%)してクロスユースも堅調(74.7%)に推移しており、引き続き楽天エコシステムの顧客基盤が成長していると発表しています。
一方、Q2ののNon-GAAP営業損失は引き続いて楽天モバイルが行うモバイル事業における自社基地局設置などの先行投資が継続中のために▲791億円を計上しています。ただし、モバイル事業を除くNon-GAAP営業利益は452億円(前年同期比+12.6%となった上、モバイル事業の損失についても2022年度第1四半期(Q1)をピークにQ2から予定通り逓減してるため、今後さらなる改善を見込まれるということです。
モバイル事業単体ではQ2の売上収益は846億円(前年同期比+64.5%)と大幅増収となり、同社が移動体通信事業者(MNO)として自社回線(以下、楽天回線)を構築して提供している携帯電話サービスにおける料金プランの月額基本料無料キャンペーンの終了に伴い、月額基本料の支払いを開始した人の増加や新規契約者の増加などが売上収益の増加に貢献したとのこと。
営業損失は1,243億円を計上し、パートナー(au)回線エリアから楽天回線エリアへの切り替えによるローミング費用の減少などの影響で2022年度Q1の1,350億円の損失がピークとなったとしています。また5月に月額基本料が0円から始まるのを廃止した新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」( https://network.mobile.rakuten.co.jp/ )を発表した影響でMNO契約数は初の純減となり、MNOサービスと仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービスの合計契約数は2022年6月末時点で546万となっています。
これに対して楽天モバイルではさらなる楽天回線エリア拡大や通信品質向上などによって契約数の増加を見込んでおり、楽天回線エリアの4G人口カバー率は2022年6月末時点で97.6%、4G屋外基地局開設数は4万7556局に到達し、今後は2023年中にそれぞれ4G人口カバー率99%超、4G屋外基地局数6万超をめざすということです。
楽天モバイルでは7月1日より新料金プランのRakuten UN-LIMIT VIIをスタートさせ、既存のRakute UN-LIMIT VIの利用者も自動移行しており、Rakute UN-LIMIT VIでは1回線目なら月1GB未満なら月額基本料が0円でしたが、Rakuten UN-LIMIT VIIではこれが廃止されました。
その影響でRakute UN-LIMIT VIIが発表された5月以降に解約者が続出し、楽天モバイルのMNO契約数としては初の純減となり、これまで1GB未満で使っていた人の解約が増えてきており、今辞めている人のうち8割が1GB未満の0円で使っている人だとしています。
これにより、MNO契約数が初の純減となり、2022年6月末時点ではMNO契約数が477万、MVNO契約数が69万の合計546万となっているということです。ただし、きちんと支払っている人は純増となっている上、0円未満だった人の解約はかなり落ち着いてきていて解約数はどんどん減っており、今年の11月には元に戻ると見込んいるという。
一方で0円未満で使っていた人以外でも地方を中心に楽天回線エリアがまだ十分でないところが問題になっていることもあるが、これもエリア拡大によって解消しつつあり、解約数はネットワークが改善すればさらに減っていくとしています。
また楽天グループ 代表取締役会長兼社長 最高執行役員の三木谷浩史氏は「Rakuten UN-LIMIT VIIは大きな戦略の進化となる。2年半前に始まったばかりで、これまでかなり大胆な価格戦略をとってきたが、使ってもらわなくては意味がない。0円ユーザーがかなり多かったが、そこを辞めて3つのセグメントで進めていく」と説明しました。
そして楽天グループのエコシステムにさらにポイントアップするロイヤルエコシステムをさらに強化しながら0円利用だったが、料金に対する反応度が高いスマートユーザー、そして20GB以上、さらに100GB以上使う人も増えてきているので、この3つをターゲットでARPUを上げていくとのこと。
そうして料金は安いが、品質はさらに上げていき、マーケティング戦略も新しいものをやっていきながらMNOの4社の中では圧倒的な料金であることを武器に、サブブランドは出てきたものの、おおよその料金帯でRakuten UN-LIMIT VIIの方が安いため、大量なデータを使う人にとっては楽天モバイルにしておくと1プランで分かりやすいことを訴求していくとしています。
また基本使用料無料キャンペーンの期間終了や0円からプラン廃止によって「コスト的にも利益的にも良い方向になっている」とし、Rakuten UN-LIMIT VIIの発表以降は月1GB以上の利用者数が増加し、月20GB以上の人の比率も5.7ポイント増加した上に楽天モバイルをメイン回線として利用する人の比率が8.3ポイント増加しているという。
特にデータ利用量の多い若い人をどうやって獲得するかが楽天グループとして重要だとしつつ、Rakuten UN-LIMIT VIIの発表後は20〜30代の割合が8.5ポイント増加しているという。また実際に20〜30代の若年層は他の年代比でデータ利用量が約2倍となっており、人によっては100GB以上使うため、他社だと1万5,000円とか場合によっては2万円になってしまうところが、2,980円で済むのでお得だとしました。
データ利用量は若年層の割合が増えたこともあり、他社が月9.3GBなのに対して楽天モバイルで月14.4GBとなっており、ARPUもどんどん上がってきているとし、総データ使用量はどんどん上がっていくが、どんどん使われれば、ARPUも上がっていき、将来的にはARPUベースで1,000円を超えるところまで持っていけると説明し、三木谷氏も「収益的にどう配分すればいいか迷っているところはあるが、特に新規契約者は利益貢献度は極めて大きい」としました。
一方でau回線のローミングは無料で使えるのは月5GBで頭打ちになっているのもデータ利用量に影響する大きな要因だが、これはデータ通信量で6~7%となっているという。これも楽天回線エリアの拡大によって月5GBの制限もなくなり、さらに月間データ通信量は増加すると見ているとのこと。
なお、Rakuten UN-LIMIT VIIでも8月末まではキャンペーンで1GB未満は無料となっており、さらに10月末までも1GB未満の場合は月額基本料に相当する金額が楽天ポイントで還元されるため、実質0円で使う人は11月から完全になくなることになります。現時点でも9月には1人当たりの月間売上高は50%以上改善し、これに加えて1人当たりの売上を増やしていくためにさまざまなオプションの拡充、コンテンツサービスの拡充をしようとしているということです。
三木谷氏も「0円ユーザーが結構多かった」として「それを除くと真水で言うと30%ぐらい伸びていると考えている。0から始めたネットワークなので最初は大盤振る舞いしなきゃいけなかったが、これからは利益を出すよう舵を切った。+30%になったので、優良ユーザーに変えていきつつ、今後、成長するにはこの動きは良かった」としました。
モバイル事業の収益は2022年Q1がボトムで、約束通りにQ2は110億円改善しており、主な改善要因は月額基本料無料キャンペーンが順次終了していることに加え、パートナー(au)回線によるローミング費用も大幅に削減されており、オプションの加入が好調でネットワーク改善による契約者加速が挙げられるとのこと。
前述通り、11月以降はで実質0円もなくなり、本当の意味での月額1,078円からとなるため、ある一定の解約はあるかもしれないものの、かなり収益改善が行われていくと予想しているとし、加えてローミング費用がかなり高額でデータ利用料はまだ6〜7%がローミングとなっているため、楽天回線エリアを拡大しつつ、ローミングエリアから楽天回線エリアに順次切り替えているという。
もともとデータ利用量の78%がローミングで、ローミングだと無料で使えるのは月5GBまででそれを超えると1Mbpsまで減速するため、これが解約されるひとつの要因となっていましたが、ローミングエリア少なくしてなくしているため、これによる解約も徐々に減ってきているとのこと。
申込ベースではすでに東京23区は9.4%の人口がRakuten UN-LIMITを申し込んでおり、人口カバー率が85%のところはまだ人口の5%を切る程度しか申込がないものの、三木谷氏は「これから6万局に増えていき、ほぼどの都道府県でも99%以上の人口カバー率になると、仮説的には自ずと申込数は1200万に近づく。」とし、現状では契約者数に地域差が大きく都市部に集中しているものの、人口カバー率を上げることによって早期に1200万を実現したいとしました。
設備投資は2021年に315億円、使用権資産が147億円、5Gの1.7GHz帯の基地局の資産化が47億円となり、基地局整備はかなり進んできているので、今後はこれらがどんどん減り、今年は300億円、次はさらに減っていくとのこと。三木谷氏も「ここが大きなポイント。2年半しか経っていないのによくやってきた。これが6万局達成段階で申込ベースで日本全国10%を超えるところまで持っていきたい。」と説明しました。
さらに9月にはASTのロケットが打ち上がる予定で、これによって宇宙から国全部、他社についても99%超えていても山間部とか過疎のところはいらなかったりするものの、そういうのが基本的になくなり、地理的に100%カバレッジが実現できるため、大きな差別化になるとしています。なお、解約している人のうちの一定数はMNPをしているとし、逆に今後の加入の加速としてMNPは現在は2ストップだが、来春からワンストップになるのも追い風になることが説明されました。
また屋内エリアをさらに強化する方法としてRakuten Casaをどんどん入れており、すでに8.5万台を設置している上、10万台を上回るカバレッジを行うとし、高層階はネットワークが弱いという意見もあるので20階以上は外からも95%は対応済みですが、これを100%にするとのこと。また来春以降、キャパシティも順次拡大するとしています。また初期投資は40%減、OPEXは30%減を実現しており、品質はアムラウトの調査では他社、他国のネットワークに比べても品質はいいと評価されていると紹介。
三木谷氏は繰り返して解約の原因が「ローミングエリアが月5GB以上使うとネットワーク制限がかかって通信速度がダウンするのが最も大きい」と説明し、それが独自ネットワークの楽天回線エリアの開設を急ぐ一番大きなポイントとして「さらに(離脱を)減らすには独自ネットワークを97%から99%に増やす必要がある」としました。
これに対して「ネットワーク拡充とともに進んでいく。マーケティング、地域別の戦略も組んでいる。3000万に迫ろうとしている楽天カードの初速と比べても依然として圧倒的に速い。できるだけ早い段階で1200万、1500万は達成したい」とし、楽天回線エリア拡大と通信品質向上によって離脱はますます減るし、本当の勝負は無制限で使えるモバイルネットワークはどこかということになるとのことで、申込ベースで東京は10%近くになると見ており、これを全国に広げたいということです。
そうなると、1500万人とか2000万人とがが楽天エコシステムの中で生活しているということになり、ポイント獲得が1,000円相当とか2,000円相当とかになるので、モバイルはほとんどタダで使えるということが実現できるとし、これまで0円の人もいたし、まったく使っていない人もいたので、それについては今後は有料化することにしたのである一定の離脱は致し方ないものの、三木谷氏は「辞められた人は楽天モバイルはどんどん進化。5Gもくる。最先端の技術でやっていく。楽天ポイント獲得も大幅に上げた。総合的に見て時期を見て楽天モバイルを検討してもらえれば。」と語りました。
一方、楽天モバイルの魅力としては楽天エコシステムとのシナジーがポイントとなっており、楽天会員の11.9%の人が楽天モバイルを使っていて将来的に30%に持っていくのは非現実的ではないとしました。また「シナジーは楽天モバイルに加入した人は約40%強が楽天市場で買いものをする。楽天モバイルで日本全国の10%を取れれば1200万だが、そうなると、楽天市場の流通総額は15%アップする。モバイル自体が楽天のプライムプログラムになりつつある」としました。
さらに「新規の21.5%がモバイルからとなっている。持続的成長のためにはモバイルが大きな要因になる。モバイルに入るとまったく楽天を使ったことない人は60%が市場で買い物、40%がポイント、20%カードに加盟。約1年後には3つ以上のサービスを使っている。目論んでいたモバイルの戦略を逆さまにした戦略が功を奏している」ということです。
これにより、楽天グループの獲得力、人口カバー率を広げることを含めた品質などを含め、クレジットカード業界1位になったが、それと同じ道を辿っていきたいとし、すでに楽天モバイルの進出で世界の中でも高止まりしていた日本のスマホ料金が劇的に下がってきており、モバイルはもともと1つのコスト構造で、世界初の完全仮想化技術、いわゆる情報セキュリティーが重要になってきている中で世界各国から注目されており、楽天シンフォニーは半分はアメリカの技術だが、ソフトウェアの挑戦が完全に成功したことを強調していました。
記事執筆:memn0ck
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