OPPO N1のプレスカンファレンスをレポート!写真はプレスカンファレンスの会場ゲート

Guangdong OPPO Mobile Telecommunications(広東欧珀移動通信有限公司、以下、OPPO)は中国の北京市内にあるAOYA Exhibition Centerで新製品を発表するプレスカンファレンスを今年9月に開催した。

発表されたのは、独自OSとなる「Color OS」および新たなフラッグシップスマートフォン「OPPO N1」だ。

今回は中国の現地まで行き、プレスカンファレンスに参加してきたので、その模様および実際にOPPO N1を含むOPPOのスマートフォンをタッチ&トライしてきたのでレポートをお届けする。

OPPOは中国広東省東莞市に本社を置く企業で主に音楽プレイヤー事業を手掛けていたが、2006年より携帯電話事業に参入し、2008年にはスマートフォンを投入した。当ブログメディアでも連載「山根康宏の“世界のモバイル”】」にて注目企業として紹介している。まず、プレスカンファレンスの冒頭では過去に投入した携帯電話やスマートフォンを振り返るムービーが流された。

発表当時世界最薄と銘打たれたOPPO Finder(X907)や約500万画素のフロントカメラを搭載したOPPO Ulike 2(U705t)を投入し、中国市場で人気を集めた。さらに、2012年末にはクアッドコアCPUやフルHD液晶を搭載したOPPO Find 5(X909)を発表し、その質感の高さを含め人気を博し、世界でも存在感を高めていくことになった。

そんなOPPOは次の一手として独自OSとなる「Color OS」および新たなフラッグシップ「OPPO N1」を発表した。

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会場では過去に投入した製品が展示された。スライド式携帯電話OPPO A201。

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女性向けの折り畳み式携帯電話OPPO U529。

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横スライド式の筐体に物理的なQWERTYキーボードを搭載したOPPO Find Me(X903)。

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発表当時は世界最薄のOPPO Finder(X907)。

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約500万画素の前面カメラを搭載したOPPO Ulike 2(U705t)。左はタイ版のOPPO Find Way(U7015)。

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会場内はOPPOのイメージカラーである緑色に包まれた。

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中国国内のみだけではなく中国国外からも多くのプレス関係者やOPPO関係者が駆けつけた。



◯Color OS――洗練されたソフトウェア
メインの新製品を発表する前に、Color OSの開発が発表された。複数の中国メーカーがAndroidベースの独自OSを展開しており、OPPOもその流れに乗る形となった。プレスカンファレンスではそれらの中国メーカーの名前も挙げて対抗意識をむき出しにした。

世界的にも注目される契機となったOPPO Find 5、ハードウェアスペックの高さは注目を浴びたものの、決してソフトウェア面では優れているとは言い切れなかった。ソフトウェア面で後れを取っていたことはOPPOも認識していたため、弱みだったソフトウェア面をColor OSで強みに変えるということだ。

Color OSはAndroidをベースとしており、前身としてColor ROMが存在している。Color ROMは商用の製品にプリインストールされることはなかったが、公式のフォーラムであるOPPO ForumsにおいてOPPO Find 5用に公開されていた。OPPOは自社のファンを「Ofan」と呼び、OPPO Forums上でOfanに対してColor ROMを提供した。ファンと一体になって開発を行う取り組みを導入し、Ofanのフィードバックを反映しながらソフトウェアの開発を地道に続けた。そんなColor ROMの要素を引き継ぎ、新機能を加えて洗練させたものが「Color OS」である。

Color OSは従来のソフトウェアから大きく変化し、特にジェスチャー機能を大幅に強化した。ジェスチャー機能の一つとして、ジェスチャーパネルを用意した。ジェスチャーパネルは通知バーの左端(設定で右端に変更可能)から下ろすと現れ、任意の記号や文字を描くことで、指定した機能を呼び出すことが可能である。この機能を「Quick Reach」と呼んでいる。ホーム画面に戻らなくても通知バーを下ろすことで使いたい機能へアクセスすることが可能で、またロック解除画面でセキュリティロックを設定していない場合は、ロック解除の動作を飛ばして使いたい機能にアクセスする使い方もできる。Quick Reachという名の通り、ジェスチャーパネルを使うことで、素早く機能を呼び出すことが可能となる。その他に3本指でスワイプしてスクリーンショットを撮影する機能や、端末を裏返して着信をミュートにしたりディスプレイ消灯時にダブルタップで点灯するようなジェスチャー機能も用意されている。

その他、端末内のデータをクラウド上にバックアップするO-Cloudも提供される。
Color ROMはOPPO N1にプリインストールされる。OPPO Find 5にも提供される予定で、一部の関係者およびユーザーにはすでに配布されている。

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Color OSを発表したシーン。OPPOのCEOが登壇してプレゼンテーションを行った。Color OSのロゴマークも公開した。

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Quick Reachについて説明。

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Color OSのジェスチャーパネル。この領域に任意の記号や文字を描く。

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ジェスチャーの例。割り当てる機能も自由に設定できる。

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ジェスチャーパネル以外にも様々なジェスチャー機能を用意している。



◯OPPO N1――撮る楽しさを再定義
Color OSの紹介を終えた後に、今回の主役「OPPO N1」を発表した。筐体は流れるようなデザインに、質感や手触りの良い素材を採用した。OPPOはこれまでに投入したスマートフォンもデザインが評判で、OPPO N1においてもそれは健在である。

OSにはAndroid 4.2.2(開発コード名:Jelly Bean)をベースとしたColor OS 1.0.xを採用する。チップセットはQualcomm製「Snapdragon 600」(APQ8064T)で、1.7GHzのクアッドコアCPUを搭載している。ディスプレイは約5.9インチのフルHD(1080×1920ドット)液晶である。Bluetooth 4.0や無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠)に加えて、NFC(Type A/B)に対応する。システムメモリーの容量は2GB、内蔵ストレージの容量は16GBと32GBが用意される。電池パックは内蔵式で、3610mAhの大容量な電池パックとなっている。OPPO Find 5はハードウェアのスペックが大きな注目を浴びたが、OPPO N1では軽く触れられただけに留まり、回転式カメラや背面タッチパネルおよびアクセサリを用いた使い方の提案に時間が割かれた。

OPPO N1では操作性を高める手段として、「O-Touch」を採用した。O-Touchは背面に搭載した約12平方センチメートルのタッチパッドである。ブラウザ起動時にO-Touchを操作することでページのスクロールを行なったり、カメラ起動時に長押しおよびフリック操作することで写真を撮影したり写真を捲ることが可能である。指でディスプレイを覆うことなく操作できることをアピールしていた。

OPPO N1の最大の特徴は「回転式カメラ」であることは言うまでもないだろう。カメラが回転するムービーが流れた瞬間、会場は歓声と拍手に包まれた。スマートフォンとしては世界で初めて回転式カメラを搭載した。拘りの206度の回転式カメラ、205度でも207度でもダメだったという。この回転式カメラは単にギミックが面白いだけではない。OPPOは「撮る楽しみ」を再定義した。約1300万画素の高性能なカメラや高輝度なデュアルLEDフラッシュを搭載し、これらが回転する仕組みを採用している。

前面カメラは背面カメラより性能が落とされる場合が多くなっているが、OPPO N1では回転式を採用することで前面も背面も同じく高性能なカメラを利用できる。120度以上回転させると0.6秒でカメラが起動するとのことで、素早く撮影することもできるという。回転カメラは任意の角度で止めることが可能で、自撮りや集合写真の撮影にも最適としている。中国では自撮りの需要が若年層の女性を中心に高まっているとして美顔モードも搭載した。OPPOはこれまでに若年層の女性をメインターゲットとしたUlikeシリーズを投入しており、フラッグシップでは採用しなかった高画素な前面カメラや美顔モードを搭載していた。

OPPOは美しく見せるための法則を導き、美顔3.0としてOPPO N1のカメラ機能に取り込んだ。また、集合写真を撮影する際には、カメラを任意の確度に回転させて、ディスプレイをファインダーとして使える。ここで新たに発表した周辺機器「O-Click」を活用できる。O-Clickは端末とBluetooth通信を行い、遠隔で操作ができる。距離は最大で5メートルまで離れることが可能となっている。好きな角度にカメラを回転させ、大きなディスプレイをファインダーとし、O-Clickを用いて遠隔でシャッターを切る、そんな使い方も提案した。

周辺機器としては他に純正のカバーケースやBluetoothスピーカーおよびモバイル充電池も公開されている。回転カメラだけではなく、それにO-TouchやO-Clickを組み合わせることで、撮る楽しみがより広がるだろう。

OPPO N1には中国版のN1Tと国際版のN1が用意されている。中国市場では2013年11月11日にN1Tが先行して発売される予定で、価格は3498人民元(約56,000円)に設定されている。N1Tが対応する通信方式はTD-SCDMA 2010〜2025(B34)/1880〜1920(B39) MHz、GSM 1900/1800/900/850MHzとなる。国際版のN1はOPPOの海外法人の他にオンラインショップ「OPPO Style」( http://oppostyle.com )においてグローバル向けに販売される予定である。通信方式はW-CDMA 2100(I)/1900(II)/1700(IV)/900(VIII)/850(V)MHz、GSM 1900/1800/900/850MHzに対応し、2013年12月以降に順次発売される予定となっている。

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OPPO N1を発表。

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回転式カメラの複雑な仕組みを説明した。

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206度の回転式カメラ。

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OPPO N1の主なスペック。詳細なスペックはOPPOの公式サイトからも確認できる。

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純正のカバーケース。本体のカラーバリエーションはホワイトのみであるが、カバーケースは4色が用意されている。

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中国の女優や俳優がゲストとして呼ばれていた。

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現在は中国以外にタイ、ベトナム、インドネシア、ロシアにおいて現地法人を設立している。今後は更に展開地域を拡大する予定である。

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会場では実機を試すことができた。OPPO N1の前面。

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ナビゲーションキーはタッチセンサ方式で、バックライトは青色に光る。ナビゲーションキーをディスプレイ内に配置する端末も増えているが、OPPO N1ではディスプレイ外に配置しているのでディスプレイを広く使える。

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OPPO N1の背面。

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側面から見ると薄型であることが分かる。

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端末情報画面を表示したところ。バージョンは最終版ではないため注意しておいてもらいたい。

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写真では少々分かりにくいかもしれないが、O-Touchの領域が薄く示されている。

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カメラを回転させたところ。120度以上回転させるとカメラが起動する。

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回転式カメラは好きな位置で止めることができる。

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Bluetooth通信で遠隔操作が可能なO-Click。

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プレスカンファレンスの会場ではTD-SCDMAおよびGSM方式に対応した中国版のみが展示されたが、北京市内のホテルにおいて特別にW-CDMAおよびGSM方式に対応した国際版を手にすることができた。Unicom 3Gを検出しており、W-CDMA方式に対応することがわかる。

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OPPO N1のパッケージの中身。

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左からOPPO N1、OPPO Find 5(X909)、OPPO Find Mirror(R819)、OPPO Find Way(U7015)。

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こちらも左からOPPO N1、OPPO Find 5(X909)、OPPO Find Mirror(R819)、OPPO Find Way(U7015)。



◯Cyanogenとの提携――ユーザーに選択肢を
OPPOはプレスカンファレンスの終盤で「Cyanogen」との提携を発表した。会場にはCEOを含めたCyanogen関係者が駆けつけた。CyanogenはカスタムROMで有名な「CyanogenMod」を開発する企業である。CyanogenModは世界で最も人気があるカスタムROMとし、OPPO N1にはCyanogenModをプリインストールしたCyanogenMod Editionを用意することを明らかにした。OPPO N1のCyanogenMod Editionは世界で初めてCyanogenModがプリインストールされたスマートフォンになるという。

Color OSだけではなく、CyanogenModも利用可能とすることで、ユーザーの選択肢を広げるという。OPPOは2013年夏に発表したOPPO Find Mirror(OPPO R819)に対してOPPO独自のROMに加えて、メーカーの独自UIを導入していない、所謂Android標準UIのROMも提供している。OPPOはユーザーに選択する自由を与え、より多くのユーザーを味方にして世界のスマートフォン市場を攻略する狙いである。今後もOPPOの戦略に注視していきたいところである。

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プレスカンファレンスの終盤にCyanogenとの協業を発表した。


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プレスカンファレンスにはCEOを含めたCyanogen関係者も参加し、記念撮影を行っていた。


記事執筆:paopao0128


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