ケイ・オプティコムのMVNOサービス「mineo」が3周年事業説明会を開催!

ケイ・オプティコムが運営する仮想移動体通信事業(MVNO)による携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( https://mineo.jp )のサービス開始3周年に伴う事業説明会が都内にて5月31日に開催されました。

mineoは2014年6月3日より正式サービスが開始され、今年6月で3周年となります。当時まだMVNOという通信事業形態は一般層にはあまり認知されていませんでしたが、その後の普及活動や数多くの企業のMVNO参入を契機にその後爆発的に広がり現在の人気に至っています。

様々なMVNO事業の中でもとくに「面白い」や「特異だ」と言われるmineoの人気の理由を事業説明会から読み解きつつ、今後の展開や新たなキャンペーン施策などを解説します。

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ノベルティグッズがトイレットペーパー。このユーモア感覚こそが関西系企業の真骨頂かも!?


■年度内100万契約をめざし順調に契約数を伸ばすmineo
「生き残りのカギは顧客満足、特に『サポート満足』です」とプレゼン冒頭で切り出したのはケイ・オプティコム取締役 執行役員 経営本部 副本部長の橘俊郎氏です。2016年末現在のMVNO契約数は約807万人となり、移動体通信全体に対する契約比率は8.9%に到達しました。MVNOの事業者数も600以上となり「普及拡大の段階からついに淘汰の時代へと突入した」と現在の厳しい市場競争の実態を解説しました。

そのような中でmineoとして何ができるのか、その答えが顧客満足やサポート満足の向上にあるとして「ユーザーのみなさまに分かりやすいサービス、安心感の持てるサービスをめざす」としています。

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ケイ・オプティコム取締役 執行役員 経営本部 副本部長 橘俊郎氏


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もはや価格の安さのみで選ばれる時代ではなくなった。モバイル業界の流れと成長は速い


契約数は順調に増加しており、現在は68万契約に。今年度末(2018年3月末)までに100万契約という目標は現在のところ達成できそうだという見解を示しました。しかし同社は楽観視しているわけではなく、飽くまでも期待値であり今後行っていく施策を成功させた上で達成可能な目標であると語り、これまで同様に同事業の戦略へ自信を見せながらも慎重な姿勢を崩していません。

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非常に堅調な契約数増加を見せているmineo事業


■「デュアル」契約比率が約8割へ。メイン端末での利用が増え新たな課題も
事業開始当初はシングル(データ通信のみ)での利用が多かった同事業も認知度の向上とともにデュアル(音声とデータ通信)契約が増加し、2017年1月~5月での集計では契約全体の78.1%に。いわゆるモバイルリテラシーの高いアーリーアダプター層への認知が行き渡り、その次の層であるマジョリティ層(アーリーマジョリティ層)の契約が増えていることを示唆しました。

また契約者の男女比率においても2017年1月~5月の集計では20代の男性や女性全体の割合が増加しており、こちらの統計からもマジョリティ層の増加が確認できます。

サービスや製品の普及において、その業界や製品への知識や関心の高いアーリーアダプター層と、興味はあるが率先して導入することはない「流行に敏感な」アーリーマジョリティ層との間に横たわる「溝」は思いのほか深く、業界用語で「キャズム」などと呼ばれることがあります。

MVNOの事業においてもこのキャズム(溝)をいかに超えるのかがこれまでの大きな課題と目標になっていましたが、今回発表された統計データや業界全体の契約数情報などは、mineoのみならず業界全体がそのキャズムを超えつつあることを示しているように思われます。

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この半年でデュアル契約が一気に増加しているのが分かる


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流行や価格メリットに敏感な女性の比率の伸びが大きい


一方で、契約者数の増加に伴い新たな課題や問題点も浮上しつつあります。前述のようにMVNOの事業者数は600を超え、事業全体としては早くも淘汰の時代へと突入しています。その上で格安を売りにしたMVNOの人気に脅威を感じた大手移動体通信事業者(MNO)各社は大容量でもリーズナブルなプランや長期優遇を絡めた低価格プランを用意し、顧客のつなぎ留めと囲い込みに本腰を入れ始めました。

そういったMNOの動きを受けMVNO各社も大容量プランの設定やリアル店舗の拡大、充実したサービスを保障する高めの料金設定を用意する動きが強まり、結果としてMVNOとMNOの価格は月額3,000円台付近に寄っていく傾向となりました。

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MVNOの普及が価格とサービスの平均化を生んだ


そのような中でmineoがどう生き残るのか。登壇したケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏は「これまで進めてきた『オンリーワンなサービスをめざす』という路線をさらに推し進めていく」として、新たに「共創」戦略と「安心」戦略という2つの戦略を発表しました。

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ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 上田晃穂氏


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価格やサービスの横並びからの脱却を目標とするmineo


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ユーザーとともに事業を育てていく、という考え方がmineoらしさであり人気を集める理由の1つでもある


■ファンコミュニティー「マイネ王」を活用した長期契約特典「ふぁん∞とく」などを新たに開始
mineoには「マイネ王」という契約者向けのコミュニティーサイトがあります。同事業ではこのマイネ王によるユーザーコミュニティーの醸成を非常に重視しており、ユーザー同士の助け合いや意見交換によってサービスの内容をより良くしていこうという狙いがあります。

そのユーザーコミュニティーへの足がかりとして大きな役割を担っているのが「フリータンク」サービスです。フリータンクはユーザー同士でデータ通信容量を融通し合うというサービスで、互助精神を基本としたユニークなサービス内容がmineoの最大の特徴ともなっています。

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契約数の増加とともに順調に加入者を増やしているマイネ王


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トイレットペーパーのノベルティにはマイネ王の歴史が印刷されている


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マイネ王には毎月100件もの新しいサービスのアイデアがユーザーから寄せられている


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ユーザーと事業者が直接意見を交換し合う「オフ会」イベントも定期的に開催


そして今回新たにマイネ王を活かした施策として発表されたのが「ファン∞とく」です。同サービスはいわゆる長期利用者向けの優遇施策であり、マイネ王に加入していなくても受けられるサービスですが、マイネ王に加入しているとその受けられるサービスが大きく広がるという内容になっています。

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命名の由来は同事業のコーポレートスローガン「Fun with Fans!」から2つのファンを「永く(∞に)つなぐ」という意味から


1つ目の特典は契約事務手数料が無料となるエントリーコードの毎年プレゼントと、端末の追加購入や機種変更時に電子マネーをプレゼントするというもの。エントリーコードの配布数は契約年数によって変わり、1年1ヶ月目なら1個、3年1ヶ月目には2個といったかたちで契約年数が長いほどもらえる数が増加します。

エントリーコード配布の特典は6月1日より開始しており、契約期間の集計は過去に遡って行われるとのことです。また電子マネーギフトの開始時期は9月1日を予定しており、購入端末の種類や契約年数に応じて額面が変化するとしており、現在はまだ調整中とのことです。

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急激な女性契約者増加の背景には女性特有の「口コミ」効果があると上田氏は語る。エントリーコードの配布はそういった口コミ効果を後押しするものだ


2つ目の特典は「王国コイン」です。これはマイネ王内で受けられる「マイネおみくじ」サービスやmineoのオリジナルグッズ「王国アイテム」などと交換できるトークンサービスで、こちらも契約年数に応じて毎年付与されます(1年1ヶ月目なら1枚、3年1ヶ月目なら2枚、など)。こちらのサービスを受けるにはマイネ王への加入が必須となります。

マイネおみくじはサイト内で「おみくじ」を引き、その結果に応じてデータ通信容量を付与するというもので、今年1月に期間限定で行われた同施策が好評であったために常態化させたものです。こちらはすでに6月1日より開始されています。

王国アイテムはmineoオリジナル商品以外にもモバイルバッテリーなどの人気商品やシーズナルアイテムなどをラインナップ予定とのこと。このほか年2回開催予定のファン感謝イベント「王国イベント」への参加などにも王国コインが使われる予定で、王国アイテムと王国イベントについては9月以降の開始を予定しており、8月中に詳細を発表するとしています。

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いわゆる「2年縛り」などのようなかたちでユーザーを囲い込むのではなく、ユーザーに楽しんで参加してもらおうという姿勢が第一である点が同社らしい


またマイネ王で寄せられたアイデアを実現したサービスとして「mineoスイッチタイマー」が発表されています。mineoスイッチとは通信設定管理アプリで、利用月の通信容量や残容量を確認できるほかユーザーの任意で通信速度に制限をかけることで無駄なデータ通信を抑えることができるというものです。

このmineoスイッチをさらに便利に活用したいという要望があり、仕事中や就寝中など高速通信を行わない時間帯を設定して自動的に通信速度に制限をかけるタイマー機能が追加されました。6月1日より提供が開始されており、mineo公式サイト内の「マイページ」で設定が可能です。またスマートフォン(スマホ)向けのmineoスイッチアプリでも提供が予定されており、こちらは現在準備中とのことです。

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通信速度を制限した状態では契約したデータ容量を消費しないのがポイント。賢く利用状況を管理したいという要望は非常に多い


■割引施策や大容量コースの追加など、厚みのある新規獲得戦略も展開
新規顧客の獲得施策としては「3周年記念! 800円×3ヶ月割引キャンペーン」が発表されています。こちらは新規契約時に月額基本料金から800円を3ヶ月間割り引くというもので、6月1日から7月18日までの期間限定でのサービスとなっています。

対象となるのはキャンペーン期間中に新規でデュアルタイプを申し込んだ個人となっており、法人名義での契約は対象外となっています。

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格安料金が売りのMVNOでさらに800円引きはインパクトが大きい


またユーザー増加に伴うニーズの多様化にも対応すべく、20GBコースや30GBコースといった大容量のデータ通信プランを追加。従来のプランでもこれまで5GBコースとして提供していた料金プランの容量を6GBへ増量し、コストパフォーマンスの改善を図っています。

具体的には、Dプラン、Aプランともにシングルタイプの場合20GBコースが月額3,980円、30GBコースが月額5,900円。デュアルタイプでは若干料金が異なり、Dプランでは20GBコースが月額4,680円、30GBコースが6,600円。Aプランでは20GBコースが4,590円、30GBコースでは6,510円となっています(すべて税抜価格)。

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大容量コース追加も嬉しいが価格据え置きで容量を増加した6GBコースのお得感と安心感は大きな魅力だ


マジョリティ層の獲得をさらに加速する施策としてはmineoショップ(実店舗)での初期設定サポートの提供が発表されました。

MVNO契約における大きな障害となっているのがSIMカードの初期設定である点はもはや周知の課題となっていますが、この初期設定のサポートを行う店舗を拡大し、これまでのサポート店に加えて渋谷、大阪、神戸に展開しているmineoショップにおいても提供を開始します。

初期設定サポートの料金はSIMカードの差し替えやネットワーク設定などが持ち込み端末で1台あたり1,000円、mineo購入端末で無償、電話帳データの移行は持ち込み端末で1台あたり3,000円、mineo購入端末で3,000円から5,000円など細かく分けられています。

開始時期はmineo渋谷で6月1日から、mineo大阪およびmineo神戸で7月1日からとなっています。

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対面でのサポートを受けられる実店舗は一般層にとってとてもありがたい存在だ


契約時の手続きの高速化や利便性の向上にも取り組んでおり、6月1日よりDプランにおけるMNP転入切替手続き(開通作業)の高速化を行いました。これはMNPによる転入でDプランを契約した際、これまで開通までに約60分かかっていた待ち時間を最短数分程度に短縮するというものです。

これまでの開通作業ではユーザーが入力した契約情報をmineoのオペレーターが手動でドコモが提供している顧客管理システム「アラジン(ALADIN)」へ入力していましたが、これをウェブサイトと直結することで中間作業が簡略化され、非常に速い開通処理が可能になりました。

また名義変更手続きも6月1日より開始しており、これまでできなかった契約回線の名義変更が可能になりました。名義変更手続きにかかる事務手数料は有料(税込3,240円)ですが、三親等内の家族間であれば無料となっています。

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「利用のしやすさ」「かゆいところに手が届く」は意外と重要だ


子供向け施策として「ジュニアパック」も新たに提供を開始します。ジュニアパックでは子供が安全にスマホを利用するためのアプリ11種がセットになっており、月額200円で利用できます。アプリにはフィルタリング機能の「スマモリ」やウィルス対策アプリの「スマートフォンセキュリティ」のほか各種辞書アプリなどが含まれており、「ジュニアパック」サービスとして全国子ども会連合会推奨商品に指定されています。

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ジュニアパックはAndroid端末のみの提供となる。iOS端末向けは未定


■ファーウェイ製スマホ「HUAWEI nova lite」の取り扱い開始。他にも3機種の予定あり
新たな取り扱い端末としてファーウェイ製スマホ「HUAWEI nova lite」がラインナップされました。すでに6月1日より取り扱いが開始されており、価格は一括払いで19,800円、24回の分割払いでは月々825円となっています。本端末はDプラン専用となっている点に注意が必要です。

HUAWEI nova liteは5.2インチ・フルHD(1920×1080ドット)液晶ディスプレイと自社ブランドの高性能オクタコアCPU「HUAWEI Kirin 655(2.1GHz×4基+1.7GHz×4基)」を搭載したエントリー向け端末で、3,000mAhの大容量バッテリーや指紋認証センサーの搭載などが特徴となっています。約2万円という高いコストパフォーマンスが人気となった機種で、上田氏も「他社で大人気だったのでうちも取り扱ってみることに」と笑いを誘う場面がありました。

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2万円以下の端末で指紋認証センサーが付いているのは心強い


また6月以降も順次端末のラインナップを拡充していく予定とのことで、Dプラン向けとして6万円前後のプレミアム価格帯に1機種、Dプラン、Aプラン両方に対応する3万円前後のメイン価格帯に2機種を投入予定としています。

プランによって対応しない端末がある点については「メーカーの意向がありこのような形となっている。(ラインナップの格差は)端末の魅力によってカバーできるのではないかと思っている(上田氏)」としています。

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Aプラン利用者には若干不満の残るラインナップかもしれない


■100万契約を超えた「その先」へ。mineoが描くMVNOとユーザーの関係とは
今回の事業説明会では、事業開始からわずか3年にもかかわらず長期利用者特典制度「ファン∞とく」を打ち出すなど、従来からのユーザー本位の姿勢をさらに強めた印象があります。しかし決して長期割賦契約やそれに伴う違約金などによってユーザーを縛り付けるのではなく、飽くまでもユーザー自身が楽しみながらmineoのサービスを利用することを支援するような施策である点が「mineoらしさ」と言えます。

MVNOにとって価格競争は切っても切れない関係ですが、価格にばかり終始していては単なる消耗戦となりサービスの継続が難しくなります。その打開策として他社では大手MNOのような長期契約による囲い込みの強化や特定のデータ通信利用料を無料化する「カウントフリー」の導入を行うなど様々に工夫をしていますが、果たしてmineoの打ち出す「コミュニティーの醸成によるユーザーメリット」がどこまで消費者に認められるのか非常に興味深いところです。

質疑応答の場でもマイネ王の加入者数や契約者のつなぎ留め対策について質問された際、上田氏は「フリータンクによって加入者が一気に増えた。つまりコミュニティーに参加しなければできないサービスを次々と打ち出していくことが重要」、「高リテラシーの人は『場』を求めているのではないかと思っている。スムーズにコミュニケーションができる場を提供することが重要なのではないか」と述べるなど、マイネ王によるユーザーコミュニティーをmineo事業の根幹として捉えている点が強く感じられました。

今後も様々なサービスをマイネ王と連携させることで、ユーザーに単なる受け身のサービスを提供するのではなく、積極的に動いたユーザーがより多くの恩恵を受けられるMVNOという方向性を作っていくのかもしれません。

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mineoが掲げる「共創」と「安心」は両立できるだろうか



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