小型端末を求める層へどこまで訴求できるか!? |
既報の通り、NTTドコモは14日、今夏に発売・提供する新モデルや新サービスを披露する「2014年夏モデル 新商品・新サービス発表会」を開催し、Android 4.4(開発コード名:Kit Kat)を搭載したソニーモバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン「Xperia A2 SO-04F」(以下、SO-04F)を発表しました。発売時期は2014年6月中旬の予定です。
スマートフォンの大画面化は進む一方で、5インチ以上のディスプレイを搭載した端末も主流化して久しい昨今ですが、そのような中にあって4インチ台前半の画面を備えた比較的小型の端末は貴重な選択肢となりつつあります。その数少ない選択肢にXperiaシリーズは常にラインナップされ、一定のファン層を築いています。
今回発表されたSO-04Fもまた、現在発売・発表されているXperiaシリーズの中では最小クラスのコンパクト端末に分類されるもので、独特のデザインセンスも健在です。果たしてSO-04FはこれまでのXperiaシリーズのコンパクト端末と比較してどう変わったのでしょうか。発表会のタッチ&トライコーナーで試作機に触れることができましたので写真と共に紹介します。
SO-04Fはその名前に「A2」とあるため、昨夏にNTTドコモが「ツートップ戦略」を掲げその一翼として売り出し大ヒットした傑作機「Xperia A SO-04E」の後継機種と考えられがちですが、そのスペックやデザイン性は昨年12月に発売された「Xperia Z1 f SO-02F」(以下、SO-02F)とほぼ同じとなっています。
SO-02Fが上位機種であった「Xperia Z1 SO-01F」と同様の「薄いガラス板」を連想させるデザインだったのに対し、SO-04Fでは背面素材をガラスから樹脂素材に変更し、マットな質感に仕上げています。側面パーツも平面から局面デザインに変更し、より手に馴染む形状へ。横幅65mmの持ちやすいサイズと相まってSO-04Eからさらにホールド感が向上しています。
ボディサイズは約128(H)×65(W)×9.7(D)mm、重さは約138g。SO-02Fに対し縦幅で1mm、厚みで0.3mm大きく、重さで2g軽くなっている程度でほぼ同じです。液晶ディスプレイのサイズやスペックもSO-02Fと同じ4.3インチのトリルミナスディスプレイ for mobileを採用しています。
気になったのはボディサイズとディスプレイサイズのバランスです。昨今のスマホの流れとして大画面化以外では狭額縁化というのがあり、ディスプレイ周囲のベゼル部分を極力薄くすることで端末の小型化と大画面化を両立させるのがメジャーとなっていますが、その中にあって横幅65mmの筐体で4.3インチのディスプレイでは少々ベゼルが太く見えるのです。
事実、シャープが発売しているAQUOSシリーズ(AQUOS PHONEシリーズ)などでは横幅63mmの筐体に4.5インチのディスプレイを搭載するモデルなどもあり、デザインの先進性という部分で若干見劣りするのは否めません。
またディスプレイ解像度もHD(720×1280ドット)であり実用上ではなんら問題がないものの、フルHD(1080×1920ドット)以上が主流となった現在のAndroidスマートフォンにおいては消費者への訴求力が薄くなっているのが気になります。
性能面でも苦しさがあります。CPUは十分過ぎるスペックであり昨年末であればハイエンドを名乗れるほどですがZO-02Fからの据え置きで、今夏のモデルと比較すると1世代古い設計であり停滞感があります。
メモリ容量についても16GBと必要十分ですがこちらもSO-02Fからの据え置き。スマートフォンでゲームや動画撮影などを行うのが当たり前となった現在、ヘビーユースにはもう少し欲しいと感じるところです。
また今夏のドコモ向け端末の売りでもある「VoLTE」に対応していない点や、ワンセグの視聴にケーブルアンテナが必要である点などにも端末設計の古さを感じさせます。
客観的に見れば、SO-04Fのスペックに不満が出る部分はあまりありません。しかし商品・商材というものは他と比較されて相対的に評価されるものです。
もちろん、そこまで性能やデザインにこだわる層は現実にはそれほど多くなく、見た目の第一印象や価格で端末を選択する層が圧倒的に多いのも事実です。しかし端末をただの商材ではなくメーカーブランドという立場で見た場合、常に先進性や性能で他社を圧倒してきたXperiaシリーズとしてふさわしいモデルとなっているのか若干不安があります。
個人的見解ですが、SO-04Fに触れその詳細をチェックした時、筆者は「これなら安心してSO-02Fが買える」とすら感じました。それほどまでに何も変わっていないのです。
メーカー視点で言えば開発費用などを極力抑え、普及モデルとして安定した性能を低コストに供給できることは大きなメリットであり、ユーザー視点でも安価に良機が手に入ることは何よりも優れたポイントですが、果たしてそれだけで端末が売れるのか。SO-04Fの売れ行きや一般層からの評価が今から気になります。
◯主な仕様
※1 一般に想定されるスマートフォンの利用(Web閲覧、アプリの利用等、約80分間/日の利用)があった場合の電池の持ち時間です(NTTドコモ調べ)。実際の利用状況(連続通話や動画を大量にダウンロードした場合など)によっては、それを下回る場合があります。なお、各機種の実使用時間については、 順次ドコモのホームページで公表される予定。
※2 外付けのアンテナケーブル(同梱)が必要。
※3 仕様は発表時点のもので、製品版は変更になる場合があります。
■関連リンク
・エスマックス(S-MAX)
・エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
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ボディーカラーはラベンダー、ホワイト、グレーブラック、オレンジの4色
SO-02Fが上位機種であった「Xperia Z1 SO-01F」と同様の「薄いガラス板」を連想させるデザインだったのに対し、SO-04Fでは背面素材をガラスから樹脂素材に変更し、マットな質感に仕上げています。側面パーツも平面から局面デザインに変更し、より手に馴染む形状へ。横幅65mmの持ちやすいサイズと相まってSO-04Eからさらにホールド感が向上しています。
正面。ここだけ見るとSO-02Fと見分けが付かないほど似ている
背面。ガラス素材ではなくなったのでZ系列らしさは薄れた
下面。スピーカーとマイク、ストラップホールがある
上面。イヤホンジャックがある
左側面。microUSB端子、microSDスロット、卓上充電器用充電端子、SIMスロットが所狭しと並ぶ
それぞれの端子・スロット類は防水キャップで個別に保護されている
右側面。ストラップホール、シャッターボタン、音量調整ボタン、電源ボタンがある
SO-04F(上)とSO-02F(下)とのデザイン比較
ボディサイズは約128(H)×65(W)×9.7(D)mm、重さは約138g。SO-02Fに対し縦幅で1mm、厚みで0.3mm大きく、重さで2g軽くなっている程度でほぼ同じです。液晶ディスプレイのサイズやスペックもSO-02Fと同じ4.3インチのトリルミナスディスプレイ for mobileを採用しています。
気になったのはボディサイズとディスプレイサイズのバランスです。昨今のスマホの流れとして大画面化以外では狭額縁化というのがあり、ディスプレイ周囲のベゼル部分を極力薄くすることで端末の小型化と大画面化を両立させるのがメジャーとなっていますが、その中にあって横幅65mmの筐体で4.3インチのディスプレイでは少々ベゼルが太く見えるのです。
事実、シャープが発売しているAQUOSシリーズ(AQUOS PHONEシリーズ)などでは横幅63mmの筐体に4.5インチのディスプレイを搭載するモデルなどもあり、デザインの先進性という部分で若干見劣りするのは否めません。
またディスプレイ解像度もHD(720×1280ドット)であり実用上ではなんら問題がないものの、フルHD(1080×1920ドット)以上が主流となった現在のAndroidスマートフォンにおいては消費者への訴求力が薄くなっているのが気になります。
太いベゼルと低い解像度はスペック重視の顧客層に受けない
性能面でも苦しさがあります。CPUは十分過ぎるスペックであり昨年末であればハイエンドを名乗れるほどですがZO-02Fからの据え置きで、今夏のモデルと比較すると1世代古い設計であり停滞感があります。
メモリ容量についても16GBと必要十分ですがこちらもSO-02Fからの据え置き。スマートフォンでゲームや動画撮影などを行うのが当たり前となった現在、ヘビーユースにはもう少し欲しいと感じるところです。
また今夏のドコモ向け端末の売りでもある「VoLTE」に対応していない点や、ワンセグの視聴にケーブルアンテナが必要である点などにも端末設計の古さを感じさせます。
ソニーはなぜTV用アンテナを内蔵しないのか
客観的に見れば、SO-04Fのスペックに不満が出る部分はあまりありません。しかし商品・商材というものは他と比較されて相対的に評価されるものです。
もちろん、そこまで性能やデザインにこだわる層は現実にはそれほど多くなく、見た目の第一印象や価格で端末を選択する層が圧倒的に多いのも事実です。しかし端末をただの商材ではなくメーカーブランドという立場で見た場合、常に先進性や性能で他社を圧倒してきたXperiaシリーズとしてふさわしいモデルとなっているのか若干不安があります。
個人的見解ですが、SO-04Fに触れその詳細をチェックした時、筆者は「これなら安心してSO-02Fが買える」とすら感じました。それほどまでに何も変わっていないのです。
メーカー視点で言えば開発費用などを極力抑え、普及モデルとして安定した性能を低コストに供給できることは大きなメリットであり、ユーザー視点でも安価に良機が手に入ることは何よりも優れたポイントですが、果たしてそれだけで端末が売れるのか。SO-04Fの売れ行きや一般層からの評価が今から気になります。
差別化が問われる今のスマホ市場で「無難」に終始した端末はどう評価されるのか
◯主な仕様
機種名 | Xperia A2 SO-04F |
寸法 (高さ×幅×厚さ:mm) | 約128×65×9.7 |
質量(g) | 約138 |
LTE連続待受時間 (静止時[自動])(時間) | 約450 |
3G連続待受時間 (静止時[自動])(時間) | 約500 |
GSM連続待受時間 (静止時[自動])(時間) | 約410 |
連続通話時間 (LTE/3G/GSM)(分) | -/約580/約600 |
実使用時間(時間)※1 | 未定 |
メインディスプレイ (サイズ、ドット数[横×縦通称]、種類、発色数) | 約4.3インチ 720×1280 HD TFT液晶(トリルミナスディスプレイ for mobile) 1677万色 |
バッテリ-容量 | 2300mAh |
ROM/RAM | 16GB/2GB |
外部メモリ (最大対応容量) | microSD(2GB) microSDHC(32GB) microSDXC(128GB) |
外側カメラ機能 (撮像素子種類、有効画素数/記録画素数) | 裏面照射型 CMOS 約2070万画素/約2070万画素 |
内側カメラ機能 (撮像素子種類、有効画素数/記録画素数) | 裏面照射型 CMOS 約220万画素/約210万画素 |
CPU (チップ名/クロック) | MSM8974 (2.2GHz クアッドコア) |
OS | Android 4.4 |
「Xi」(クロッシィ) (LTE) | 150Mbps/50Mbps |
VoLTE | - |
LTE対応周波数帯 (2GHz/1.7GHz/1.5GHz/800MHz) | (○/○/○/○) |
FOMAハイスピ-ド (HSDPA/HSUPA) | 14Mbps/5.7Mbps |
Wi-Fi(無線LAN) (11a/b/g/n/ac) (Wi-Fiテザリング同時接続台数) | ○ (○/○/○/○/○) (10台) |
GPS/オートGPS(◎は海外対応) | ◎/○ |
赤外線通信 | - |
Bluetooth | ○(4.0) |
ワンセグ/フルセグ(◎は録画対応) | ◎※2/- |
防水/防塵 | ○/○ (IPX5、8/IP5X) |
おくだけ充電 | - |
色 | Lavender White Gray Black Orange |
製造メーカー | ソニーモバイルコミュニケーションズ |
※2 外付けのアンテナケーブル(同梱)が必要。
※3 仕様は発表時点のもので、製品版は変更になる場合があります。
記事執筆:あるかでぃあ
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