前回に引き続き、キングジム製のデジタルメモ帳「ポメラ DM200」(以下、DM200)の体験記、第2回です。購入から1ヶ月ほど経過し、仕事に趣味にとさまざまに活用するほどにその使いやすさに惚れ込んでしまい、見事に「ポメラニアン(ポメラ愛好家)」として育ちつつある今日この頃です。
DM200にはシンプルなインターフェイスとは裏腹に非常に豊富で便利な設定が用意されており、それらの設定を自分の使い方や用途に合わせてカスタマイズすることでより快適な文章入力が可能になります。今回はそういった細かな設定項目と設定時の注意点などを中心にレビューしたいと思います。
■メニュー項目と階層を覚えるのが快適な文章作成のコツ!
DM200にはファイル操作から文字入力支援、書式設定など多くの設定項目があり、キーボード左下にあるMenuキーを押すと画面上部にメニュー画面がポップアップする仕組みです。メニュー画面ではカーソルキーで項目の選択、Enterキーで決定、Escキーで1つ前の画面に、もう一度Menuキーを押すとメニュー画面を終了します。
■「ファイル」メニューの操作
「ファイル」では新規保存や上書き保存の他に新規フォルダの作成や文章のプロパティを見ることができます。フォルダの作成などはメニュー画面が簡素であることから若干使いづらさを感じますが、ファイルの新規作成や既存ファイルを開く操作などは直感的で扱いやすい印象です。
■「編集」メニューの操作
「編集」ではコピー&ペースト操作や後述するアウトラインの一括操作などが出来ます。コピー&ペーストはPCでの操作と同じく「Ctrl+C」や「Ctrl+V」などでも可能で、PCでの文章作成に慣れている人であれば違和感なく利用できるでしょう。
■「検索/挿入」メニューの操作
「検索/挿入」では任意の文字列検索や定型文の挿入などが行なえます。素早い文章作成や文章校正の際には必須となる作業なので使い方に慣れておきたい項目の1つです。
■「単語登録」メニューの操作
「単語登録」ではユーザー辞書の登録やPCで利用しているATOKのユーザー辞書のインポート、付録の国語辞典などが利用できます。
インポート可能なユーザー辞書は前述の通り、PC向けのATOKのみとなっており、MS IMEやGoogle IMEからのインポートはできませんでした。
ユーザー辞書をインポートする場合はPC版ATOKからユーザー辞書をテキスト形式でエクスポートし、そのエクスポートしたファイルの名前を「pcatok.txt」に変更します。その「pcatok.txt」ファイルをSDカードなどに入れてDM200へ挿し、「インポート」の項目から読み込ませます。
インポートデータにある機種依存文字などはDM200で認識できずに「???」のように表示され正しく利用できないため、「単語登録」の項目から編集・削除を行ってください。
インポートするファイルがPC版ATOKのユーザー辞書ではなかった場合はこのような画面が出る。またPC版ATOKのユーザー辞書ファイルでもファイル名が違う場合はDM200側で認識されずインポートできないので注意しよう
補助辞書では日本語入力で使用する辞書データのON/OFFができます。普段使用しない分野の専門用語をOFFにすることで変換候補を減らせるため、用途に応じて選択しましょう。
■「ツール」メニューの操作
「ツール」には電子辞書やQRコード、そのほかWi-Fi通信機能を用いたデータのアップロード機能などがあります。ポメラSyncやアップロード、Bletoothキーボードなどについては次回レビューにて詳しくご紹介したいと思います。
補助辞書には国語辞典や英和辞典など4種類の辞典が搭載されています。文章を練る際に正しい用法を探したり英単語の綴りを調べたりするのにとても役立ちます。
QRコードは作成した文章をQRコード化して画面に表示する機能で、QRコード読み取りアプリなどをインストールしているスマートフォンやタブレットなどにデータを送信する場合に非常に役立ちます。
作成するQRコードはサイズや形式を選択できるため、使用する媒体や端末に合わせて使い分けられます。長文の場合は作成するQRコードのサイズに応じて文章が分割されます。
またQRコード画面そのものをスクリーンショット機能で保存しPCなどで加工して資料や記事に添付するといった使い方もできます。
■「表示」メニューの操作
文章作成において最も基本となり使用する際の使いやすさのほとんどを決めるのが、この「表示」の設定です。
「表示」では一般的な全画面表示以外にアウトライン表示や分割表示、グリッド表示、フレーム表示、行番号表示など様々な表示項目があり、項目によっては複数同時に設定することも可能です。
■「書式」メニューの操作
「書式」ではATOKの入力設定や文字設定、制御文字の設定などが行なえます。制御文字とは改行やスペースのことで、これらを表示することで文字数の確認や校正作業に役立てるものです。
文字サイズは16dotから48dotまでの6段階から選択可能で、縦書き表示への切り替えや行間の広さの設定も「文字設定」の項目から行えます。
■「設定」メニューの操作
「設定」にはDM200の本体設定を行う項目が集まっています。電源管理の項目では画面を消灯するスリープや電源を自動的に切るオートパワーオフの設定を、ファイル管理の項目では作成したファイルを本体メモリーに保存するかSDカードに保存するのかを選択できます。
DM200のバックライトは自動調光されないため、明るい屋外や暗い会議の席など状況に応じて手動で設定する必要があります。このバックライト設定のように使用状況に応じて頻繁に設定変更が必要なものについてはファンクションキーなどにあらかじめショートカットとして設定しておくことが可能です(バックライト設定はデフォルトでF9キーに設定されている)。
キー設定ではキー割付やショートカットキー、親指シフト、Bluetoothキーボードの設定などが行なえます。ショートカットキーの設定はF1~F10までの全てのファンクションキーに行うことができ、この他に「Shift+F1」と「Shift+F2」の組み合わせにも設定が可能です。
フォーマットは本体ストレージとSDカードそれぞれで行うことが可能で、本体ストレージをフォーマットするとメニュー項目で設定した全ての内容が工場出荷状態(デフォルト設定)に戻されます。
パスワードの設定は持ち歩きを前提とした本機だけに必ずしておきたいところです。パスワードを設定すると電源投入時やPCと接続した際にパスワードの入力を求められ、正しいパスワードを入力しない限り操作できません。
本体情報ではストレージやSDカードの容量や使用状況が確認できます。またファームウェアバージョンなども表示されます。
DM200のファームウェアは昨年12月16日にVer.1.1が配信され、カレンダー機能の向上や変換文字候補サイズに32dotが追加されました。最新ファームウェアへのアップデート方法やアップデートファイルのダウンロードなどは公式サイトにて公開しています。
・「ポメラ」DM200 ソフトウェアアップデートのご案内
■利用用途やシーンに応じて設定を使い分けよう
以上が主なメニュー項目の紹介になります。非常に豊富で詳細な設定が行なえ、項目の緻密さからも単なる“テキスト入力マシン”ではない実用性が伺えます。実際に利用していても「痒いところに手が届く」素晴らしい使い勝手で、ストレスを全く感じないレベルにまでカスタマイズすることが可能です。
Webサイト向けのライティング作業から小説の執筆、インタビューの書き起こし作業やプレゼン資料の制作など、文章を書く必要がある作業や仕事は多岐にわたります。それらの要求1つ1つに細かく対応でき、しかもその設定が明確且つ簡潔に行えるという点でも本機のメニュー構造は非常に優れていると感じました。
次回はポメラSyncやアップロード機能、Bluetoothキーボードなど、外部機器との連携を中心に使い勝手や接続方法などをレビューしたいと思います。
■関連リンク
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・DM200|デジタルメモ「ポメラ」|キングジム
最近DM200を購入しました。
MS-IMEの登録辞書をコンバート(DM100への方法)しようとしましたが上手くいかなかったです。
もともと下位互換性(DM200→DM100等)がなかったから何かヘッダーに付いていると見当をつけて、DM200上で1つ単語登録してエキスポートしてみて中身を見たらありました。
これをpcatok.txtの頭に付けると成功です。
それからDM100のコンバート方法に「名詞」を「一般名詞」に置換するとありましたがこれは「名詞」のままえでいいです。
ご参考までに・・・