ソフトバンクが5Gに向けたデモンストレーションを実施!

ソフトバンクは8日、都内にて第5世代移動通信システム「5G」の報道関係者向けデモンストレーションを実施しました。

5Gへの取り組みは大手移動体通信事業者(MNO)が全力を注いでいる分野の1つです。NTTドコモなどは2020年を目処に実用化するとしており、ソフトバンクも2019年から2020年を念頭に置いた技術開発や実証テストを行っています。

ソフトバンクは既に5Gを構成するアンテナ技術の1つである「Massive MIMO(マッシブ マイモ)」をLTE向けとして商用運用しており、デモンストレーション会場でもアンテナ技術でのアドバンテージを強調していました。なお、ソフトバンクにおけるMassive MIMO導入についての解説などはこちらの記事を御覧ください

5Gによって何が変わるのか、そしてソフトバンクが5Gで実現したい未来とは何かを写真や動画とともにご紹介します。

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5Gによって人々の生活はどう変わるのか


■「5G」のメリットとは?
5Gと一言で言っても、その技術は多種多様な規格やシステムによって構成されます。電波の周波数帯域だけを見ても、単一の周波数帯域のみを利用するのではなく3.5GHz帯や4.7GHz帯、また60GHz帯といった超高周波数帯域までも幅広く利用し、シームレスで安定した超高速通信を実現するというものです。

また非常に速い応答性能(≒超低遅延)も5Gの特徴であり、LTEの応答速度が理論値で10ms(ミリ秒)程度であった応答遅延が5Gでは2ms前後にまで短縮されることが期待され、実測値では更にLTEとの差が開くものと思われます(LTEの実測値は30ms~100ms程度)。

またMassive MIMOのようなアンテナの多重化技術によって1つのアンテナでの収容数が上がることから都市部などでの混雑緩和や混雑時の速度低下にも強いとされており、商業施設やイベント会場など通信が集中する場所での通信安定性向上にも期待されています。

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移動体通信の概念を覆す未来の技術とされるが、その道程はまだ途上だ


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当時のWILLCOMから引き継いだTD-LTE技術と5G-NRには技術的な共通点が多い


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Massive MIMO技術の概念図


■如何に5Gを活用するのかがMNOの本分
今回公開されたデモでは4.7GHz帯を用いた通信速度試験の様子や4K映像の伝送テスト、超低遅延を活用したエアホッケーロボットの実演、クラウド上で高度な映像処理を行うエッジコンピューティングなど、実際の利用状況やサービス展開を想定したものが多く見受けられました。

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電波暗室での5Gスループット試験の様子


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障害物のない状態では2.7Gbps程度の速度が安定して出ていた


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エアホッケーロボットを使った低遅延デモ


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エアホッケー台上部に取り付けられたカメラでパックの起動を読み取り、その情報を5G網で伝送してロボットが打ち返す仕組み


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伝送速度が遅いとロボットはパックに反応できない


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高速伝送を活かした4K映像の受信テスト


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こちらは複数台のカメラを利用したイマーシブビデオのデモ。パノラマ映像を撮影してリアルタイムVR映像として活用するなどの案がある


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イマーシブビデオの活用例。複数のカメラ映像を同時に受信し、ユーザーは好きなカメラ映像に切り替えたりパノラマ処理された映像をVR的に追いかけて楽しむことができる


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リアルタイム処理とMR(Mixed Reality)技術を用いた映像の伝送デモ


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クラウド上でCG処理などを行いモバイル端末へ処理済みのデータを送信するエッジコンピューティング技術も5Gを必須とするものだ


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ゲームやCADデータといったCG処理以外にも、クラウド上での高度なAI処理なども5Gが得意とする分野になるだろう


各デモンストレーションの様子は以下の動画からもご覧いただけます。


S-MAX:ソフトバンク・5Gデモンストレーション1

動画リンク:https://youtu.be/PMX8uoaWMdI


S-MAX:ソフトバンク・5Gデモンストレーション2

動画リンク:https://youtu.be/hySJ83xX2L8


S-MAX:ソフトバンク・5Gデモンストレーション3

動画リンク:https://youtu.be/bP_g6MaljIY

■5G V2Xにも意欲的に取り組むソフトバンク
またソフトバンクではテレマティクスサービスの実証実験として、自動車同士や自動車と人が基地局を介さず直接通信を行う「5G V2X」の走行試験なども予定しています。

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V2Xは「V2V(Vehicle to Vehicle≒自動車同士の通信)」や「V2P(Vehicle to Pedestrian≒自動車と人の通信)」などを総合して表記する場合に用いられる


5G V2Xは目視が困難な交差点での危険回避や車間距離を一定に保ち渋滞を起こさない自動運転技術の確立などに役立つとされており、同社が行う実証テストも自動車間で通信を行い複数台のトラックを1人の運転手のみで走行させるというものです。

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高速で移動する自動車にとって超低遅延通信は安全に関わる重要な要素だ


■5Gへの取り組みはアグレッシブに
5G技術とMNO各社の動向や競争軸について、ソフトバンク テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発室 室長の湧川隆次氏は「どのキャリアでも同じ技術を使っているので運用やサービスの違いなどになるのではないか。商材の作り込みやサービスの立ち上げの早さなど、アグレッシブに他社に負けないようにしていきたい」と語りました。

さらに「5Gへの取り組みが他社に比べ若干遅れているのではないか?」という取材陣の指摘には「我々としては出遅れているつもりはない。パートナーとの5Gの実験は続けている。5Gの要素技術をすでにLTEに転用して使っているのでその流れで進めていく」と答え、技術的なアドバンテージを活かしつつサービス展開の早さで勝負していく姿勢を見せています。

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ソフトバンク テクノロジーユニット 技術戦略統括 先端技術開発室 室長 湧川隆次氏


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商用サービスへの技術展開の早さやフットワークの軽さこそがソフトバンクの武器


5Gはスマートフォン(スマホ)やタブレットなど一般ユーザーが利用するモバイル端末での恩恵のみならず、その通信性能を活かしてIoT分野でも幅広く活用が期待されています。ソフトバンクも5Gを活用した独自のIoTプラットフォームを提案しており、デバイス・データ管理APIやネットワークAPIなどをサードパーティへ公開・提供することで5G IoTのシェア獲得を狙っています。

2010年代はスマホとLTEによって人々の生活が劇的に変わりましたが、2020年代の人々の生活は5Gによってどのように変遷するのでしょうか。ソフトバンクを始めとしたMNO各社の動向に注目が集まります。

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今年7月より本格的に提供が開始されたソフトバンク IoTプラットフォーム。ここに5Gが加わり更なる基盤強化が図られる




記事執筆:あるかでぃあ


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