NTTどこも、2021年10月14日の通信サービス障害の行政指導に対する報告書を提出!

NTTドコモは28日、同社の携帯電話サービスにおいて2021年10月14〜15日に発生した音声通話およびデータ通信が利用できないまたは利用しづらい通信障害に関して総務省へ2021年12月27日(月)に報告書を提出したと発表しています。総務省では同通信障害に対して電気通信事故に関する適切な対応について2021年11月26日付で指導を行っていました。

同社ではすでにこの通信障害に関して説明会を開催し、影響利用者数は音声通話が約460万人、データ通信が830万人以上になることを明らかにし、再発防止策も案内していましたが、改めて総務省に「電気通信事故に関する適切な対応について(報告)」を提出しました。報告書の要旨は http://ngt.idc.nttdocomo.co.jp/20211228_00.pdf より確認できます。

これを受けて総務省は28日、NTTドコモが提出した報告書の概要を公表し、さらに他の携帯電話事業者(KDDIおよびソフトバンク、楽天モバイル)に対して実施した緊急点検の結果についても併せて公表したとお知らせしています。同省では緊急点検について3社ともにNTTドコモが講ずる再発防止策と同等の措置が講じられている、または検討中であることを確認したということです。

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NTTドコモでは今回の通信障害に対して通信設備の工事における事前準備の徹底や障害発生時の影響を抑える措置の導入、利用者へのお知らせ方法の見直しなどを進めるとともに業界全体への情報共有を実施しており、これらの取り組みを通じて再発防止と改善を図っていくということです。

<指導事項1:原因となったIoTサービスについて>
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(1)旧設備で実際に提供されているIoTサービスが新設備で正常に動作することの確認
○仕様考慮不足によるソフトウェア不具合への対策
・10月14日の切替工事にて切り戻し事由となったソフトウェア不具合については新設備(位置情報サーバー)のソフトウェアを更新(海外ローミング信号への対処)することで旧設備と新設備の仕様 差分の改善を図る
 2021年11月ソフトウェア開発完了、2021年12月ソフトウェア更新完了

・さらに新設備と旧設備の仕様等を比較して差分の抽出を行った結果、仕様差分を発見した。仕様差分については新設備(位置情報サーバー)のソフトウェアを更新して仕様差分の改善を図る。
 2021年12月ソフトウェア開発完了予定、令和4年1月ソフトウェア更新予定

○ソフトウェア不具合対処後の正常動作確認
・旧設備にて提供されていたサービスの正常性確認試験を新設備にて実施する事で切替工事での不具合再発防止を図る。ローミングアウトの試験においては机上確認と遠隔での試験ツールによる 網羅的な実呼試験を行い切替工事での不具合再発防止を図る。
 令和4年3月完了予定

(2)切替工事の業務委託先との間で作成される切り戻しの作業手順等の確認
○業務委託先との認識齟齬への対策
・NTTドコモと業務委託先は当該通信事故の原因となった切替工事手順内容を再度整理した上で、手順内容および役割分担を明確化して双方で合意した手順内容について当社手順書に反映することで 合意した。また反映された当社手順書については双方の工事責任者において相互に認識について齟齬がないことを確認し、認識齟齬による事故の再発防止を図る。
 2021年12月双方の工事責任者にて手順内容や手順書への反映について合意、同社手順書について双方の工事責任者において令和4年3月確認予定

・次回切替工事に向けて従来から実施している切替手順内容や当日の社内体制等の最終確認に加え、切替手順と切り戻し手順について新たに作成したチェックシートを用いて最終確認を行う 事で再発防止を図る。
 令和4年4月完了予定


<指導事項2:メンテナンスのサービスへの影響評価と事前準備の徹底について>
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(1)電気通信設備の切替工事を実施する際には新旧設備の仕様、不具合発生時の携帯電話サービスを含む貴社の提供するサービスへの影響に関する事前評価を実施して事前の準備を徹底
○不具合発生時の利用者影響極小化に向けた対策
・電気通信設備の切替工事において手順書に記載ない事象が発生した際に切り戻しの判断を行う『最終判断時刻(事象解析時間・切り戻し時間等を踏まえた時刻)』を設定するプロセスへ変更して工事実施前のチェックシートに盛り込む。
・上段の『最終判断時刻』を設定するプロセスに加え、利用者申告の多発など、利用者影響が発生した場合は即座に切り戻すことをルール化する。
・切替工事中に発生する可能性がある警告信号やトラフィック変動をあらかじめ明確化し切替手順書に反映して影響極小化に努める。上記3点の変更は、社内会議にて周知し水平展開を実施する。
 2021年10月完了

○新旧設備の仕様考慮不足への対策
・NTTドコモにて電気通信設備の切替工事を実施する際には旧設備と新設備との仕様差分を網羅的に確認するプロセスへ変更して不具合発生の防止を図る。プロセス変更は社内会議にて水平展開を実施する。
 2021年11月完了

・ローミングに関わるサービス切替工事前の正常性確認は通常のNTTドコモ網内の試験(国内試験)に加え、ローミングアウトサービスにおいても海外オペレータ差分を考慮した網羅的に試験を実施するプロセスへ改善する事で仕様差分による不具合発生の防止を図る。プロセス変更は社内会議にて水平展開を実施する。
 2021年11月完了

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(2)電気通信設備またはソフトウェアについて製造・開発・販売を行うベンダーとの間での仕様の確認
・製造および開発を行うベンダーとの仕様の確認は仕様差分が発生しないプロセスであることを確認した。当該事象は指導事項2の(1)における仕様考慮不足の対策を実施する事によって改善が可能であることを確認できている。
 2021年11月完了

(3)切替工事の業務委託先等との間での作業手順確認など、社外関係者との連携を徹底
・業務委託先の作業(他社設備をNTTドコモ設備へ移管する作業など)をNTTドコモにて確実に把握するため、業務委託先作業内容をNTTドコモ手順書に反映するプロセスに変更する。また再発防止として網羅的な新たなチェックシートを取り入れるプロセスへ変更する事で、業務委託先・社外関係者との連携強化を図る。プロセス見直しは社内会議にて周知し水平展開を実施する。
 2021年10月完了

<指導事項3:障害時の影響を最小限とするための措置について>
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(1)通信の輻輳や事故の発生時に相互に与える影響を最小限とする措置
○IoT端末に対する規制(docomo IoT回線管理プラットフォームへ契約の端末を「IoT端末」と記載)
・IoT端末からの大量の位置登録信号のNTTドコモ網への流入を抑止してネットワークの安定運用を実現するため、音声交換機/パケット交換機/信号交換機にてIoT端末からの位置登録信号のみを規制する機能を具備する事により輻輳の早期鎮静化を可能とする。
 令和4年1月ソフトウェア開発完了予定、令和4年3月ソフトウェア更新予定

○IoT端末からの一斉・大量の位置登録信号への対策
・当該電気通信事故にて輻輳が全国に波及した原因の1つはIoT端末と一般端末でリソースが共有されていたことにより発生した信号交換機の位置登録用リソース枯渇であった。原因となった信号交換機の位置登録用リソースをIoT端末と一般端末で分離する事により影響の拡大を抑止する。
 2021年12月ソフトウェア開発完了予定、令和4年3月ソフトウェア更新予定

○措置運用の準備
・IoT端末に対する規制への対策機能導入後の輻輳発生時の規制措置についてはネットワークコントロール手順を制定した。新たに制定した手順では位置登録用リソースの利用状況を確認し、IoT端末用のリソースでひっ迫した状態が確認された場合にIoT端末の位置登録信号のみを規制し、輻輳の沈静化を図る。その後、ネットワークの信号状況(位置登録用リソースの利用状況含む)を確認しながらIoT端末の規制解除を進める。
 2021年12月に制定完了
 制定したネットワークコントロール手順の措置訓練を令和4年3月に実施予定

<指導事項4:利用者などへの周知の内容および方法の改善について>
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(1)利用者などへの周知の内容および方法の改善
○「障害回復」表現を用いた周知内容の改善
・今までの障害発生時における「回復」の使用方法を改め、ネットワークの輻輳に伴う通信規制の状況等を確認し、通信規制による影響等がなくなったときにはじめて「回復」として周知するようルールを変更し、周知文のひな形を内容変更する事でわかりやすい情報提供を図る。

○特定の条件で利用しずらい状況が続いてる場合における周知内容の改善
・特定の条件で利用しづらい状況が継続しており、端末操作でその状況が改善する可能性がある場合はその操作方法を伝えるよう、周知文のひな形を内容変更することでわかりやすい情報提供に努める。

○利用しずらい状況が続いてる場合における周知内容の改善
・障害の原因となる事象が解消されても利用しづらい状況が続いている場合はその旨を伝え、ネットワークの輻輳が解消されるまでは不要不急の通話や通信を控えるようにお願いをし、周知文のひな形を変更することでわかりやすい情報提供を図る。

上記3点は社内会議にて周知し水平展開を実施する。
 2021年11月完了

(2)メディア対応と社外周知タイミングの改善
・今回の障害発生時においてメディアに対してまだ正式に公表していない検討段階での情報を示唆してしまい、メディアの報道と正式な社外周知との間にタイムラグが生じて混乱を招いてしまったことを反省し、メディア対応時の情報と社外周知の情報に差分が起こらないようにルールを定めて利用者にわかりやすい周知が行えるよう改善を図る。社内会議にて周知し水平展開を実施する。
 2021年11月完了

<指導事項5:同様の事故の再発防止のための情報共有について>
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(1)他の携帯電話事業者への情報共有の実施
・当該通信事故の教訓を通信業界全体で共有するため、事故の発生原因、措置状況、再発防止の詳細について他の移動体通信事業者(MNO)の各社へ説明を実施する。
 2021年11月・12月に実施:KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル

(2)利用者周知方法の改善に関する事業者横断的な検討
・当該通信事故での対応を受けた利用者周知の内容および方法の改善についてはNTTドコモで策定した改善策について他のMNOに説明を実施する事にて事業者横断的な検討を促す。MNO各社との打合せを実施する。
 2021年12月に実施:KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル
 電気通信事故検証会議:2021年12月15日
 検討事項:NTTドコモが策定した改善策をもとにMNO各社がどのような取り組みを行うことができるか、以下の2点について現時点の対応方針を確認したうえで検討を継続する。
 (i)利用者に分かりやすく状況を伝える表現の使用
 (ii)特定の端末操作で事象が回復する場合の操作方法の案内
 今後の進め方:電気通信事業者協会(TCA)にて取りまとめられている事業者横断的なガイドラインである「電気通信サービスにおける事故および障害発生時の周知・情報提供の方法等に関するガイドライン」への事例反映等について検討を進める。

また今回の通信障害について利用者に多大な迷惑をかけたことを改めて謝罪するとともに、今後も安心・安全にサービスを利用できるようにより一層の通信ネットワークの信頼性向上に努めていくとしています。





記事執筆:memn0ck


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報道発表資料 : 2021年10月14日の通信サービス障害の行政指導に対する報告書を提出 | お知らせ | NTTドコモ
総務省|報道資料|株式会社NTTドコモからの電気通信事故の再発防止に向けて講じた措置に係る報告及び他の携帯電話事業者に対する緊急点検の結果について
総務省|報道資料|株式会社NTTドコモに対する電気通信事故に関する適切な対応について(指導)
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