iPadにアナログモデリングシンセサイザーKORG iMS-20登場 |
KORG iMS-20のルーツとなるMS-20(販売価格¥98,000)は、1978年に発売された2VCO(音の元となるオシレーターの数)でのパッチングによる凝った音作りが可能なモノフォニック(単音)アナログシンセサイザーです。さらに、弟分に1VCO仕様のMS-10(販売価格¥53,500)がありました。
MS-20と同時期に、MS-20から鍵盤を省いたMS-50(販売価格¥85,000)や、声がロボットボイス風になる事でお馴染みのボコーダーVC-10(販売価格¥155,000)、電気信号を時間で変更させることによってシンセサイザーをコントロールするシーケンサーSQ-10(販売価格¥64,000)がラインナップされていました。
iMS-20は、このMS-20とシーケンサーSQ-10をコラボさせたマニアックなiPadアプリとなっています。
iMS-20の紹介を前編「これを読めばアナログシンセサイザーが分かる」、後編「各パートの紹介とパターン・ソング作成」と、2回に分けてお届けします。
アナログシンセサイザーの仕組みを学べるiMS-20音源部
緻密にMS-20を再現した画面
サウンドエディットは、iMS-20のメイン画面の他に、各ノブ部分を拡大表示したZOOM MS-20を利用した方法が用意されています。
VCO(VOLTAGE CONTROLLED OSCILATTOR)
一番左側には、音の基本であるVCOブロックがあります。※1 ファミコンのブビブビ言うベースラインはこの波形が元になっています。
※2 ブラスやストリングス系など幅広い音作りが出来ます。
※3 8bitサウンドなどでお馴染みのピコピコサウンドの基本波形。
※4 サーっと言うノイズを発信します、ドラムサウンドや爆発音など効果音作りにも使えます。
VCO1で矩形波を選んだ場合は、真ん中のパルスワイズ(PW)ノブで波形の1周期の山の長さを変更し、音に変化を与えます。一番右に回しきると波形の山の時間が0になるため音が出なくなりますが、電気信号自体は発生しているので、VCO2のリングモジュレーターやフィルターのレゾナンス(PEAK)で発信することが可能です。
横並びにあるVCO2のPITCHのノブは、音のピッチをほんの少しずらして音に厚みを付けるときや、3度、5度など構成和音として重ねて使う事も出来ます。ノブを左右目一杯回すと1オクターブ音程が変化します。
スケールノブは、音の音域を設定します。数値が大きいほど低域に寄ります。
VCOミキサーでVCO1、VCO2それぞれのバランスを調整します。
VCF(VOLTAGE CONTROLLED FILTER)
VCFには、高音域をカットするハイパスフィルターと低音域をカットするローパスフィルターの2つが用意されています。このセクションで、明るい音、暗い音、派手な音など、サウンドエディット上で重要な加工を行います。
ハイパスフィルターは低音域をカットして、高音成分だけを抽出します。ノブを右に回していくと、音が明るく、軽くなっていきます。
PEAKノブで、ハイパスフィルターでカットした周波数域の音を強調し音に変化を与えます。このパラメーターは一般的にレゾナンスと呼ばれています。
ローパスフィルターはハイパスフィルターの逆で、高音域をカットして、低音成分だけを抽出します。ノブを左に回していくと、こもったような音になっていきます。
こちらもPEAKノブでローパスフィルターで設定した周波数域の音を強調する事が出来ます。
VCO(VOLTAGE CONTROLLED AMPLIFIER)
表記ではENVELOPE GENERATOR2となっていますが、一般的なアナログシンセサイザーで言うところのVCAブロックがその隣に並んでいます。上からHOLD TIME、音の立ち上がりの速さを設定するATTACK TIME、音の減衰の時間を設定するDECAY TIME、音の持続音量を設定するSUSTAIN LEVEL、音の余韻を設定するRELEASE TIMEのパラメーターがあります。
HOLD TIMEは特徴的なパラメーターで、このノブで設定した時間分、キーを離して(トリガー信号が解除されてから)も毎回同じエンベロープで音を鳴らすことが出来ます。持続音はDECAY TIMEとSUSTAIN LEVELでコントロール出来ます。
MODULATION
VCO、VCFブロックの下段には、時間的に音程やフィルターの変化を可能にするモジュレーションの設定が並んでいます。VCFにモジュレーションを掛けると、シンセベースの「ボワン」と言う独特の音や、ブラスサウンドの「プワー」の様な音色変化を作り出すことが出来ます。
FREQUENCY MODULATIONパラメーターで、音程やフィルターに周期的な変調を掛ける事が可能です。音程に掛ければ、ビブラート効果やサイレンのような音に、フィルターに掛ければボワボワボワ・・・の様な独特なシンセサウンドを作ることが可能です。
PATCH
この他にも、かなりマニアックな音色変化やコントロールを可能とするパッチ機能があります。右下のTRIG OUTからパッチケーブルを伸ばして配線途中
例えば、ピンクノイズ(ゴーっという雑音)やホワイトノイズ(サーっという雑音)をVCO2に入れて、VCO2でもノイズを発信させる事も出来ます。
細かい説明は割愛しますが、電気信号の流れをコントロールし最終出力に繋げるイメージで配線する必要があります。化学実験気分で色々とパッチしてみると面白い発見があります。
特徴的なパラメーターや効果、パッチによる効果などiMS-20の音作りはなかなか面白い物があります。
後編では、シンセパート、ドラムパート、パターン作成についてお送りします。
記事執筆:mi2_303
アプリ名:KORG iMS-20
価格:¥3,800(2011年1月31日まで¥1,800)
カテゴリ: ミュージック
開発者:KORG INC.
バージョン:1.0.0
iTunes Store:http://itunes.apple.com/jp/app/id401142966?mt=8
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