NTTドコモが通信サービスをさらに高速化!3.5GHz帯とFDD/TDDのCAなどを6月から提供に

NTTドコモは2日、都内にて「ネットワーク説明会」を開催し、今年6月より国内最速となる受信時最大375Mbpsの高速通信サービス「PREMIUM 4G」および3.5GHz帯(Band 42)によるTDD方式(時分割複信)のLTE(TD-LTE)による受信時最大370Mbpsのサービス提供を開始すると発表した。

これらはすでに提供しているLTE-Advancedの技術要素の「キャリアアグリゲーション(CA)」における3つの波を束ねる3CC CAの対応状況を進めたもので、特に受信時最大370Mbpsについては異なるFDD方式(周波数分割複信)とTDD方式を束ねたサービスになる。

また、300Mbps超のエリアは、通信トラフィックの緩和を目的として都市部を中心に展開する。さらに高速な375Mbpsのエリアについては、東京では新宿と池袋の一部にエリアを設ける。また、3.5GHz帯重点地区として東京および新橋、品川、渋谷、新宿、池袋の山手線エリアが挙げられた。

この高速通信に対応した端末が今後に発表および発売されることも質疑応答で明らかにされたが、対応する端末がどのような製品になるのかなどの詳細については決定後、正式に発表するという回答に留まったが、時期的に見て恐らく「2016年夏モデル」として登場しそうだ。今回はこれらの高速通信について紹介していく。

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説明会には同社 常務の大松澤清博氏が登壇し、冒頭で多くの人で混雑する駅前エリアのPREMIUM 4G化ですでに最繁時の実行速度が平均8倍にアップし、快適さが向上していることを紹介した。

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また、総務省の主導によって行われている実行速度測定においてもすでに判明しているように、NTTドコモがauやソフトバンクよりも良好な結果になったことを報告した。

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続けて、今後の進化として国内最速の強化をするために、2GHz(Band 1)の受信時最大112.5Mbpsと1.7GHz(Band 3)の受信時最大150Mbps、フルLTE化した800MHz(Band 19)の受信時最大112.5Mbpsを同時利用する3CC CAで受信時最大375Mbpsへ高速化すると発表した。

ただし、800MHzは依然として3G(W-CDMA方式、FOMA)でも使われているため、フルLTE化は新宿などの一部エリアのみでそれ以外のエリアは受信時最大337.Mbpsとなる。なお、800MHzをフルLTE化したエリアでも3Gがきちんと使えるように配慮していく。

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そしてもうひとつ、新たなLTE専用周波数の3.5GHz帯が追加される。総務省から2014年12月に開設計画の認定を受けた新たな周波数帯であり、割り当てられたauとソフトバンクを含む大手携帯電話会社3社では2017年には受信時最大1Gbps以上の高速通信網を提供することをめざしている。

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この3.5GHz帯はTDD方式を適用し、上り通信(送信時)と下り通信(受信時)を帯域で分割したFDD方式とTDD方式の良さを活かした上り・下りの高速通信を実現していく。

3.5GHz帯を追加したCAでは、FDD方式による1.7GHzの受信時最大150MbpsとTDD方式による3.5GHzの受信時最大110Mbpsが2つの合計3波によって、受信時最大370Mbpsを実現。なお、上り通信は1.7GHzの最大送信50Mbpsとなる。

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3.5GHz帯はアドオンセル(既存のネットワークに追加する形)として展開し、特に混雑するエリアにおいて「快適さ」を向上することが目的としている。同社では2016年2月24日に実施したフィールド試験では実行速度340Mbpsを計測したとして通信の有用性をアピールした。

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東京地区の300Mbps超対応エリア

これらの受信時最大375Mbpsや受信時最大370Mbpsに対応した端末はサービス開始が6月とされていることからも2016年夏モデルとして登場する見込みだ。なお、すでに3CC CAに対応している「AQUOS ZETA SH-01H」については現在もドコモラウンジなどの一部スポットで利用できる受信時最大337.5Mbpsまでとなっている。

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今後は500Mbps超を2017年度に実現、さらに1Gbpsをめざし、2020年の5Gを実現していく。これらはマルチアンテナ(MIMO)やCAの束ねる波を増やした4CCや5CC、変調方式を256QAMに高度化するなどが導入される予定だ。

一方、3.5GHz帯とともにすでに割り当てられている700MHz帯については同社ではまだ活用されていないが、これについては「既存の利用者が多数おり、まだ調整中」であると説明された。

さらに、NTTドコモではコアネットワークに今年3月から仮想化技術を導入開始予定であるとし、通信の混雑時に自動認識してスペックアップするオートスケーリングや故障時に自動かつ短時間に修復するオートヒーリングといった機能が導入され、ネットワークの安定化が強化される見込みだ。

この他、地震科学探査機構(JESEA)が研究する地殻変動から地震の場所と時期を予測する「地震予測システム」の実証実験への協力と基地局に設置した高性能カメラから津波の被災状況を監視する「津波監視システム」の運用を2016年3月4日(金)から開始することなどについても説明された。

記事執筆:mi2_303


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