Yokohama&docomo&and factoryが共同会見で「未来の家プロジェクト」を発表!

NTTドコモと横浜市、and factoryは22日、パシフィコ横浜にて共同会見を行い、AI技術やIoT技術を活用し、快適で健康な暮らしのサポートや高齢者の1人暮らしおよび災害時の対応などをめざしたプロジェクト「未来の家プロジェクト」を発表しました。

現在のAI技術はビッグデータの活用や機械学習・ディープラーニングなどによって言語理解の精度が高まり、一般的な会話形式でさまざまな機器を制御できるレベルに達しています。またIoT技術に関してもより小型で高性能なセンサー機器が開発され、それらを複合的に組み合わせることで人々の生活をより便利にする利用法が見出されつつあります。

今回の共同会見ではNTTドコモが旗振り役となってIoT機器の制御に関する部分をand factoryが担当し、横浜市がNTTドコモやand factoryを含めた各企業をまとめ技術研究や開発の場を提供するまとめ役というスタンスをとっています。今回はこの取り組みについて共同会見の模様を写真を交えて紹介したいと思います。

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IoT技術を駆使した家造りをめざす「IoTスマートホーム」のモデルハウス


■IoTを軸に地域社会の問題解決をめざす横浜市
共同会見では横浜市、NTTドコモ、and factoryがそれぞれ登壇してプレゼンを行い、プロジェクトで担当する分野の詳細や連携内容について説明しました。

横浜市は4月よりIoTなどの革新技術を活用したビジネスを創出するための推進システム事業「I・TOP横浜」を立ち上げ、これまで展開してきた中小企業支援を核とするライフイノベーションプラットフォ―ム「LIP.横浜」と併せて2つのオープンイノベーション推進システムの構築をめざしており、今回の「未来の家プロジェクト」もまたその構想の一環として実施されるものです。

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横浜市 経済局長 林琢己氏


横浜市では地域社会の高齢化問題や高齢単身世代の増加などを大きな課題と捉えており、その解決に必要な手段としてAIやIoT技術の開発を支援しています。

具体的にはI・TOP横浜の取り組みとして約6000社を数える製造業関連企業と約3000事業所を持つIT関連企業を抱えている点を強みとしており、各企業の連携や共同開発、また横浜市全体を利用した多様性のある地域での社会実験が可能である点なども、横浜市が持つポテンシャルとしてアピールしています。

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日本国内における80歳以上の高齢単身世代は平成37年(2025年)には現在の2倍近くに増加すると予想される


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未来の家プロジェクトはI・TOP横浜のプロジェクトの1つ


■デバイスWebAPIによる統合制御をめざすNTTドコモ
NTTドコモは今回のプロジェクトの基幹技術とも言えるAPI関連を担当しており、さまざまな機器を1つの制御システムでコントロールするための「デバイスWebAPI」の開発やその実装を担当します。

デバイスWebAPIはその名の通りインターネットを介して各種IoT機器を制御するもので、高いオープン性やデバイスの拡張性をメリットとしています。またその安全性を高める目的も含め、デバイスWebAPIの推進を目的とした「デバイスWebAPIコンソーシアム」の設立と主催もNTTドコモが行っており、現在129の法人および個人が会員として活動しています。

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NTTドコモ執行役員 R6D戦略部長 兼 イノベーション統括部長 大野友義氏


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デバイスWebAPIによってさまざまなIoT機器を一括制御可能になる


今回そのデバイスWebAPIのテストの場として用意されたのがトレーラーハウスを用いた「IoTスマートホーム」でのモデルルーム実験であり、プロジェクトで用意された2年間このモデルルームを利用して技術開発やWebAPIの調整を行っていきます。

プロジェクトは直接的な商用(=スマートホームの実用化・販売など)をめざしたものではなく、飽くまでも技術の実証実験を主体としたもので、制御技術に関して言えば、その安全性や有用性、発展性などを確認するためのものだと推察されます。

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実験用IoTスマートホームでは手元の端末による家電の制御はもちろんのこと、AIを利用してユーザーが求める前にレスポンスを返す実験なども行われる


■IoT機器の管理アプリを開発するand factory
IoT機器の制御システムがデバイスWebAPIだとするならば、そのシステムのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を担当するのがand factoryです。

and factoryはスマートフォン(スマホ)やタブレット向けのIoTデバイスの統合管理アプリケーションを開発し、その実用の場として最先端のIoTデバイスを駆使した日本初のスマートホステル「&AND HOSTEL」事業も手がけています。

このand factoryのノウハウがIoTスマートホームの制御アプリケーションに使用されており、今後プロジェクトの進展に合わせてアプリケーションも改良していくとのこと。AIによる自動制御と併せ、家電や屋内環境の一元管理をめざすとしています。

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and factory代表取締役CEOの小原祟幹氏


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ユーザーは手元のスマホだけで家中の環境を制御・確認できる


■そもそもIoTスマートホームとは何か
話が前後しますが、そもそもIoTスマートホームとはどのようなものでしょうか。横浜市やNTTドコモが構想するIoTスマートホームとは、単に各種センサー機器を使い人の行動や生活の支援を一括管理することではなく、人々の行動をAIが「先読み」することでIoT機器を意識することなくスムーズな生活が送れることです。

例えばベッドには睡眠状態を検知するセンサーがあり、レム睡眠時などを検知することで気持ちよく起きられるタイミングで起こしてくれ、さらに照明などを自動調整することで、より自然で快適な起床を促すなどです。

そういった制御は当然ながら人がスマホなどで行うわけではありません。すべてをAIが制御し、そのAIが制御すべき機器を一括管理するためのシステムがデバイスWebAPIなのです。デバイスWebAPIは各デバイスを一元管理するだけではなく、それらの機器を連携させそこから得られた情報をAIが総合的に判断するためのシステムです。

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ベッドの起床システムは単体で動くわけではない。そこから得られた情報を元にAIが照明やTVなどを同時に制御し人が快適に行動する支援を行うのがこの実証実験の目標だ


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朝の身支度で鏡の前に立つと、足元の体組成計がその情報を鏡に映してくれる。この情報もまた単体で利用するだけでなくAIによる体調管理アドバイスなどへの活用が考えられる


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生活様式を強要するのではなく、飽くまでもユーザーに「気づき」を与え現在の生活を支援するのがIoTスマートホームの目的だ


■IoT技術の基幹システムをどこまで普及できるのかがカギ
IoTスマートホームとは、1つの企業や自治体の商品ではなく近い未来に存在する普遍的な概念だと考えられます。今回のプロジェクトでは2年間という実証実験の期間が設けられ、その短い時間の中でさまざまな実験や検証が行われますが、恐らく現在目にしているIoT機器やその活用法は2年後には大きく様変わりしているでしょう。

そういった技術革新とトレンドの移り変わりが激しいIoT分野だけに、制御の基幹技術となるAPIを担当するNTTドコモがどこまで技術を確立し、デバイスWebAPIコンソーシアムという団体を広く展開できるのかが大きな焦点になりそうです。



記事執筆:あるかでぃあ


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