ソースネクストとポケトークがそれぞれ新製品を発表! |
パソコン(PC)ソフトやAI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」(以下、ポケトーク)、会議関連製品に特化したブランド「KAIGIO(カイギオ)」などを展開するソースネクストは13日、「ソースネクスト新製品、およびポケトーク事業戦略発表会」を都内で開催し、360度Webカメラ「KAIGIO CAM360(カイギオ カム サンロクマル)」を2022年4月14日(木)に発売、iOSおよびAndroidに対応した「ポケトークアプリ」を2022年4月25日(月)から提供開始することを発表した。
このうちKAIGIO CAM360についてはすでに販売が開始されており、先にレポート記事も掲載しているのでそちらも参考にして欲しい。今回はレポートと前後してしまったが、発表会におけるプレゼンテーションの内容を元にKAIGIO CAM360とポケトークアプリの投入に至った背景や戦略などを紹介していく。
・ソースネクストがオールインワン360度Webカメラ「KAIGIO CAM360」を発売!AI自動分割表示や既存製品との違いなどを写真と動画で紹介【レポート】
発表会の前半ではソースネクスト代表取締役社長兼COOの小嶋智彰氏が登壇し、KAIGIOブランドの製品について説明した。その中で2020年12月4日(金)発売のAIボイスレコーダー「AutoMemo(オートメモ)」および2022年1月21日(金)発売の「AutoMemo S(オートメモ エス)」が文字起こしのできるボイスレコーダーとして2021年累計出荷台数1位に、また360度Webカメラ「Meeting Owl Pro(ミーティング オウル プロ)」は今年2月には販売台数2万台を突破し、いずれも好調であることを報告した。
続けて小嶋氏は対面が主流だった働き方から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によってオンラインによるリモートワークが一気に広がりを見せ、さらに現在ではCOVID-19による影響がやや落ち着きを見せる中で対面およびオンラインのハイブリッドワークが主流になっているとした。その上で同社が実施したリモート会議に関するアンケート結果について説明した。
その結果、約80%の人が「ハイブリッド会議が増えている」と答え、70%以上の会社が「リモートワークやハイブリッドワークを継続する予定」と答え、さらに70%以上の人が「リモートワークもしくはハイブリッドワークの継続を希望する」となったという。
リモートワークやハイブリッドワークへの移行が望まれる中、業務のオンライン化において課題を感じている人も多いという。例えば、リモート会議やハイブリッド会議においては音声が聞こえないなどの機器の音響に関するものや相手の顔が見えない、反応が分かりにくい、資料の共有がうまくいかない、誰が参加しているのか、また誰が発言しているのか分からないなど、ありがちではあるがうまく解消できない課題が多く、システム上のトラブルやコミュニケーションの取りにくさに困っているという。
こうした悩みを解決すためにソースネクストではすでにこれまでの約2年に渡ってオールインワンの360度WebカメラであるMeeting Owl Proを拡販してきた。
360度カメラを搭載するMeeting Owl Proは会議室全体を映し出すだけでなく、発言者をフォーカスして大きく表示するなど分割表示よって全体および個人を表示し、誰がいるのかだけでなく発言している人や表情なども分かりやすくなっている。またマイクやスピーカーも搭載したオールインワンモデルのため、設置や利用が簡単な点も特徴。
このMeeting Owl ProはアメリカのOwl Labsが開発した製品で、今から2年前の2020年4月にソースネクストが国内における独占販売権を取得して国内販売をしてきた。
このMeeting Owl Proを導入した企業へのアンケート調査では、通常の定点カメラよりも360度カメラの方が議論が活性化すると80%の人が回答しており、この360度カメラを他の企業に薦めたいと答えた人は92%にものぼったという。
また世界市場におけるWebカメラの需要も増加傾向にあると予想されており、2027年までの間は年間でおよそ8.2%の成長が見込まれているのだという。
こうしたアンケート結果や世界における市場規模増加の予想を元に今回、ソースネクストでは新たな360度Webカメラ「KAIGIO CAM360」を自社開発した製品としてリリースした。
KAIGIO CAM360の特徴は4つのカメラを搭載した360度Webカメラで、本体上部には8つのマイクを内蔵し、本体下部には3つのスピーカーを搭載したオールインワンモデルとなっており、パソコン(PC)との接続および電源接続のみで簡単にセッティングできる。
またAIによる人物検知をし、分割表示も完全自動で利用できる。一方で表示モードは4種類7パターンあり、上部の操作パネルで簡単に切り替え可能だ。その他の詳しい機能や操作方法についてはレポート記事を参照して欲しい。
本体の価格(金額はすべて税込)は88,000円で、発売日は4月14日とすでに販売が開始されている。なお、既存モデルのMeeting Owl Proはこれまで126,500円で販売されていたが、KAIGIO CAM360の発売に伴って4月15日(金)からは99,880円に価格変更されている。
このように360度Webカメラのラインナップを拡充し、これまでのMeeting Owl Proも継続して販売されることとなる。また小嶋氏は「今後も会議をより生産的に快適なものにするため、ラインナップを増やしていきたい」とKAIGIOシリーズのラインナップ拡充を進めていく考えを示した。
製品名 | KAIGIO CAM360(型番:KGC1) |
本体サイズ | 約125(縦)×125(横)×280mm(高さ) |
本体重量 | 約815g |
カメラ | 入力:2K×4、出力:1080pフルHD |
マイク | 8個、半径5mまで認識可能 |
エコーキャンセラー | ○ |
ノイズキャンセリング | ○ |
スピーカー | 10W×3個 |
動作環境 | 本製品はパソコンに接続して使う必要があります。 Windows 11 Windows 10(32ビット/64ビット版) Windows 8.1(32ビット/64ビット版) macOS Monterey(v12.0) macOS Big Sur(v11.01) macOS Catalina(v10.15) |
カラー | ブラック |
メーカー保証期間 | 1年 |
同梱品 | KAIGIO CAM360本体 ACアダプター USBケーブル(PC接続用) 電源コード 取扱説明書 製品登録カード ハードウェア保証書 スタンド型説明書(会議室用) |
発売日 | 2022年4月14日(木) |
価格 | 本体:88,000円 専用バッグ(5月13日発売):5,500円 ワイド延長保証サービス(3年間):8,470円 |
続いて登壇したポケトーク代表取締役社長兼CEOの松田憲幸氏ははじめに既存のAI翻訳機であるポケトークに関する近況を報告した。
松田氏はアメリカでの販売状況は前年比約4.8倍と好調であることや今年1月に「ポケトーク字幕」をリリースしたこと、そして今年2月には新会社として「ポケトーク株式会社」を設立し、この2カ月で14.1億円の資金調達をしていたことを明かした。
また松田氏はアメリカ同様にヨーロッパ各国でも販売状況が好調であることを伝えた上で、ウクライナ大使館にポケトークを1000台寄贈したことや、ポーランドの国境付近で避難民にポケトークを寄贈していることを報告した。
ポケトークに関する近況を報告したところで、松田氏は新製品の発表としてスマホ向けのポケトークアプリを提供開始すると発表した。
ポケトークは2017年に発売された初代から現在の「POCKETALK S(ポケトーク エス)」や「POCKETALK S Plus(ポケトーク エス プラス)」といった専用機をメインに展開してきたが、WindowsとMacに対応したPC版のポケトーク字幕を今年から提供を開始している。
ポケトークアプリは専用機のUI(ユーザーインターフェース)を引き継ぎ、iPhoneやAndroidスマホなどで音声翻訳とカメラ翻訳が可能となっている。またクラウド上で最適な翻訳エンジンを選択しているため高い翻訳精度を実現しており、高速な翻訳速度も特徴だ。
利用料金は週額プランが120円/週、月額プランが360円/月、年額プランが3,600円/年となっており、初回の3日間は無料で試すことができる。提供開始日はiOSおよびAndroidともに2022年4月25日(月)から。
続いて松田氏はポケトークアプリおよびポケトーク字幕についてソフトバンクとのアライアンス(業務提携)を発表した。またポケトークアプリにおいてはソフトバンクが提供する携帯電話サービス「SoftBank」および「Y!mobile(ワイモバイル)」のスマホ利用者を対象に6カ月間の無料キャンペーンを実施する。さらにSB C&Sはポケトーク字幕の販売パートナーになる。
松田氏からの発表を受けてソフトバンク常務執行役員 菅野圭吾氏が登壇し、ポケトークアプリにおける提携については昨年の夏頃から議論をしてきたことを明かした。菅野氏自身もポケトークを利用したことがあるとのことで、昨今のリモートワークにおける利用はもちろん、今後少しずつインバウンドおよびアウトバウンドともに増加してくることを期待しつつ、このポケトークアプリをぜひ使ってほしいと語った。
またSB C&Sによるポケトーク字幕の協業についても触れた上で「ソフトバンク全体としてポケトーク、ソースネクストをバックアップしていく」とした。
松田氏は訪日外国人旅行者が2021年は2019年と比較して約99.2%も激減していることを示しながらも、アジアや欧米豪居住者への調査結果から日本は旅行先として人気が高いことが伺えると指摘。松田氏は有名な話としながら日本が人気の理由の1つとして「物価が安い」ことを挙げた。
ビッグマックやディズニーパスポート、さらにはAmazon Primeの年会費を例に挙げ、日本の物価の安さを指摘した松田氏は2021年1月からの1年余りで急速に円安が進行していることにも触れた。
一方で日本政府観光局は訪日外国人旅行者数が2030年には6千万人まで伸びると予想しており、松田氏によると「政府の発表でこの予想は変えていない」という。
さまざまな条件が整うことで日本の観光需要は今後増加傾向が期待できる一方、日本の英語力の低さは世界的にもかなり低いというデータもあるとのこと。これらのことから松田氏は「必ず翻訳機もしくは翻訳アプリが必要になると思っている」と話した。
その上で今回のポケトークアプリを含めさまざまなラインナップを揃えることで、今後必要になるであろう「大きな需要」に応えていきたいとした。
松田氏は最後に「リアルタイムのトランスレーション(翻訳、通訳)に関して、グローバルでリーダーになっていきたい」と展望を語った。最後に発表会場に併設されたタッチ&トライでポケトークアプリとKAIGIO CAM360を試した動画を紹介しておく。
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記事執筆:2106bpm(つとむびーぴーえむ)
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