早くも2014年夏モデルの話題を取り上げてみた!写真は昨年の各社2013年夏モデル発表会のもの

国内では毎年おおよそ5〜6月頃に「夏モデル」、そして、10〜11月頃に「冬モデル」という大きな2つの発表会が各携帯電話会社で行われている。もちろん、これらとは別に春モデルや秋モデルといったものもあったり、昨年などのように冬モデルと春モデルを同時に発表して「2013-2014冬春モデル」といったような場合もある。

とはいえ、大きな発表会は大体、夏モデルと冬モデルを中心に行われてきたといっていいと思うが、今年はこれが崩れそうな気配がある。

そこで、今回は昨月末にスペイン・バルセロナで行われた世界最大のモバイル関連イベント「Mobile World Congress 2014(MWC2014)」などのグローバル市場の動きを見据えつつ、国内市場の動向を推察していきたいと思う。

◯グローバル市場との商戦期の違い
まず、海外メーカーを中心にグローバル市場で活躍するメーカーは近年、1月に米・ラスベガスで行われる「CES(International CES)」と、2月にスペイン・バルセロナで行われる「MWC(Mobile World Congress)」という2つの展示会などでその年の上期の代表とも言える機種を、そして、9月に独・ベルリンで行われる「IFA」などで下期向けの機種を発表する状況となっている。

もちろん、完全にこれらの展示会で発表するというわけではなく、例えば、昨年であれば最大手のサムスン電子は単独で5月にフラッグシップモデル「Galaxy S4」を発表し、LGエレクトロニクスも8月にフラッグシップモデル「LG G2」を発表するなどしている。

一方、Appleは完全に毎年単独で夏から秋ごろに「iPhone」シリーズの最新モデルを発表しているが、これは春ごろに開発者向けイベントを行い、事前に最新プラットフォームなどを開発者に周知し、それらを受ける形で数カ月後に最新プラットフォームを採用した機種を投入する目的、そして、同時に海外における最大の商戦期であるクリスマスから年末に向けて最新機種を投入するという目的もあると見られる。

このようにバラバラではあるものの、やはり、大きく見れば、上期の早い時期と年末の証跡にに向けて、つまり、1〜2月ごろと9〜10月ごろの2つの時期に新製品発表が重なることが多いのだ。

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今年1月に行われた世界最大級のIT・家電関連イベント「International CES 2014」



◯いち早くグローバルの動きだった「Xperia」
これらのグローバル市場の流れをいち早く国内市場でも実践しているのが、iPhoneに続く人気モデルとなっている「Xperia」シリーズを要するソニー(ソニーモバイルコミュニケーションズ)だろう。Xperiaは早期にCESもしくはMWCなどで新機種を発表する流れとなっており、昨年はMWC 2013で「Xperia Z」、IFA 2013で「Xperia Z1」と日本でも人気となった機種を発表している。そして、今年も「Xperia Z2」がMWC 2014で発表された。

そのため、国内でもXperiaは特別扱いされることが多く、国内初の「Xperia SO-01B」は1月に単独で発表され、4月に発売と国内の夏モデルと冬モデルとは完全にずれており、その後も「Xperia arc」は春モデルとして、「Xperia PLAY」は秋モデル、さらに、「Xperia ray」は国内専用モデルながら単独で発表されるなど、基本的に国内の携帯電話会社の発表会とは違うタイミングで投入されてきた。

もちろん、これらをカバーするように、Xperia arcの国内向けモデルとして「Xperia acro」が夏モデルとして他のメーカーとともに発表されるというようなこともあり、昨年も夏モデルには国内向けに開発された「Xperia A」が投入されている。

特に下期については国内市場の冬モデルが発表されるタイミングが10〜11月であることが多いため、IFAなどで発表されたものが国内向けにカスタマイズされて、ちょうど良く発表・投入されることが多いわけだが、夏モデルの5〜6月の発表のタイミングは少なくともCESやMWCで発表したものからはかなり遅れることになるわけだ。

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日本でも発売が期待されるSONYブランドの最新スマホ「Xperia Z2」



◯今年は「GALAXY」もMWCで発表
このようにXperiaだけであれば、昨年と同じようなシーンとなるわけだが、今年はさらにサムスン電子も同社のフラッグシップモデル「Galaxy S5」をMWC 2014で発表した。しかも、4月11日に世界150カ国・地域で発売するということで、これに日本が含まれているのであれば、例年夏モデルが発表される5〜6月の頃にはすでに発売されていることになる。

もちろん、日本向けは多くのカスタマイズが必要となることから発売時期を遅らせるという可能性もなくはないが、150カ国・地域において発売されるのに、それに日本が含まれないのは逆に寂しいものがある。

この他にも、LGエレクトロニクスも昨年の「Optimus G Pro」を春モデルとして、Xperia Zと同時期に投入し、今年も「G Pro 2」をMWC 2014で発表している。なお、LGエレクトロニクスは昨年の夏モデルとしては国内専用モデル「Optimus it」を発売している。

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こちらはSamsungの最新スマホ「Galaxy S5」



◯国内メーカーの撤退も影響
さらに夏モデルの機種が揃わないという可能性に追い打ちをかけるのは、昨年はいたNEC(NECカシオモバイルコミュニケーションズ)Panasonic(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)の2メーカーがスマホ市場から撤退や休止していることがある(一応、Panasonicは国内の個人向けスマホ市場を休止という状況でインドなどの海外市場や法人市場ではまだスマホを開発・提供中)。

つまり、仮にソニーやサムスン電子、LGエレクトロニクスといったメーカーが春モデルとして発売するとなると、夏モデルはこれらのメーカーのフラッグシップモデルはないことになり、夏モデルは国内メーカーであるシャープや富士通、京セラといったメーカーが中心となることになる。

すでにソフトバンクモバイルはこれに近い状況にあり、同社代表取締役社長の孫正義氏は「機種数を絞ってる」とは言っているものの、やはり発表会を行い、機種数が少ないとなると寂しいものである。

これまで通り、機種数をそれなりに揃えて発表会を行うのであれば、シャープや富士通、京セラの開発を前倒しし、発表時期を早めた「春モデル」として3〜4月に行うか、昨年のように「春モデル」は出しつつ、ソニーやLGエレクトロニクスなどが夏モデルに国内線用モデルを用意するなどということになるだろうが、開発コストなどを抑える面で春モデルがフラッグシップモデルになるソニーなどは、どうしても夏モデルは一歩下がった機種になると推察される。

もちろん、昨年のXperia Aがおすすめ機種として価格面で請求することで大ヒットしたことを考えれば、すでにフラッグシップというハイエンドモデルだけが売れる時代ではなくなったとも思われ、フラッグシップモデルはコストもかかるため少量生産で話題性を重視するという戦略はありなのかもしれない。

サムスン電子も初の国内向けモデル「GALAXY J」を投入したこともあり、ソニーやLGエレクトロニクスと同じ戦略を取ってくる可能性もあり、このまま夏モデルと冬モデルというシーズンが続くのか、グローバル市場により近いシーズンになっていくのか、今年当たりが注目の年になるような気もする。

記事執筆:S-MAX編集部


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