無料で使えるプロ向けソフトで本格的な映像編集を

Appleのスマートフォン(スマホ)「iPhone 6s」および「iPhone 6s Plus」は本格的な4K(3840×1920ドット)で動画撮影が可能です。また、以前から4K動画撮影可能だったAndroidスマホも対応機種がさらに増えてきました。せっかく撮った4K映像ですが、"そのまま"観るためには4Kテレビ(TV)が必要と言うこともあり、あまり実用性を感じてない人もいますよね。

そこで今回は、業務用のカメラや編集機を扱うBlackmagic DesignのWindowsやMacといったパソコン(PC)用ソフト「DaVinci Resolve 12」(以下、DaVinci Resolve)の無料版を使い、iPhone 6sなどの4K動画をTVやPCにちょうど良いフルHD(1920×1080ドット)に変換しつつ、このソフトの大きな特徴の「カラーグレーディング」機能を使って映画のような色合いに調整する方法を紹介します。

まずは、DaVinci ResolveをBlackmagic DesignのWebサイト( https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve )からPC用ソフトをダウンロードしてWindowsやMacにインストールします。簡単な登録をすればダウンロードは無料です。

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インストールしたらDaVinci resolveを起動して、新規プロジェクトを作成します。最初に表示される「メディア」の画面にiPhone 6sもしくはスマホで撮影した動画(4K)をドラッグ&ドロップします。今回はWindows 10の画面で説明していきます。

画面下にはメディアの他にカット編集をする「エディット」、色を設定する「カラー」、映像を別ファイルに出力する「デリバー」のタブがあります。カラーグレーディングをするには、カラーのタブをクリックします。

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カラーグレーディングは素材として撮影した映像を、写真のように色味を調整することです。さらに複数台のカメラで撮影した映像の色味を簡単に設定できるよう「LUT(Lookup Table)」(ラット)というものがあり、この設定がDaVinci Resolveには多数用意されています。

ただし、このLUTは専用のカメラで撮影した映像に対して変換を行うものなのでiPhone 6sなどで撮影した動画に適用しても、コントラストが高すぎたり、色が派手になりすぎたりして思ったように上手くいきません。

そこで、DaVinci Resolveの編集の特徴である「ノード」機能を使ってLUTの効果を最大限に得られるように設定していきます。

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ノードの追加は、メニューの中の[ノード]から[シリアルノードの追加]を選ぶとノードが2つになります。

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ノードが2つになった


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このノードは左から右へ効果が掛かり、最終出力の映像となる仕組みです。まずは、一番左のノードをダブルクリックし、業務用ビデオカメラのように「コントラスト」を下げて全体的にややグレーとなる映像に調整しておきます。この際に画面右下のスコープを「波形」にしておくとRGB各色の出力具合が確認できます。

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コントラストの大まかな設定が終わったらいよいよLUTを充てます。一番右のノードをダブルクリックして選択した後、右クリックして[3D LUT]→[Film Looks]→[Rec709 kodak 283 D55]というコダックのフィルムシミュレーションを設定します。他のLUTも個性的なので、興味があったら試してみてください。

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フィルムのような柔らかい映像にすることができました。ここでもう一度最初のノードをダブルクリックして、最終的な映像調整を行います。

コントラスト以外に色の濃さを「彩度」で調整して映画のように光の中に色が乗っているように調整してみました。

また、白飛びや黒つぶれ、中間トーンを映像の明るさに合わせて「ゲイン」、「リフト」、そして「ガンマ」の丸いカラーの下にある横長のダイヤルを動かして調整します。

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最後にデリバータブをクリックして、映像出力の設定を行います。圧縮品質は「高」もしくは「中」し、出力解像度を「1920 × 1080」に設定します。出力先のフォルダーの設定、出力ファイルネームを設定したら「レンダーキュー」に追加をクリック。

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画面右にレンダーキューが追加されたのを確認してから「レンダー開始」をクリックします。これでiPhone 6sなどで撮影した4K動画がフィルムシミュレーションをしたフルHD動画に変換されます。

2021
元の映像(写真=左)と今回編集した映像(写真=右)


【今回作成した動画】

動画リンク:https://youtu.be/kfkPfSP9ysI

DaVinci Resolveは、用語や操作が難しいと感じるかも知れませんが、基本パラメーターを変更すればどのような効果になるのかさえ理解できればすぐに使いこなせると思います。

有料版にアップグレードすれば、人物の肌だけを滑らかにしたり、映像のノイズを調整したりと、ノードのコントロールで複雑なことができるようになります。デジタル一眼カメラなどで動画を撮影している方などにオススメです。

スマホ向けのお手軽編集アプリもいいですが、やはり調整の幅の広いプロ向けの動画編集ソフトも楽しいので是非使ってみてください。

記事執筆:mi2_303


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DaVinci Resolve 18 | Blackmagic Design