iPhone 7・7 Plusなどの既存機種はiOS 11でどう変わる?マルチメディア関連をチェック |
Appleが現地時間9月19日(日本時間では9月20日未明)より配信予定のiPhoneやiPadなど向け最新プラットフォーム「iOS 11」。みなさん、導入に向けてデータのバックアップやパソコンを使う場合には「iTunes」の12.7へのバージョンアップなどはすでに済ませているでしょうか。
iOS 11では大きな変更点として32bitのみに対応しているアプリが利用できなくなるほか、コントロールセンターのデザインや操作性が変更になるなど、さまざまな機能追加や仕様変更があります。
そんな新機種に買い換えない人には特に楽しみiOS 11のリリースですが、既存機種でどの新機能が使えるのかわからなかったりします。そこで今回は特にマルチメディア関連で導入されるFLACやHEIF、HEVCなどの対応状況を新機種の「iPhone X」や「iPhone 8」、「iPhone 8 Plus」とともにチェックしてみたいと思います。
すでにAppleの公式Webサイトにおける各iPhoneの仕様が記載されているスペックページでは、既存機種の「iPhone 7」や「iPhone 7 Plus」でもiOS 10で対応していないHEIFやHEVCなどが記載されている場合があることからiOS 11にした場合の仕様になっているものと思われます。
このことから既存製品をiOS 11にすることで新たに対応する機能を「iPhone 6s」や「iPhone 6s Plus」、「iPhone SE」を加えた8機種で確認していきます。なお、iPadについてはまだ情報が更新されていないようなので含めていません※。
ひとつずつ見ていくと、まずFLAC(Free Lossless Audio Codec)は音楽ファイル用のオープンソースフォーマットで、可逆圧縮のために元の音データから音質の劣化がなく、ハイレゾ音源にて良く用いられています。
これまでにもアプリを追加することで再生することは可能でしたが、iOS 11にアップデートすれば、iPhone 7やiPhone 7 Plusでも標準のミュージックアプリで再生できるようになるようです。
続いて、HEIF(High Efficiency Image File)は画像ファイルのフォーマットで、一般的なJPEG形式よりも圧縮率が高く、また複数の画像を1つのファイル内に収納できるため、3秒動画を含むLive Photosやバーストモードの写真も1つのファイルとして保存可能です。
iOS 11が発表されたWWDC 2017でも圧縮率が高いため、ストレージの空き容量を増やせるといったアピールがされていました。またポートレートモードなどで利用している深度情報にも対応し、JPEGにはない透過情報やタイル化もあるため、増えているさまざまな画像の種類に対応できます。
また、HEVC(High Efficiency Video Coding)はこれまで使われてきた「H.264」の後継となる動画ファイルのフォーマットで、そのまま「H.265」とも呼ばれており、より圧縮率が高くなり、4K時代に向けて導入されます。これらのHEIFとHEVCについても新機種以外にもiPhone 7とiPhone 7 Plusで利用可能となります。
なお、これはiPhone 7とiPhone 7 Plusに搭載されているチップセット「A10 Fusion」によってHEVCのハードウェアエンコード(8bit)ができることも影響していそうです。デコードについては「A9」でもハードウェアデコード(8bitまたは10bit)だけでなく、すべてのiOS搭載機器でソフトウェアデコードできるようです。
HDR 10とDolby Visionはともに画面描写の仕様で、HDR 10は色深度が10bit(1024段階)で表示するため、従来までのSDR(8bit)と比べて4倍の明暗差できめ細やかで鮮やかになり、明るさもSDRの100nitsに対して最大10000nitsへ拡大しています。
Dolby Visionも最大10000nitsで、かつさらに色深度を12bit(4096段階)で描画可能なほか、フレームごとにメタデータを保存してシーンごとに輝度を可変させることができるとのこと。これらについては少なくともiPhoneについては新機種のiPhone XとiPhone 8、iPhone 8 Plusのみが対応する模様。
さらに新機種だけということでは、4Kサイズの動画撮影で新たにより滑らかな60fps、フルHDの動画撮影で新たによりスローになる240fpsが導入されます。これらは例えば、iPhone 7やiPhone 7 Plusでは4Kムービーなら30fps、フルHDムービーなら120fps、逆に60fpsならフルHDまで、240fpsならHDまでとなっています。
ポートレートモードライティングは、背面にあるリアカメラがデュアルレンズカメラのiPhone XとiPhone 8 Plusのみが対応し、人物などを中心に撮影した場合に背景をぼかせるポートレートモードに対し、機械学習(ML)によってリアルタイムで分析して撮影する写真を予測し、プレビュー段階またはフォトアプリの撮影後にライティング(照明)の効果を追加できるというもの。
ポートレートモードに対応するiPhone 7 Plusが対応しないのは、iPhone XやiPhone 8シリーズに内蔵されているチップセット「A11 Fusion」に搭載されたニューラルエンジンによるML処理の高速化などが必要だからなのではないでしょうか。より自然に照明が当たった明るい写真が撮影できるようです。
最後にアニ文字としましたが、前面のポートレートモードと同義で、これはiPhone Xでは顔認証「Face ID」用に搭載されたフロントの奥行きセンサーによってフロントカメラでもポートレートモードや新機能のアニ文字が使えます。個人的にはアニ文字は楽しそうですけど。
こうして見ると、iPhone 7やiPhone 7 Plusは今回紹介したマルチメディア関連以外でも新機種、とりわけiPhone 8やiPhone 8 Plusとは機能差は少なく、性能面ではA11 Fusionによって大幅に進化していそうですが、マルチメディア関連以外でもざっくりとはワイヤレス充電くらいではといったところでまだ長く使えそうです。
追記(2017/09/19 22:55:05)
Dropboxによると、HEIFおよびHEVCへのiPadシリーズのける対応は「iPad Pro」シリーズおよび「iPad(第5世代)」とのことです。iOS 11におけるHEIFおよびHEVCについては「iPhone 7・7 PlusやiPad ProなどのiOS 11では写真やムービーの新ファイル形式(HEIF・HEVC)に対応!GoogleフォトやDropboxなどでは対応済みながらWindowsやAndroidでは未対応なので注意 - S-MAX」にもまとめています。
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このことから既存製品をiOS 11にすることで新たに対応する機能を「iPhone 6s」や「iPhone 6s Plus」、「iPhone SE」を加えた8機種で確認していきます。なお、iPadについてはまだ情報が更新されていないようなので含めていません※。
iPhone | X | 8 Plus | 8 | 7 Plus | 7 | 6s Plus | 6s | SE |
FLAC | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― |
HEIF | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― |
HEVC | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― |
HDR 10 | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― |
Dolby Vision | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― |
4K 60fps 動画撮影 | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― |
FHD 240fps 動画撮影 | ◯ | ◯ | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― |
ポートレートライティング | ◯ | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
アニ文字 | ◯ | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
ひとつずつ見ていくと、まずFLAC(Free Lossless Audio Codec)は音楽ファイル用のオープンソースフォーマットで、可逆圧縮のために元の音データから音質の劣化がなく、ハイレゾ音源にて良く用いられています。
これまでにもアプリを追加することで再生することは可能でしたが、iOS 11にアップデートすれば、iPhone 7やiPhone 7 Plusでも標準のミュージックアプリで再生できるようになるようです。
続いて、HEIF(High Efficiency Image File)は画像ファイルのフォーマットで、一般的なJPEG形式よりも圧縮率が高く、また複数の画像を1つのファイル内に収納できるため、3秒動画を含むLive Photosやバーストモードの写真も1つのファイルとして保存可能です。
iOS 11が発表されたWWDC 2017でも圧縮率が高いため、ストレージの空き容量を増やせるといったアピールがされていました。またポートレートモードなどで利用している深度情報にも対応し、JPEGにはない透過情報やタイル化もあるため、増えているさまざまな画像の種類に対応できます。
また、HEVC(High Efficiency Video Coding)はこれまで使われてきた「H.264」の後継となる動画ファイルのフォーマットで、そのまま「H.265」とも呼ばれており、より圧縮率が高くなり、4K時代に向けて導入されます。これらのHEIFとHEVCについても新機種以外にもiPhone 7とiPhone 7 Plusで利用可能となります。
なお、これはiPhone 7とiPhone 7 Plusに搭載されているチップセット「A10 Fusion」によってHEVCのハードウェアエンコード(8bit)ができることも影響していそうです。デコードについては「A9」でもハードウェアデコード(8bitまたは10bit)だけでなく、すべてのiOS搭載機器でソフトウェアデコードできるようです。
HDR 10とDolby Visionはともに画面描写の仕様で、HDR 10は色深度が10bit(1024段階)で表示するため、従来までのSDR(8bit)と比べて4倍の明暗差できめ細やかで鮮やかになり、明るさもSDRの100nitsに対して最大10000nitsへ拡大しています。
Dolby Visionも最大10000nitsで、かつさらに色深度を12bit(4096段階)で描画可能なほか、フレームごとにメタデータを保存してシーンごとに輝度を可変させることができるとのこと。これらについては少なくともiPhoneについては新機種のiPhone XとiPhone 8、iPhone 8 Plusのみが対応する模様。
さらに新機種だけということでは、4Kサイズの動画撮影で新たにより滑らかな60fps、フルHDの動画撮影で新たによりスローになる240fpsが導入されます。これらは例えば、iPhone 7やiPhone 7 Plusでは4Kムービーなら30fps、フルHDムービーなら120fps、逆に60fpsならフルHDまで、240fpsならHDまでとなっています。
ポートレートモードライティングは、背面にあるリアカメラがデュアルレンズカメラのiPhone XとiPhone 8 Plusのみが対応し、人物などを中心に撮影した場合に背景をぼかせるポートレートモードに対し、機械学習(ML)によってリアルタイムで分析して撮影する写真を予測し、プレビュー段階またはフォトアプリの撮影後にライティング(照明)の効果を追加できるというもの。
ポートレートモードに対応するiPhone 7 Plusが対応しないのは、iPhone XやiPhone 8シリーズに内蔵されているチップセット「A11 Fusion」に搭載されたニューラルエンジンによるML処理の高速化などが必要だからなのではないでしょうか。より自然に照明が当たった明るい写真が撮影できるようです。
最後にアニ文字としましたが、前面のポートレートモードと同義で、これはiPhone Xでは顔認証「Face ID」用に搭載されたフロントの奥行きセンサーによってフロントカメラでもポートレートモードや新機能のアニ文字が使えます。個人的にはアニ文字は楽しそうですけど。
こうして見ると、iPhone 7やiPhone 7 Plusは今回紹介したマルチメディア関連以外でも新機種、とりわけiPhone 8やiPhone 8 Plusとは機能差は少なく、性能面ではA11 Fusionによって大幅に進化していそうですが、マルチメディア関連以外でもざっくりとはワイヤレス充電くらいではといったところでまだ長く使えそうです。
追記(2017/09/19 22:55:05)
Dropboxによると、HEIFおよびHEVCへのiPadシリーズのける対応は「iPad Pro」シリーズおよび「iPad(第5世代)」とのことです。iOS 11におけるHEIFおよびHEVCについては「iPhone 7・7 PlusやiPad ProなどのiOS 11では写真やムービーの新ファイル形式(HEIF・HEVC)に対応!GoogleフォトやDropboxなどでは対応済みながらWindowsやAndroidでは未対応なので注意 - S-MAX」にもまとめています。
記事執筆:memn0ck
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