楽天がFREETELの携帯電話サービス事業を買収! |
楽天は26日、SIMフリーブランドおよび仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービス「FREETEL(フリーテル)」を展開するプラスワン・マーケティングを分社化してMVNOによる携帯電話サービス事業(一部サービス除く)を約5.2億円で買収すると発表しています。
効力発生日は2017年11月1日(水)を予定し、同日に楽天の取締役会において決議したとのこと。また会社分割は楽天において会社法第796条第2項の規定が適用される簡易吸収分割に該当することから開示事項・内容を一部省略して開示するとしてます。
買収後は楽天が展開するMVNOによる携帯電話サービス「楽天モバイル」とともに提供していくと見られ、サービスを統合して1本化していくかどうかなどの具体的な戦略などについては現時点では未定で、決まり次第発表していくということです。
プラスワン・マーケティングはSIMフリーのスマートフォン(スマホ)などの製品開発・製造・販売を行う携帯電話端末事業と、後からスタートしたMVNOによる携帯電話サービス事業を提供してきました。
昨年からは日本ではNTTドコモやau、SoftBankなどの大手携帯電話事業者以外では数少ない両方の事業を提供するキャリアとしての展開を行なっており、今年3月からは専門ショップ「フリーテルショップ」も数多く出展してきました。
一方で、すでに紹介しているようにそのフリーテルショップも開店後にすぐに閉店する店舗があったり、これまで家電量販店のSIMフリー製品売り場で比較的大きな面積を占めていたものが縮小されたりしていました。
そういった中で今回、楽天がプラスワン・マーケティングのMVNOによる携帯電話サービス事業を買収することになりました。
なお、プラスワン・マーケティングの携帯電話サービスは現在主力のNTTドコモとレイヤー2接続している「FREETEL SIM」のほか、それ以前に提供していた移動体仮想サービス提供事業者(MVNE)を利用した「フリモバ」があります。
このうちで楽天が買収して事業を継承するのはFREETEL SIMのほうだけで、フリモバはプラスワン・マーケティングに残ります。ただし、フリモバはすでに新規契約を止めており、実質的にプラスワン・マーケティングでは携帯電話サービスを終了することになります。
【承継対象の通信サービス】
・FREETEL SIM(使った分だけ安心プラン、使った分だけ安心プラン 最大20GB、定額プラン、プレミアムバリュープラン 、スマートコミコミプラン、スマートコミコミ+プラン)
・FREETEL SIMに付帯する通話サービス(FREETELでんわ、FREETELでんわ だれでもカケホーダイ、プラスワン・マーケティング通話料いきなり半額)
・YAMADA SIM PLUS powered by FREETEL
・ニコニコSIM(仮)powered by FREETEL
また買収額は約5.2億円ですが、合わせてプラスワン・マーケティングがこれまでのMVNOによる携帯電話サービス事業で抱えている約30.9億円の負債も楽天が継承するとのこと。
買収による楽天側のメリットとしては77.8万回線で日本のMVNO市場ではシェア3位となっている楽天モバイルに加え、プラスワン・マーケティングの43.3万回線を足すことで一気に120.7万回線と1.5倍に増加できるところでしょう。
これにより、シェア2位で120.7万回線のインターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio」に追いつくて2位グループになるほか、シェア1位で137.7万回線のNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」に迫ることなります(※回線数はMM総研による2017年3月末時点のもの)。
一方、プラスワン・マーケティング側のメリットはやはり約30.9億円の負債がなくなることは大きく、携帯電話端末事業により力を入れることが可能となりそうです。とはいえ、携帯電話端末事業についても昨年発表し、今年はじめに発売した「Priori 4」や「RAIJIN」以降は音沙汰がなく、海外での展開は積極的な印象はあるものの、今後どうなるのか注目したいところではあります。
なお、プラスワン・マーケティングでは今回の事業継承によってFREETEL SIMのユーザーは特にAPN設定などの変更はする必要がなく、11月1日以降は契約先やサービス提供元、個人情報取扱元、料金支払先はそれぞれ楽天に移行すると案内しています。
MVNO市場では「BIGLOBE SIM」を展開するビッグローブがKDDIに買収されたほか、「NifMo」を展開するニフティもノジマが買収するなど、それぞれMVNO単体事業ではありませんが、ISP事業も含めて再編の動きもあり、MVNOの契約数自体は急増しているものの、MVNOによるサービス自体もかなり増えているために業績的に厳しいところはサービスを終了するなど淘汰の流れも少しずつできつつあるように思われます。
記事執筆:memn0ck
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