格安SIMにおける消費生活センターなどに寄せられた相談の割合で高齢者が増加!

国民生活センターは16日、仮想移動体通信事業者(MVNO)などが提供する比較的安価な料金体系で提供されている携帯電話サービス(いわゆる「格安SIM」)の契約数は増加傾向にあり、現在2000万件に達しているものの、2017年度以降に全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は2000件を超えていると発表しました。

特に契約者が60歳以上の高齢者であるケースのトラブルの割合は増加傾向となっており、2015年度の相談件数949件のうちの21.9%、2016年度の相談件数1974件のうちの24.2%、2017年度の相談件数2443件のうちの32.1%、2018年度の相談件数2377件のうちの32.3%、2019年度も2019年12月31日までの相談件数1555件(前年同期の相談件数は1674件)のうちの35.7%が60歳以上となっているとのこと。

同独立行政法人では2017年4月に注意喚起を公表していますが、その後も「通話時に専用アプリを使う必要があると知らずに通話をしたら高額な請求を受けた」や「スマホの使い方が分からないが、店舗でのサポートを受けられないので解約したい」などと利用方法やサポートが消費者の認識と異なっている相談が引き続き見られるため、改めて最新の相談事例を紹介するとともにトラブルの未然防止に向けて関係機関へ要望を行うとしています。

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全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)に登録されている格安SIMについての相談件数とその契約者が60歳以上の高齢者である割合の推移

国民生活センターでは格安SIMに関する消費生活センターなどに寄せられた相談が増加しており、中でも60歳以上の高齢者による相談が増えているとしています。ただし、格安SIMの契約者数も増加しており、総務省が公開する「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」における格安SIMの多くを占めるMVNOの契約数は2015年度末で1269万、2016年度末で1586万、2017年度末で1840万、2018年度末で2094万となっています。

そのため、単純に契約数当たりの相談件数は2015年度で0.007478%、2016年度で0.01244%、2017年度で0.01327%、2018年度で0.01135%と普及が加速していた2015〜2016年度あたりに増えたものの、その後は安定しているようにも思えます。とはいえ、格安SIMの裾野が広がり、実際に60歳以上の高齢者の契約数も増加していると考えられ、格安SIM普及初期のような“わかっている人だけが契約する”といった状況ではなくなっているのも確かです。

一方でこうした移動体通信事業者(MNO)による大手携帯電話サービスと比べてサポートにコストを掛けていないからこその低料金実現という部分もあり、例えば、国民生活センターが紹介している事例で『契約書をよく読むと、「無料通話にするためには特定のアプリを使用しなければいけない」と記載されていた。このような重要なことは事前に説明するべきだと思う。』とあり、契約書は契約する前によく読むものであるという認識が消費者側にないのも問題だと思われます。

格安SIMもある程度契約数を確保しないと、事業として成り立たないので時には誇大なセールストークなどがあったりするかもしれませんし、悪質なものはしっかりと注意なり規制なりしていかなければなりませんが、格安SIMかどうかに関わらず消費者側もしっかりと契約内容を把握しておきたいところです。なお、国民生活センターではその他の相談事例や問題点、アドバイスを以下のように案内しています。

相談事例
1)購入した端末ではフィルタリング機能が利用できなかった
2)スマートフォンの使い方が分からないが十分なサポートを受けられない
3)格安スマホ会社にMNPで乗り換えようとしたところ、インターネットでの契約手続きに時間がかかり、携帯電話会社の解約金がかからない期間を過ぎてしまった
4)インターネットでの解約手続きに漏れがあり、利用していないのに請求が続いていた
5)中古のスマートフォンをインターネット通販で購入したが、SIMロックがかかっており、格安スマホ会社のSIMカードで通話ができなかった

問題点
1)サービス内容や利用方法、サポート体制等について、契約時の説明や案内が十分ではない
2)インターネット等の非対面の手続きでもトラブルになっている
3)消費者が今までの携帯電話会社と格安スマホ会社の違いを理解しないまま契約・利用している

アドバイス
1)サポート内容や問い合わせ方法を確認しましょう
2)自分が使用する端末が、格安スマホ会社でも利用できるかどうか確認しましょう
3)インターネット上でMNPを申し込む場合は日にちに余裕を持って申し込みましょう
4)格安スマホでの通話方法に注意しましょう
契約の解除を希望する場合は、すぐに格安スマホ会社に申し出ましょう
5)トラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

※消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。


記事執筆:memn0ck


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