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ソフトバンクの5G SAをiPhone 15 Proで試してみた!NSAなら実測で下り800Mbps超も |
既報通り、Appleが新しいスマートフォン(スマホ)「iPhone 15」および「iPhone 15 Plus」、「iPhone 15 Pro」、「iPhone 15 Pro Max」を発表し、日本でも各機種ともに2023年9月22日(金)に発売されました。販路は例年通りにAppleのほか、量販店やECサイト、NTTドコモ、KDDIおよび沖縄セルラー電話の携帯電話サービス「au」、ソフトバンクの携帯電話サービス「SoftBank」、楽天モバイルとなっており、価格は各社でそれぞれ案内している通りです。
そんなiPhone 15シリーズの共通したトピックは4機種ともに現時点では日本において利用できないものの、衛星通信によって救援を要請できる「緊急SOS」に対応しているほか、日本では「5G(第5世代移動通信システム)」のスタンドアローン方式(以下、5G SA)に発売時点で対応しているはじめての「iPhone」シリーズとなりました。日本では現時点でまだまだ5G SAのエリアは非常に狭く、実情として5G SAに対応しているから便利だといったことはありませんが、ようやく本格的な5GサービスがiPhoneで使えるようになってきています。
というわけで、だいぶ遅くなりましたが、iPhone 15シリーズで各社の5G SAを試してみましたので、本記事ではソフトバンクについて実際に試したレポートに加え、料金やどこで使えるのかといったことからまとめて紹介したいと思います。なお、ソフトバンクではすでに紹介しているように今年3月より「iPhone 14」シリーズや「iPad Pro 11インチ(第4世代)」、「iPad Pro 12.9インチ(第6世代)」にて5G SAが利用できるようになっています。
ソフトバンクで5G SAを利用するには対応機種をiOS 16.4以降またはiPadOS 16.4以降にする必要があるほか、SIMカードまたはeSIMが「iPhone専用 nano USIM A(S)」または「5G-USIMnano(IPD)」であり、iPhoneの「設定」から「モバイル通信」→「通信のオプション」→「音声通話とデータ」にて「5Gスタンドアローン」にチェックを入れてオンにする必要があります。また同社では現時点では5G SAを無料で提供していますが、将来有料化して月額料金550円(金額はすべて税込)で提供予定としています。
なお、iPhone 15シリーズの5Gは4機種ともに仕様は共通で、日本向け製品(iPhone 15は「A3089」、iPhone 15 Plusは「A3093」、iPhone 15 Proは「A3101」、iPhone 15 Pro Maxは「A3105」)はともにSub6のみに対応し、ミリ波(mmWave)には対応しておらず、ソフトバンクにおける最大通信速度(理論値)は5Gのノンスタンドアローン(NSA)方式において下り2.6Gbpsおよび上り159Mbpsと、iPhone 14シリーズと同様となっています。
ソフトバンクでは2020年3月より5GサービスをNSAによるSub6のみで提供開始し、続いてNSAによるミリ波による5Gサービスを2021年3月より提供開始しており、利用する周波数帯は5G用に割り当てられたSub6の3.7GHz帯(n77)およびミリ波の28GHz帯(n257)となっているほか、既存の4G向け周波数帯をNR化して700MHz帯(n28)や1.8GHz帯(n3)、3.4GHz帯(n77)でも提供しています。
その後、2021年10月より5G SAの商用サービスを日本国内の移動体通信事業者(MNO)で初めて提供開始しました。ただし、当初はホームルーターサービス「SoftBank Air」のみで提供しており、スマホやタブレットでは2022年3月よりAndroid搭載製品向けに提供開始し、さらに前述通りにiPhoneやiPadが5G SAを利用できるようになったのは2023年3月からとなっています。ソフトバンクにおける5G SAのエリアは5G NSAの一部のみとなっており、2023年3月時点ではかなり限定的で、5Gサービスが開始された2020年3月時点の5G NSAのエリアに近い状況となっています。
なお、5G NSAは4Gネットワークを利用する必要があり、一方で5G SAは基地局だけでなく無線を制御するコア設備も含めて5Gのみの技術と設備で構成されたネットワークシステムとなり、高速大容量の通信に加えてネットワークスライシングなどの高度な技術をベースにした通信機能を提供できる特徴があります。ただし、利用できる周波数帯および帯域幅はNSAもSAも同じとなるため、通信速度としてはNSAに対してSAが優位ということはなく、割り当てる周波数帯や帯域幅、ネットワークスライシングなどの運用次第となります。
実際に筆者の自宅(東京都杉並区)の近辺はほぼ5G NSAのエリアとなっており、当初は4G向け周波数帯をNR化した周波数帯でのエリアが多かったものの、最近ではところどころですが、5G用の周波数帯であるn77のエリアもあり、広い帯域幅で利用可能かつ変調方式もより多値な256QAMで接続可能なため、通信速度もそれなりに出るようになっています。一方、筆者宅近辺の5G SAのエリアとして明大前あたりや5G SAスポットとしてショップ「ソフトバンク吉祥寺サンロード」(店舗フロア)があり、5G SAに対応すると見られる基地局を中心に通信速度が出る場所を探してみましたが、4G向け周波数帯をNR化した周波数帯であるn3やn28での接続となり、多値化も256QAMに加えて64QAMであることが多くなっていました。


電話アプリを開いて「*3001#12345#*」を入力して発信ボタンを押すと(画像=左)、フィールドテストモードになり、さらに「Serving Cell Info」から携帯電話ネットワークの接続状況が確認可能。筆者宅近くでn77(256QAM)で接続しているところ(画像=右)
ソフトバンクではiPhoneシリーズ初の5G対応機種となったiPhone 12シリーズでは最大通信速度(理論値)が下り2.4Gbpsおよび上り183Mbpsでしたが、その後、iPhone 13シリーズおよびiPhone 14シリーズ、iPhone 15シリーズではともに最大通信速度(理論値)が下り2.6Gbpsおよび上り159Mbpsとなっており、2023年6月時点では下り2.6Gbpsは埼玉県さいたま市および三郷市、東京都中央区、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市および守口市、兵庫県神戸市、西宮市、伊丹市の一部、上り最大159Mbpsのエリアは2023年6月時点で埼玉県、千葉県、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県で提供されています。
毎年このシーズンに確認もかねて通信速度の計測や5Gのエリアをチェックしていますが、特にエリアに関しては2021年10月には5G NSAの人口カバー率80%(基地局数2万局)、2022年2月には5G NSAの人口カバー率85%(基地局数2万3千局)、2022年3月時点で5Gの人口カバー率90%に到達し、2023年4月中旬に5Gの基地局数が65000局を突破するなど、体感としても年々拡大していることがわかるくらいには違いがあるため、5G SAのエリア展開についても今後に期待するとともに通信速度に関してもより速度が出るような運用に切り替えていって欲しいところです。
記事執筆:memn0ck
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