最新スマートフォン(スマホ)「iPhone 7」(Apple製)が欲しくて、しかしお金は節約したい筆者の仮想移動体通信事業者(MVNO)乗り換え体験記の第2回です。前回は現状のスマホ利用状況の分析から自分にあったプランの検討、そして選んだMVNOという選択肢とSIMフリーのiPhone 7購入までをお伝えしましたが、あれから約1ヶ月、少々遅くなりましたがついにMVNOへの乗り換えを果たしました!
今回はiPhone 7の使い勝手や性能についての簡単なレビューを含めつつ、MVNO各社のサービス内容や契約に至ったMVNOの選考理由などをお伝えしたいと思います。
■似ているようでまるで違う!iPhone 6sと7の差
まずはiPhone 7のレビューから。前回の最後にも書きましたが一言で言えば「6sとはぜんぜん違う」というものです。
筐体サイズやデザインは非常によく似ていますが、その中身や使い勝手は大きく異なります。まず触って誰もが違和感を感じる部分はホームボタン。iPhone 7ではもはや「ボタン」ではなくなり、単なる指紋センサーになっています。ここに圧力を感知するセンサーが内蔵され、そのセンサーの反応によって振動を与える「Taptic Engine」が作動しボタンを押したという擬似的な感触を与える仕組みです。
この振動による擬似的な押下感が発表当初から一般的に不評のようだったので若干気にしていたのですが、実際に初めて触れた時は「ポコン」というなんとも予想外な反応に思わず笑ってしまいました。コツンでもカチッでもなく「ポコン」なのです。
同じような振動によるフィードバックを採用したスマホには、NTTドコモから発売されているシニア層向けスマホ「らくらくスマートフォン」シリーズなどがあり、らくらくスマートフォン3の感触は「カチッ」というかなり明確にボタンを押したような反応が返ってくるため、似たようなものを想像していましたが、iPhone 7はもっと柔らかな反応でした。
また、この「ポコン」という不思議な感触はボタンから感じられるというよりも本体裏面全体から感じる場合が多く、違和感の理由の1つなのだろうと感じました。
しかしこの不思議な感覚にも使い始めて半日ほどですぐに慣れ、1日経てば違和感もなくなり、2日目にはまったく気にせず使っていました。人の慣れとは素晴らしいもので、「押した」という感触さえ得られれば不自由はしないのだなぁと再認識しました。
「押した」という感触を与えるTapTic Engine
もう1つiPhone 7の使い勝手で特筆しておくべきことは、やはりイヤホンジャックの廃止でしょう。
筆者は外出先ではiPhoneで音楽を楽しんでおり、最近では音質とゲームなどでの音の遅延を避ける理由から有線で使用していましたが、iPhone 7でイヤホンジャックがなくなったことからLightning端子への変換アダプターを使わざるを得なくなりました。
もちろんiPhone 7にはLightning端子のEarPods(イヤホン)が付属していますが、あえて有線で音楽を聴くのだからやはりもっと良い音質で音楽を聴くためサードパーティー製のヘッドホンやイヤホンを使いたいところ。そこで、Lightning端子のEarPodsと従来のイヤホンジャックのEarPods(iPhone 6s付属品)、そして筆者が愛用しているソニー製のイヤホン「MDR-EX1000」で聴き比べてみました。
Lightning端子版のEarPodsは従来品と比べて音質が向上しているように感じます。低音域の発音が若干引き上げられ、耳障りな高音部の鳴りが抑えられています。また中音域の分解能も僅かに向上しており、ボーカルとコーラスの音声がはっきりと区別して聞こえてきます。
MDR-EX1000とはやはり音質に明確な差があり、全体のバランスや音場の広さ、音の粒立ち、音の立ち上がりや余韻の表現力で劣る印象で、そこは付属品なりといったところ。
しかし、通常利用で不満が出るレベルではなく、EarPodsがマイクも付いたヘッドセットである点や、そもそもどのイヤホンもオープンエアータイプで外出先などではそこまで音質の差を気にしながら楽しむものではない性質なども考えると、十分な音質に仕上がっていると感じました。
なお、MDR-EX1000をiPhone 6sに直接接続した場合とiPhone 7に変換アダプターを介して接続した場合とで聴き比べてみましたが、AAC 256kbpsによる圧縮音源ではあまり差を感じませんでした。
この他にもカメラに光学式手ふれ補正が搭載され静止画だけでなく動画撮影時にも手ぶれ補正が利用できるようになった点や、本体スピーカーのステレオ化による恩恵など、細かな変更点の多いiPhone 7。
見た目だけの印象では買い換える必要もないかと思っていましたが、気がつけばiPhone 6から6sへ機種変更した際よりも満足度の高い機種変更となりました。
今月末には話題のワイヤレスヘッドセット「AirPods」も発売予定となっていますので、そちらもぜひ入手し音楽をもっと自由に楽しんでみたいと思っています。
■自由こそ全て!いざMVNOの世界へ!
さて、iPhone 7のレビューが長くなりましたがいよいよ本題です。10月に入りついに2年契約の更新月が来たのでauに連絡し、MNP番号を発行していただきました。さようならau。
MNP番号の発行はauショップなどでも行えますが、混雑している場合などに対応してもらえない場合もあるので電話による発行が確実のようです。auの場合は「0077-75470」から手続きが行え、auの電話機でも一般電話からでも無料通話となっています。
MNP番号を発行してもらったら、次はMVNO探し。一言でMVNOと言っても各社さまざまにサービス内容や料金プランで工夫しており、意外と選択肢は豊富です。
例えば、MVNOの老舗とも言われる「IIJmio」などは、料金プランなどはシンプルにまとめつつも10月1日よりau回線を用いた「タイプA」を開始し、ドコモ回線を用いた「タイプD」と選択できるようになりました。
MVNO業界で急成長を遂げている「楽天モバイル」などは充実したスマホ本体のラインナップを売りにドコモやauといった移動体通信事業者)(MNO)のような複数年契約で月額料金を抑えたプランを用意し、さらに料金の支払いに楽天スーパーポイントを充当できるなど、コストパフォーマンスの高さも魅力です。
さらに9月よりサービスを開始し、圧倒的な知名度とユニークな料金プランで話題となっているのは「LINEモバイル」です。LINEモバイルではFacebookやTwitterといったSNSサービスへのパケット通信料金が無料となる「カウントフリー」を全プランに導入しており、LINEでの通話やトーク(チャット)のみに適用される「LINEフリープラン」とLINE、Twitter、Facebookの3種類に適用される「コミュニケーションフリープラン」の2種類があります(コミュニケーションフリープランはさらに容量に応じて3GBから10GBまで料金プランを選択できます)。
これだけさまざまなプランが用意される激戦のMVNOと、MNPを行う1ヶ月前からにらめっこし続けてきた筆者が選んだ先は……ケイ・オプティコムの「mineo(マイネオ)」です。
■ちょっと異質な(?)ユーザーフレンドリーなMVNO
関東では馴染みが薄いかもしれませんが、ケイ・オプティコムは関西電力系列の企業で主に電気通信事業を取り扱っており、mineoはそのMVNOブランドの名称です。
mineoの特徴はユーザーコミュニティーを重視したサービス体制とフットワークの軽さです。「フリータンク」というユーザーが自由にデータ容量を出し入れできる仕組みを作り、月々のデータ容量が余った人はデータを預け、不足した人はそこから使うという少々リスクのあるサービスを導入しています。
大手MNOやMVNOであればすぐに破綻してしまいそうなサービス内容ですが、ユーザーコミュニティーサイト「マイネ王」との密接な連携体制やユーザーコミュニティーを活用することを前提とした各種キャンペーンの導入なども功を奏し、ユーザー自らが積極的にコミュニティに参加することでフリータンクという仕組みが非常にうまく成り立っています。
サービス品質の安定性もmineoを選んだ理由の1つ。MVNOはその仕組み上どうしても回線容量に限界があり、MNOと比べると混雑による速度低下や通信遅延が頻繁に起こります。
実際、mineoもサービス開始以来、速度が出なくなる状況が何度か起きています。また直近でも今年春頃から夏にかけてDプランで速度が出なくなる状況があり、急遽設備の増強を行って対応するといった事態がありました。しかしこれが逆にユーザーから「対応の早いMVNO」として認知される結果となりつつあり、ユーザー評価はむしろ上がったほどです。
MVNOである以上、回線品質のみをMNOと比較してしまえば絶対に見劣りしますが、そのデメリットを隠すことなく公開する姿勢という部分に企業としての真摯さを見出したというのもまた、契約を決めた理由の1つです。
コスト面でも他社に特別劣るものではなく、筆者が考えていた「音声通話付きでデータ容量は3GB」というプランの場合、mineoでは月額1,600円(税別)です。これにフリータンクも含めれば十分に安いと考えました。
■そのコストはサービスに見合っている?お試し利用もオススメ
人によっては外出先でも動画を楽しんだり自宅でも通信はすべてスマホで済ませるといった使い方も考えられ、そういった人にはMNO各社が用意している20GBや30GBの定額プランなどがオススメですが、通話利用も少なくデータ通信量も毎月1~2GBで済んでしまう筆者にとって、毎月基本的な料金のみで4,000円~6,000円も掛かっていたMNOでのスマホ利用は、正直全く自分に合わない選択をし続けていたように感じます。
楽天モバイルなどが用意する一部のプランおよびサービス以外は複数年契約などもなく、解約時の違約金なども発生しないため、MVNOとはどのようなものでどの程度の品質のサービスなのかを知る意味でも、MNOの複数年契約満了の際などにお試し感覚で契約してみるのも良いかもしれません。
次回はmineo導入から回線品質のチェック、専用アプリやフリータンクの使用感などをレポートしたいと思います。
【MVNO初心者によるMNOからの乗り換え体験記】
・第1回:iPhone 7は欲しいが月額料金をもっと安く抑えたい!料金検討からSIMフリー版を手に入れた【レポート】 - S-MAX
・第2回:iPhone 7をローコストに運用しよう!iPhone 7のレビューからMVNO契約まで【レポート】 - S-MAX
・第3回:事前準備は整った、後は回線を繋ぐだけ!mineoの開通からAPN設定、専用アプリ導入まで【レポート】 - S-MAX
・最終回:いよいよSIMフリーのiPhone 7でmineoを利用開始!速度テストの結果考察と「フリータンク」の解説【レポート】 - S-MAX
記事執筆:あるかでぃあ
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