GoogleがAndroid 12 Beta 3をリリース!正式版はQ3後半に

Googleは14日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 12」における一般向けベータ版第3弾「Android 12 Beta 3」を公開したとお知らせしています。すでに同社のスマートフォン(スマホ)「Pixel」シリーズにおける「Pixel 3」シリーズ以降で利用可能です。

対象のPixel製品では一般向けベータ版「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )にアクセスし、対象製品をAndroid Beta Programに登録すれば、通常のソフトウェア更新と同様にネットワーク経由でアップデート(OTA)ができます。なお、Pixelシリーズ以外の他のメーカーの製品についても順次配信されるようになる見込み。

Android 12 Beta 3はPixel製品ではビルド番号が「SPB3.210618.013」となっており、Pixel製品以外でもAndroidエミュレーターでも試せます。またAndroidセキュリティーパッチレベルは「2021年7月5日」になり、Google Play servicesも「21.24.13」となっているほか、APIレベルは新たに最終APIということでベータが外れて「API 31」となっています。

なお、Android 12 Beta 3ではスクロールスクリーンショットなどの新機能が追加されたほか、プライバシーインジケーターAPIや強化された自動回転などの追加に加え、最終的なAndroid 12におけるAPIとSDKも含まれており、動作の安定性が増し、各種不具合も修正されています。同社ではアプリなどの開発者に向けて最終的にAndroid 12に対応したアップデートに着手し、正式版のリリースに間に合うように対応するよう促しています。

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Pixel 4a (5G)をAndroid 12 Beta 3にしたところ

Android 12は現在の最新バージョンの「Android 11」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、最近の流れであるセキュリティーやプライバシーをより強化しており、ITのシンプルさと実用性、プライバシーと生産性を向上させる多くの機能が導入されているほか、新たに「Material You」という新デザインが採用されることになっています。

正式版のリリースまでのスケジュールは今年2月に提供開始されたDeveloper Preview 1、3月にDeveloper Preview 2、4月にDeveloper Preview 3、そして前回、5月にGoogle I/O 2021に合わせて初のベータ版となるBeta 1、6月にBeta 2がリリースされ、今回のBeta 3と順調に提供され、今後は8月にPlatform Stability版となるBeta 4、その数週間でRelease Candidate(RC)版を経て正式版がリリースされる予定となっています。

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Android 12 Beta 3ではGoogle I/O 2021で紹介されたいくつかの新しいプライバシー機能に加え、機能追加や安定性とパフォーマンスを向上させるためのさまざまな機能の更新が含まれています。Android Developer Blogにて紹介されているBeta 3の新機能は以下の通り。

・スクロールスクリーンショット
画面をスクロールするようなコンテンツの画面キャプチャーと共有を容易にするために新たに「スクロールスクリーンショット」機能を追加しています。Beta 3以降ではスクロール可能なコンテンツのスクリーンショットを画面キャプチャーすると、スクリーンショットをコンテンツ全体に拡張するための「キャプチャ範囲を拡大」ボタンが表示され、トリミングを調整できるようになります。

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スクロールスクリーンショットが追加

スクロールスクリーンショットはほとんどのアプリですぐに使用でき、アプリで標準のビューベースのユーザーインターフェース(UI)を使用している場合は変更する必要はありません。ビューベースのUIを使用していないアプリやUIツールキット、高度にカスタマイズされたUIを使用しているアプリやUIツールキットについてはスクリーンショットのスクロールをサポートする新しいScrollCaptureAPIを導入しています。

このAPIを使用すると、システムはアプリにスクロールキャプチャーリクエストを通知し、UIを描画するための面を提供します。現在、スクロールスクリーンショットのテストを繰り返しており、次のBeta 4ではデフォルトでリストビューのスクロールなどのサポートが改善されています。またさまざまなコンテンツ(Webコンテンツなど)のサポートの提供にも取り組んでいます。ご意見をお聞かせください。

・オンデバイス検索
Beta 3では新しい高性能オンデバイス検索エンジンである「AppSearch」のプラットフォームサポートを強調しています。 AppSearchを使用すると、アプリは構造化データにインデックスを付け、組み込みの全文検索機能を使用してデータを検索できます。また高効率のインデックス作成と取得、多言語サポート、関連性ランキングなどのネイティブ機能を使用できます。

AppSearchには新しいAppSearch Jetpackライブラリーを通じて下位互換性のあるアプリが使用するローカルインデックスと、Android 12(およびそれ以降のリリース)のシステム全体で維持される中央インデックスの2つの種類があります。中央インデックスに参加すると、オプトアウトすることを選択しない限り、システムはアプリのデータをシステムUIサーフェスに表示できるようになります。さらに他のアプリとデータを安全に共有できるため、アプリのデータだけでなく自分のアプリのデータも検索できます。詳細は https://developer.android.com/guide/topics/search/appsearch をご覧ください。

・WindowInsetsのプライバシーインジケーターAPI
先月リリースしたBeta 2ではアプリがデバイスのカメラまたはマイクを使用していることを示すステータスバーのプライバシーインジケーターのサポートを追加しました。

インジケーターはアプリが没入型モードのときに表示でき、コントロールやコンテンツをカバーする可能性があるため、アプリはインジケーターを描画できる場所を認識して有用なコンテンツがカバーされないようにするために必要な調整を行う必要があります。

さらにBeta 3ではWindowInsetsに新しいプライバシーインジケーターAPIを追加しました。これにより、現在の画面の向きと言語設定を考慮してインジケーターの最大範囲と画面上の相対的な配置を取得できます。詳細は https://developer.android.com/about/versions/12/behavior-changes-all#mic-camera-indicators より。

・企業向けに構成可能なカメラとマイクの切り替え
またBeta 2では利用者がすべてのアプリのデバイスのマイクとカメラへのアクセスを即座にオフにできる新しい切り替えも導入しました。フルマネージドデバイスに必要な制限を設定できるエンタープライズ管理者がこれらにアクセスできるようになりました。詳細は https://developer.android.com/reference/android/os/UserManager.html#DISALLOW_CAMERA_TOGGLE より。

・フォアグラウンドサービスを開始するCDMペアリングアプリの新しい権限
システムに透過性を提供しながらコア機能を実行するコンパニオンアプリをより適切にサポートするためにコンパニオンデバイスマネージャー(CDM)とペアリングされたアプリは新しい通常の権限を宣言することによってバックグラウンドからフォアグラウンドサービスを起動できます。詳細は https://developer.android.com/reference/android/Manifest.permission.html#REQUEST_COMPANION_START_FOREGROUND_SERVICES_FROM_BACKGROUND より。

・より優れた、より高速な自動回転
フロントカメラを使用して画面を回転するタイミングをより正確に認識する顔検出を備えたAndroidの自動回転機能を強化しました。これは例えば、ソファやベッドに横になってデバイスを使用している人に特に役立ちます。開発者にとって自動回転機能によって「設定」からオプトインした場合のユーザーエクスペリエンス(UX)が向上することを意味します。

強化された自動回転機能は最近発表されたプライベートコンピューティングコア内にあるため、画像が保存されたり、デバイスから送信されたりすることはありません。 Beta 3ではこの機能はPixel 4以降のPixelシリーズで利用できます。

またすべてのデバイスで画面の回転を可能な限り高速化するためにアニメーションと再描画も最適化し、ML駆動のジェスチャ検出アルゴリズムを追加しました。その結果、基本の自動回転機能の待ち時間が25%短縮され、顔検出の機能強化のメリットがこれらの改善に加えて構築されています。自動回転の改善を試してみて、ご意見をお聞かせください。

・Android 12 for Games
ゲームモードAPIを使用すると、ゲームのプレーヤーのパフォーマンスプロファイルの選択に反応できます。例えば、長い通勤でのバッテリー寿命の延長やピークフレームレートを取得するためのパフォーマンスモードなどです。これらのAPIはゲームプレイ中に主要なユーティリティーに素早くアクセスできるオーバーレイエクスペリエンスを提供する今後のゲームダッシュボードに関連付けられます。ゲームダッシュボードは今年後半に一部のデバイスで利用できるようになります。

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一方、ダウンロードしながらゲームをプレイすると、インストール中にゲームアセットをバックグラウンドでフェッチできるため、プレーヤーはより早くゲームプレイに参加できます。上記の画像ではゲームアプリ「Touchgrind BMX」を使用してAndroid 12にダウンロードしながら再生しているところです。

過去数週間にわたってAndroid 12 APIの完成に取り組んできましたが、今回、Android 12における正式なAPIレベルとなるAPI 31とともにをそのSDKとともにBeta 3に合わせてリリースしています。なお、APIに加えてアプリ向けのすべてのシステム動作とSDK以外のインターフェースの制限も最終的になるBeta 4で完全なプラットフォームの安定性に到達する予定です。Android 12 APIに対してアプリをコンパイルする場合は今回のリリースを使用して環境を更新し、最終的なSDKと最新のツールを使用してアプリを再コンパイルすることをオススメしています。



記事執筆:memn0ck


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