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GoogleがAndroid 16 Beta 1をリリース!Pixel 6以降で利用可能に |
Googleは23日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 16(開発コード名:Baklava)」( https://developer.android.com/about/versions/16 )における一般向けベータ版「Android 16 Beta 1」を公開したとお知らせしています。
すでに同社が展開する「Pixel」ブランドの「Pixel 6」および「Pixel 6 Pro」以降のスマートフォン(スマホ)やタブレット「Pixel Tablet」にて「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )からネットワーク経由によるソフトウェア更新(OTA)で導入できるほか、ファクトリーイメージやOTAイメージも配信開始されています。
Android 16 Beta 1はビルド番号が「BP22.250103.008」、Androidセキュリティーパッチレベルが「January 2025」、ます。またGoogle Play servicesも「25.02.31」となっているほか、APIレベルもこれまでの「Baklava DP2」から「Baklava Beta 1」となりました。またPixel製品以外でもAndroidエミュレーターでも試せ、エミュレーターではx86(64bit)およびARM(v8-A)がサポートされています。
また同社ではAndroid 16については今年は早めにリリースすることが案内されており、正式版は2025年第2四半期(4〜6月)にリリース予定となっており、さらに今年後半の第4四半期(9〜12月)に新しいAPIを含むAndroid 16の正式版以降の機能更新や最適化、バグ修正が行わるマイナーリリースも予定されています。なお、Android 16 Betaについてはこれまで通りにPixelスマホ以外の他のメーカーの製品についても今後順次、各メーカーから提供される見込みとなっています。
Android 16は現在の最新バージョンの「Android 15」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、Googleではこれまで基本的に新しいAPIとSDKを伴う1年に1回のペースでメジャーアップデートを実施してきましたが、すでに紹介しているように今後はSDKのリリースをより頻繁に行うことが明らかにされ、まずは来年の2025年に新しいAPIを備えたメジャーリリースとマイナーリリースの2つのリリースを計画していることが発表されていました。
このうちのメジャーリリースがAndroid 16の最初のバージョンとなり、すでにAndroid 16の開発者向けプレビュー版の最初のリリースとなるAndroid 16Developer Preview 1が昨年11月に公開されており、その後も今年1月に開発者向けプレビュー版の第2弾となるAndroid 16Developer Preview 2がリリースされていましたが、今回、当初のスケジュール通りに順調にAndroid 16の初のべータ版となるAndroid 16Beta 1がリリースされました。
Android 16Beta 1ではアダプティブアプリやライブアップデート、高度なプロフェッショナルビデオ形式などの将来的なサポートが含まれており、これまでの開発者向けプレビュー版と同様に開発者がAndroid 16に対応させるために導入するほか、新たにAndroid 16を早期に試したい人も導入して新機能などを体験でき、さまざまな変更が行われているため、それらの影響を完全に把握するには多くの人からフィードバックが不可欠だとし、Googleでは試した人はフォードバックを送るように要望しています。
<Androidアダプティブアプリ>
利用者は画面サイズやデバイス形状に関係なく、すべての製品でアプリがシームレスに動作することを期待しているため、Android 16では大きな画面でアプリが画面の向きやサイズ変更を制限する機能を段階的に廃止しています。これは利用者が任意のウィンドウサイズとアスペクト比でアプリを実行できるようにするためにメーカーが過去数年間に大画面製品に追加してきた機能に似ています。
例えば、幅600dpを超える画面ではAPIレベル36をターゲットとするアプリのアプリウィンドウのサイズが変更され、アプリをチェックして既存のユーザーインターフェース(UI)がシームレスにスケーリングされ、縦横比に関係なく適切に機能することを確認してください。Googleではこちらで役立つフレームワークやツール、ライブラリを提供しています。
主な変更点は方向とサイズ変更を制限するマニフェスト属性とAPI( https://developer.android.com/about/versions/16/behavior-changes-16#implementation-details )は大画面のアプリでは無視されますが、ゲームでは無視されません。Androidアダプティブアプリの導入スケジュールは以下の通りです。開発者は今こそアプリをアダプティブにする絶好の機会です。UNIVERSAL_RESIZABLE_BY_DEFAULTフラグを有効にすると、アプリ互換性フレームワークを使用してターゲットを指定せずにこれらのオーバーライドをテストできます。Android 16での方向とサイズ変更のAPIの変更について詳しくは https://android-developers.googleblog.com/2025/01/orientation-and-resizability-changes-in-android-16.html をご覧ください。
・Android 16(2025):APIレベル36をターゲットとするアプリの大画面(幅600dp)に変更が適用されます(開発者はオプトアウト可能)。
・2026年のAndroidリリース:APIレベル37をターゲットとするアプリの大画面に変更が適用されます(オプトアウトなし)。
<ライブアップデート>
ライブアップデートは利用者が進行中の重要なアクティビティーを監視して素早くアクセスできるようにする新しいクラスの通知です。新しいプログレススタイルの通知テンプレートはライブアップデートの一貫したユーザーエクスペリエンス(UX)を提供し、ライドシェアや配達、ナビゲーションなどの進捗状況が重要な利用者向け機能の構築に役立ちます。開始や終了、現在の進捗追跡、セグメントとポイント、ユーザージャーニーの状態、マイルストーンなどのカスタムアイコンのサポートが含まれています。なお、プログレススタイル通知はライドシェアやフードデリバリー、ナビゲーションのユースケースにのみ推奨されます。
@Override
protected Notification getNotification() {
return new Notification.Builder(mContext, CHANNEL_ID)
.setSmallIcon(R.drawable.ic_app_icon)
.setContentTitle("Ride requested")
.setContentText("Looking for nearby drivers")
.setStyle(
new Notification.ProgressStyle()
.addProgressSegment(
new Notification.ProgressStyle.Segment(100)
.setColor(COLOR_ORANGE)
).setProgressIndeterminate(true)
).build();
}
<カメラとメディアのアップデート>
Android 16ではソーシャルネットワーク(SNS)アプリや生産性向上アプリにとって重要なユースケースである高品質メディアの再生や作成、編集のサポートが強化されています。
◯高度なプロフェッショナルビデオ
Android 16ではプロフェッショナルレベルの高品質ビデオ録画とポストプロダクションに使用するために設計されたAdvanced Professional Video (APV)コーデックのサポートが導入されています。なお、APVコーデック標準には次の機能があります。
・知覚的にロスレスなビデオ品質(生のビデオ品質に近い)
・編集ワークフローをより適切にサポートするための、低複雑性と高スループットのフレーム内コーディング(ピクセル領域予測なし)
・軽量エントロピーコーディング方式により、2K、4K、8K解像度のコンテンツで最大数Gbpsの高ビットレート範囲をサポート
没入型コンテンツと並列エンコードおよびデコードを可能にするフレームタイリング
・さまざまなクロマサンプリング形式とビット深度のサポート
・画質の大幅な劣化なしに複数のデコードと再エンコードをサポート
・マルチビュービデオと深度、アルファ、プレビューなどの補助ビデオをサポート
HDR10/HDR10+およびユーザー定義メタデータのサポート
APVのリファレンス実装はOpenAPVプロジェクトを通じて提供されます。Android 16ではYUV 422カラーサンプリングと10ビットエンコーディングを提供し、最大2Gbpsのターゲットビットレートに対応するAPV422-10プロファイルのサポートが実装されます。
◯カメラの夜間モードのシーン検出
夜間モードのカメラセッションに切り替えるタイミングをアプリが把握できるようにAndroid 16ではEXTENSION_NIGHT_MODE_INDICATORが追加されました。サポートされている場合はCamera2内のCaptureResultで使用できます。これは「Android Developers Blog: How Instagram enabled users to take stunning Low Light Photos」という投稿で近日公開予定として簡単に触れたAPIです。この投稿では夜間モードを実装する方法に関する実践的なガイドであり、高品質のアプリ内夜間モード写真とアプリ内カメラから共有される写真数の増加を結び付けるケーススタディーも含まれています。
<縦書きテキスト>
Android 16ではテキストを縦方向にレンダリングおよび測定するための低レベルのサポートが追加され、ライブラリーデベロッパー向けに基本的な縦書きサポートが提供されます。これは縦書きシステムをよく使用する日本語などの言語で特に役立ちます。新しいフラグ「VERTICAL_TEXT_FLAG」がPaintクラスに追加されました。Paint.setFlagsを使用してこのフラグを設定すると、Paintのテキスト測定APIは水平方向の進みではなく垂直方向の進みを報告し、Canvasはテキストを垂直方向に描画します。ただし、Jetpack ComposeのText、TextView、Layoutクラスとそのサブクラスなどの現在の高レベルテキストAPIは縦書きシステムをサポートしておらず、VERTICAL_TEXT_FLAGの使用もサポートしていません。
val text = "「春は、曙。」"
Box(Modifier
.padding(innerPadding)
.background(Color.White)
.fillMaxSize()
.drawWithContent {
drawIntoCanvas { canvas ->
val paint = Paint().apply {
textSize = 64.sp.toPx()
}
// Draw text vertically
paint.flags = paint.flags or VERTICAL_TEXT_FLAG
val height = paint.measureText(text)
canvas.nativeCanvas.drawText(
text, 0, text.length, size.width / 2, (size.height - height) / 2, paint
)
}
})
{}
<アクセシビリティー>
Android 16ではすべての利用者にアプリを届けられるように新しいユーザー補助APIが追加されました。
⚪︎補足説明
ユーザー補助サービスがViewGroupを記述する場合にその子ビューのコンテンツラベルを結合します。ViewGroupにcontentDescriptionを指定すると、ユーザー補助サービスはフォーカスできない子ビューのコンテンツもオーバーライドしていると想定します。これはユーザー補助の現在の選択内容(「Roboto」など)を保持しながらドロップダウンなどにラベルを付ける場合(「Font Family」など)に問題が生じる可能性があります。Android 16ではsetSupplementalDescriptionが追加され、子ビューの情報をオーバーライドせずにViewGroupに関する情報を提供するテキストを提供できるようになりました。
⚪︎必須フォームフィールド
Android 16ではAccessibilityNodeInfoにsetFieldRequiredが追加され、アプリはユーザー補助サービスにフォームフィールドへの入力が必須であることを伝えることができるようになりました。これは必須の利用規約のチェックボックスのような単純なものであってもさまざまな種類のフォームに入力する利用者にとって重要なシナリオであり、利用者が必須フィールドを一貫して識別して素早く移動するのに役立ちます。
<汎用レンジングAPI>
Android 16には新しいRangingManagerが含まれており、サポートされているハードウェア上でローカルデバイスとリモートデバイスの間の距離と角度を決定する方法を提供します。RangingManagerはBLEチャネルサウンディング、BLE RSSIベースの測距、UWB、Wi-Fiラウンドトリップ時間などのさまざまな測距技術の使用をサポートしています。
<行動の変化>
Androidのリリースごとにプラットフォームの効率性と堅牢性を高め、システムパフォーマンスやバッテリー寿命などとアプリのニーズのバランスを取ることをめざしています。その結果、互換性に影響する動作の変更が生じる可能性があります。
⚪︎ART内部の変更
Androidランタイム(ART)の内部構造を活用するコードはAndroid 16を実行している製品やGoogle Play システム アップデートを通じてARTモジュールを更新する以前のAndroidバージョンでは正しく動作しない可能性があります。これらの構造はARTのパフォーマンスを向上させるように変更されています。
影響を受けるアプリは更新する必要があり、内部構造に依存すると常に互換性の問題が発生する可能性がありますが、ARTの変更は製品が実行しているプラットフォームのバージョンに関連付けられておらず、Google Play システム アップデートを通じて10億台を超える製品に配信されるため、内部ART構造を活用するコード(またはコードを含むライブラリー)依存しないようにすることが特に重要です。
詳細についてはすべてのアプリに影響するAndroid 16の変更点と非SDKインターフェースの制限をご覧ください。
⚪︎予測バックアップには移行またはオプトアウトが必要
Android 16以降をターゲットとし、Android 16以降ので実行されているアプリの場合には予測的なバックシステムアニメーション(ホームに戻る、クロスタスク、クロスアクティビティー)がデフォルトで有効になっています。また非推奨のonBackPressedは呼び出されず、KeyEvent.KEYCODE_BACKはディスパッチされなくなりました。
アプリが「戻る」イベントをインターセプトし、予測的な「戻る」にまだ移行していない場合はサポートされている戻るナビゲーションAPIを使用するようにアプリを更新するか、アプリの AndroidManifest.xml ファイルの
⚪︎3ボタンナビゲーションのプレディクティブバックサポート
Android 16では適切に移行したアプリの3ボタンナビゲーションにプレディクティブバックのサポートが導入されました。戻るボタンを長押しするとプレディクティブバックアニメーションが開始され、戻るボタンでどこに移動するかをプレビューできます。この動作はシステムアニメーション(ホームに戻る、タスク切り替え、アクティビティー履歴)を含む予測的な戻るアニメーションをサポートするシステムのすべての領域に適用されます。
⚪︎固定レート作業スケジュールの最適化
Android 16を対象とする前はscheduleAtFixedRateが有効なプロセスライフサイクル外であるためにタスク実行を逃した場合にアプリが有効なライフサイクルに戻ると、逃したすべての実行が直ちに実行されます。Android 16をターゲットとしている場合にはアプリが有効なライフサイクルに戻ると、最大1回のscheduleAtFixedRateの実行ミスが直ちに実行されます。
この動作の変更によってアプリのパフォーマンスが向上することが期待されます。動作をテストしてアプリケーションに影響がないことを確認してください。アプリ互換性フレームワークを使用し、STPE_SKIP_MULTIPLE_MISSED_PERIODIC_TASKS互換フラグを有効にすることでテストすることもできます。
⚪︎順序付きブロードキャストの優先度スコープはグローバルではなくなりました
Android 16では異なるプロセス間でのandroid:priority属性またはIntentFilter#setPriority()を使用したブロードキャスト配信順序は保証されません。順序付けされたブロードキャストのブロードキャスト優先度は、すべてのシステムプロセス間ではなく、同じアプリケーション プロセス内でのみ尊重されます。
さらにブロードキャストの優先度は自動的に範囲 ( SYSTEM_LOW_PRIORITY + 1、SYSTEM_HIGH_PRIORITY - 1) に制限されます。プロセスが相互に調整する必要がある場合は他の調整チャネルを使用して通信する必要があります。次のいずれかの場合にアプリが影響を受ける可能性があります。
(1)アプリは同じインテントに対してブロードキャストレシーバーの優先順位を設定した複数のプロセスを宣言しています。
(2)アプリプロセスは他のプロセスと対話して特定の順序でブロードキャストインテントを受信することを期待します。
⚪︎Gemini拡張機能
Galaxy S25シリーズで新しいGemini Extensionsをリリースし、AndroidアプリをGeminiのパワーと統合する新しい方法を示しました。さらに多くのフォームファクターでこの機能を利用できるように取り組んでいます。
🎉 Android 16Beta 1 is here! Check out the newest changes including Adaptive Apps, Live Updates, and the APV codec!
— Android Developers (@AndroidDev) January 23, 2025
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記事執筆:memn0ck
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