GoogleがAndroid 16 Beta 3をリリース!Pixel 6以降で利用可能に

Googleは13日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 16(開発コード名:Baklava)」( https://developer.android.com/about/versions/16 )における一般向けベータ版「Android 16 Beta 3」を公開したとお知らせしています。

すでに同社が展開する「Pixel」ブランドの「Pixel 6」および「Pixel 6 Pro」以降のスマートフォン(スマホ)やタブレット「Pixel Tablet」にて「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )からネットワーク経由によるソフトウェア更新(OTA)で導入できるほか、ファクトリーイメージやOTAイメージも配信開始されています。

Android 16 Beta 3はビルド番号が「BP22.250221.010」、Androidセキュリティーパッチレベルが「March 2025」、Google Play servicesが「25.07.33」となっているほか、初の安定版(Platform Stability)となったことからAPIレベルもこれまでの「Baklava Beta 2」から「API 36」となりました。またPixel製品以外でもAndroidエミュレーターでも試せ、エミュレーターではx86(64bit)およびARM(v8-A)がサポートされています。

なお、同社ではAndroid 16については今年は早めにリリースすると案内しており、正式版は2025年第2四半期(4〜6月)にリリース予定で、さらに今年後半の第4四半期(9〜12月)に新しいAPIを含むAndroid 16の正式版以降の機能更新や最適化、バグ修正が行わるマイナーリリースも予定されています。なお、Android 16 Betaについてはこれまで通りにPixelスマホ以外の他のメーカーの製品についても今後順次、各メーカーから提供される見込みとなっています。

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Android 16は現在の最新バージョンの「Android 15」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、Googleではこれまで基本的に新しいAPIとSDKを伴う1年に1回のペースでメジャーアップデートを実施してきましたが、すでに紹介しているように今後はSDKのリリースをより頻繁に行うことが明らかにされ、まずは来年の2025年に新しいAPIを備えたメジャーリリースとマイナーリリースの2つのリリースを計画していることが発表されていました。

このうちのメジャーリリースがAndroid 16の最初のバージョンとなり、すでにAndroid 16の開発者向けプレビュー版の最初のリリースとなるAndroid 16Developer Preview 1が昨年11月に公開されており、その後も昨年12月に開発者向けプレビュー版の第2弾となるAndroid 16 Developer Preview 2がリリースされ、さらに今年1月にはAndroid 16の初のべータ版となるAndroid 16 Beta 1、そして今年2月にAndroid 16 Beta 2がリリースされていましたが、今回、当初のスケジュール通りに順調にAndroid 16 Beta 3がリリースされました。

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Android 16 Beta 3ではAndroid 16では初の安定版となり、APIがフィックスされてアプリ向けの動作が最終版となったため、Android 16をターゲットにしたアプリを今すぐGoogle Play ストアにアップロードできるほか、新たにセキュリティー機能とユーザー補助機能についてもアップデートがあるということです。なお、引き続いてさまざまな変更が行われているため、それらの影響を完全に把握するには多くの人からフィードバックが不可欠だとし、Googleでは試した人はフォードバックを送るように要望しています。

<放送音声サポート>
音響面でのアクセシビリティーを向上させる取り組みの一環として互換性のあるBluetooth LE Audio補聴器を使ったAuracastブロードキャストオーディオをサポートするようになりました。Bluetooth LE Audioの規格に基づいて構築されたAuracastによって互換性のある補聴器やイヤホンを使って空港やコンサート、教室などの公共の場から直接オーディオ ストリームを受信できるようになります。このテクノロジーの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

<テキストのコントラストを最大限に高めるアウトラインテキスト>
視力の弱い人はコントラスト感度が低いことが多く、背景から物体を区別することが困難なため、このような人をサポートするためにAndroid 16 Beta 3ではこれまでの高コントラストテキストに代わるアウトラインテキストが導入され、テキストの周囲に大きなコントラスト領域が描画されて読みやすさが大幅に向上します。

Android 16には新しいAccessibilityManager APIも含まれており、アプリでリスナーをチェックまたは登録してこのモードが有効になっているかどうかを確認できます。これは主にComposeなどのユーザーインターフェース(UI)ツールキットが同様の視覚体験を提供するための仕組みで、UIツールキットライブラリーを維持している場合、またはアプリがandroid.text.Layoutクラスをバイパスするカスタム テキスト レンダリングを実行している場合にはこれを使用してアウトラインテキストが有効になっているかどうかを確認できます。

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Android 16の新しいアウトラインテキストアクセシビリティー機能の前後でコントラストが強化されたテキスト

<ローカルネットワーク保護を使用したアプリテスト>
Android 16 Beta 3 では将来のAndroidメジャーリリースで予定されている「ローカルネットワーク保護(LNP)」機能をテストする機能が追加されました。これにより、ローカルネットワーク上の製品にアクセスできるアプリをより細かく制御できるようになります。現在、インターネット権限を持つアプリはのローカルネットワーク上の製品と通信できますが、LNP機能では最終的にはアプリがローカルネットワークにアクセスするために特定の権限を要求することが義務付けられる予定です。

なお、Android 16 Beta 3ではLNP機能はまだオプトインとなっており、アプリをテストしてローカルネットワークアクセスに依存する部分を確認することが可能で、アプリのLNP機能を制限するにはadbコマンドによって「adb shell am compat enable RESTRICT_LOCAL_NETWORK 」を実行します。実行後に再起動すると、アプリのローカルネットワークアクセスが制限されます。

またローカルデバイスとやり取りする可能性のある機能(デバイスの検出、メディアのキャスト、IoT デバイスへの接続など)をテストし、アプリが必要な権限なしでローカルネットワークにアクセスしようとすると、EPERMやECONNABORTEDなどのソケットエラーが表示されます。さらにローカルネットワークアクセスを再び有効にする方法など、詳細についてはこちらをご覧ください。

これは重要な変更であり、Androidの開発チームではスムーズな移行を確実にするために開発者と協力することに尽力する必要があり、開発者は今すぐテストしてフィードバックを提供することによってよりプライベートで安全なAndroidエコシステムの構築に協力できるため、是非試して欲しいとしています。その他、アプリの開発者はAndroid 16への互換性をチェックする必要があるため、以下の主な変更点を確認すべきだとしています。

特にSDKやライブラリー、ツール、ゲームエンジンを開発している場合は下流のアプリやゲームの開発者が互換性の問題でブロックされないようにし、最新のSDK機能をターゲットにできるようにするために必要なアップデートを今すぐ準備することがさらに重要だとのことで、Android 16を完全にサポートするためにアップデートが必要な場合は開発者にお知らせするように案内しています。またテストにはGoogle Playなどの手段を使用し、Android 16 Beta 3で動作している製品またはエミュレータに製品版アプリまたはライブラリーやエンジンを使用するテストアプリをインストールすることが含まれます。

アプリのすべてのフローを調べて機能または動作の問題を探し、動作の変更を確認してテストの焦点を絞ります。Androidの各リリースにはプライバシーやセキュリティー、全体的なユーザー体験(UX)を向上させるプラットフォームの変更が含まれており、これらの変更がアプリに影響を与える可能性があります。Android 16をまだターゲットにしていない場合でも適用される焦点を絞るべき変更点がいくつかあります。

・JobScheduler:Android 16ではJobSchedulerの割り当てがより厳密に適用されます。アプリが最前面にある時やフォアグラウンドサービスが実行中である時、アクティブなスタンバイバケット内にある時にジョブが実行されると、割り当てが適用されます。またsetImportantWhileForegroundは「no-op」になりました。新しい停止理由STOP_REASON_TIMEOUT_ABANDONEDはアプリがジョブを停止できなくなったことが検出されたときに発生します。
・ブロードキャスト:優先順位を使用して順序付けられたブロードキャストは同じプロセス内でのみ機能します。プロセス間の順序付けが必要な場合は他のIPCを使用します。
・ART:リフレクションやJNI、その他の手段を使ってAndroid内部にアクセスすると、アプリが壊れる可能性があります。これは決して良いことではないため、徹底的にテストしてください。
・インテント:Android 16ではインテントリダイレクト攻撃に対するセキュリティーが強化されています。インテント処理をテストして絶対に必要な場合にのみ保護をオプトアウトしてください。
・16KBページサイズ:アプリが16KBページサイズに対応していない場合は新しい互換モード フラグを使用できますが、最高のパフォーマンスを得るには16KBに移行することをオススメします。
・アクセシビリティ:announcementForAccessibilityは非推奨です。推奨される代替手段を使用してください。
・Bluetooth:Android 16では再ペアリングが行われる方法に影響するBluetooth結合の損失処理が改善されています。

アプリがAndroid 16をターゲットにすると影響が出るその他の変更点は以下の通りです。互換性テスト中はアプリが使用しているライブラリーとSDKを徹底的にテストすることを忘れないでください。問題が発生した場合は最新のSDKバージョンに更新するか、開発者に問い合わせてサポートを受ける必要がある場合があります。Android 16互換バージョンのアプリを公開したらアプリのtargetSdkVersionを更新するプロセスを開始できます。アプリがAndroid 16をターゲットにしている場合に適用される動作の変更を確認し、互換性フレームワークを使用して問題を迅速に検出します。

・UX:変更点にはエッジツーエッジオプトアウトの削除、予測バックの移行またはオプトアウトの要求、エレガントなフォントAPIの無効化が含まれます。
・コア機能:固定レート作業スケジュールが最適化されました。
・大画面:向き、サイズ変更、アスペクト比の制限は無視されます。レイアウトがさまざまなアスペクト比のすべての向きをサポートしていることを確認してください。
健康とフィットネス:健康とフィットネスの権限に変更が実装されました。



記事執筆:memn0ck


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