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Android Oneはスマホのスタンダードになり得るか!?Y!mobile向け「507SH」の説明会を紹介

既報通り、ソフトバンクおよびウィルコム沖縄は5日、携帯電話ブランド「Y!mobile」の「新製品に関する記者説明会」を都内で開催し、日本国内向けでは初投入となる「Android One」シリーズの防水・防塵対応スマートフォン(スマホ)「507SH」(シャープ製)を2016年7月下旬に発売すると発表しました。

もともと新興国向けのアップデートプログラムとして展開が開始されたAndroid Oneですが、現在はその立ち位置を拡大して各国・地域に合わせた「Nexus」シリーズのようなGoogleが提唱するスマホの「リファレンスデザイン」的な存在になっています。これまで日本ではAndroid Oneの製品は発売されておらず、この507SHが国内初となります。

本記事では説明会でのプレゼンテーションの模様を紹介し、Y!mobileの狙いなどを解説します。なお、507SHの性能や機能についてはすでに紹介している写真・動画レポート記事をご覧ください。

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低価格路線+Android OneでY!mobileに追い風?


■低価格戦略と、その先へ
説明会の冒頭からスライドを前に解説を行ったのはY!mobile事業推進本部の寺尾洋幸本部長。まず切り出したのはY!mobileのこれまでの販売戦略やその状況について。

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Y!mobile立ち上げの苦労などを語る寺尾氏

これまでY!mobileでは携帯電話市場で不満が集中していた「スマホは高い、難しい、よく分からないけど“こわい”」という点について注力し、料金プランのシンプル化や低価格化によって敷居の高さを和らげる戦略をとってきました。

特に料金プランをS、M、Lの3つに絞り、細かなオプションプランや分かりづらいサービスなどを徹底的に排除・統合した施策は市場で一定の評価を獲得、2015年にはスマホ料金満足度No.1に選ばれています。

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料金プランに対する消費者の反応は素直だ


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Y!mobileを「スマホデビュー」の携帯電話会社に選んだ人も少なくない

低価格路線は料金プランだけではなく端末でも徹底し、一見「型落ち」とも揶揄されがちな2013年発売の「iPhone 5s」を2016年になってから販売開始したところ、想像以上の反響で3月には前年比260%、4月には前年比280%の販売台数を達成。

寺尾氏は「学生の間でのiPhoneの認知度は凄い。中学生の頃は『まだ早い』と言えたスマホも高校生になると抑えきれなくなる。そこで、親が選択するのは安く使えるiPhone。iPhone 5sの販売を発表した時メディアの反応は『いまさらiPhone 5sなの?』とイマイチだったが、これが見事に当たった」と資料を指差しながら語気も強めに語りました。

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最新・最高性能のスマホばかりが求められているわけではない


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今年に入ってからスマホの販売台数が飛躍的に伸びている


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伸びているのはiPhoneばかりではなくAndroidも堅調だという


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他社と比較するとY!mobileのAndroid比率は高い

一方で「安売りだけで勝負できるのは3年が限界」とも語り、「格安だけを売りにしていては市場で生き残れないと当初から考えていた」とも。同時にY!mobile自体の認知度の低さについても「Y!mobileを知っている消費者は大手キャリア(携帯電話会社)に比べて4分の1程度」と語り、認知度の低さが販売戦略のネックになっている点に言及しました。

そこでY!mobileでは今年からこれまででも最大規模でテレビCMなどを打ち出し、キャリアとしての認知度の向上に注力。その上で今回の507SHを掲げ、安売りだけではない「オンリーワン」にもチャレンジしていることをアピールしたい狙いもあるということです。

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「1980(イチキュッパ)ショック!」のCMは観たことがある人も多いだろう


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Yahoo! JAPANとの連携もさらに強化していく


■世界標準と日本仕様の「いいとこ取り」の507SH
後半ではいよいよAndroid Oneについて解説。Google Android & PlayビジネスディレクターのKara Bailey氏が登壇し、世界標準となるユーザーインターフェース(UI)の採用やOSのアップグレード保証など、ユーザーがより安心して使える環境の構築が重要であると強調。日本でのこれからの展開に自信を見せていました。

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終始笑顔でAndroid Oneの魅力を語るBairey氏


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507SHを片手に自信の表情を見せる寺尾氏


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Android One最大の特徴がOSのアップデート保証だ


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先日発表されたばかりの次期バージョン「Android 7.0 Nougat(ヌガー)」にも対応予定


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セキュリティーアップデートもGoogleが行う


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標準UIや標準アプリも使いやすく改良された


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AndroidのUIや端末に対するユーザー満足度も確実に向上している

507SHはAndroid Oneとしての安心感と日本メーカーによるローカライズの妙が光ります。寺尾氏は507SHを手に「非常に良い製品ができた」とし、「ミドルクラスでも防水・防塵やワンセグなど、ユーザーのニーズを叶えつつAndroid Oneとしての魅力を詰め込めた」と述べました。

また、Y!mobileとしてAndroid One(507SH)をiPhoneとともに戦略の柱としていく考えも明らかにしました。

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消費者のニーズに合わせた端末を用意することは重要だ


■シンプルな端末と料金プランをMNOの品質で
NTTドコモやau、ソフトバンクなど大手キャリア(MNO)による寡占状態は通話・通信料金の高止まりを生み、事実上市場競争が働かない状況となったことからここ数年は格安の仮想移動体通信事業者(MVNO)への関心も高まってきました。そのような中でMNOでありながらシンプルで分かりやすい格安プランを提供し続けているY!mobileの存在は特異であり、自社で回線を持っているメリットも再注目され始めています。

特に大手キャリア各社でスマホを購入した場合、不要なアプリやオプションへの加入などが煩わしいと感じることも少なからずあり、シンプルな端末をシンプルな料金で使いたいというニーズは常に存在しています。

507SHはまさにそういった層へ訴求する製品であり、Y!mobileのMNOとしての回線やサービス、サポートなどの品質の高さも含め、他の大手キャリアのみならず格安を売りとしたMVNOに対するアドバンテージにもなるのではないでしょうか。

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プレーンなAndroid端末を使いたいという層にもオススメの機種になりそうだ




記事執筆:あるかでぃあ


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