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カメラ機能が大きく刷新されたシャープの最上位スマホ「AQUOS R9 Pro」をしばらく使って気が付いた点を解説! |
既報通り、シャープが展開する「AQUOS」ブランドにおけるフラッグシップスマートフォン(スマホ)「AQUOS R」シリーズの2024年モデルの上位機「AQUOS R9 pro」が2024年12月より順次発売されました。現時点ではオープン市場向けメーカー版(いわゆる「SIMフリーモデル」)「AQUOS R9 pro(型番:SH-M30)」とNTTドコモ向け「AQUOS R9 pro(型番:SH-54E)」が販売されています。を13日以降、順次販売を開始しています。
AQUOS R9 proは「AQUOS R6」以降と同様にドイツの光学機器メーカー「Leica(以下、ライカ)」監修によるカメラ機能を搭載していますが、これまでのライカ監修のAQUOS Rシリーズではリアカメラがシングルカメラ(+補助センサー)構成だったものの、今回はトリプルカメラ仕様となるなど、大幅な刷新が図られたモデルとなり、これまで以上に「カメラフォン」らしい姿となっています。
筆者もメーカー版のAQUOS R9 pro SH-M30を購入し、前回の記事では開封して外観や同梱品、プリインストールアプリなどの基本機能を紹介していましたが、後半となる本記事ではベンチマークアプリによる大まかな性能の紹介や本機を使う・選ぶ上でのポイント、カメラでの撮影した写真の作例などをお送りします。
【ベンチマークアプリで大まかな性能を確認】
最初はベンチマークアプリで、本機の性能がどれほどのものかをざっくりと確認してみましょう。計測には端末の全体的な性能を計る「PCMark」と、主にゲームアプリの快適な動作に関係する3D描画機能をチェックする「3DMark」をそれぞれ使用します。計測方法としてはそれぞれのアプリでインターバルを置きながら3回ベンチマークを実行し、取得したスコアの中央値を採用します。そして採用したスコアをランキング内の近似値と比較することで大まかな機能を確認します。
計測前に基本的なスペックをおさらいしておきましょう。SoC(System On Chip)はQualcomm製の廉価ハイエンド向けSnapdragon 8s Gen 3(3.0GHz+2.8GHz × 4+2.0GHz × 3:オクタコア)に動作メモリは12GB RAM(仮想メモリをさらに+12GBまで拡張可)、画面解像度は1,440 × 3,120ドット(QHD+)となっています。(ただし、本機は画面解像度を変更でき、初期設定では画面解像度は1,080 × 2,340のFHD+に設定されており、この設定のままを採用します。)

画面解像度設定は設定の「ディスプレイ」の項目から変更できます。
以上を踏まえて本機のベンチマークをとっていきます。
〇PCMarkで全体的な性能を測る
まずは、ブラウジングやマップアプリやメールといった端末全体の動作能力を計測するPCMarkで計測してみました。結果がこちらとなります。

PCMarkでのAQUOS R9 proの取得スコアとランキング内の近似値付近
参考値となる中央スコアは15,866点で、ランキング内を見てみると近いスコアを見てみると「Xiaomi 14 Pro」や「Galaxy Z Fold5」など十分にハイエンド級と言って差し支えないでしょう。
〇3DMarkで3D描画処理機能を測る
続いて3DMarkにて本格的なゲームアプリの快適な動作がどれだけできるかをチェックします。3DMarkのベンチマークには「Steel Nomad Light」を使用しています。

3DMarkのベンチ結果と近似値のスコアランキング
3DMarkの計測結果がこちらになります。参考となる中央値のスコアは1,071点(といっても高い方のスコアが1,072点ですが)を採用。ランキング内の近似スコアの中には「Google Pixel9シリーズ」のスマホや「Galaxy S23シリーズ」の他、国内未発売なものの同一のSoCを搭載しているモトローラモビリティ製のハイエンドモデル「Motorola Edge 50 Ultra 5G」の姿が確認できます。
AQUOS R9 proのSoCにはSnapdragon 8s Gen 3を採用していることもあり、現在の最新世代最上位のSnapdragon 8 Eliteや同世代最上位のSnapdragon 8 Gen3と比較してしまうとやや低いスコアとなってしまいますが、それでも大抵のゲームアプリは最高品質とはいかないまでも、高品質くらいの設定で快適に動作できるでしょう。(ちなみにSnapdragon 8 Elite搭載のランク最上位クラスは2,500点越えの文字通り別次元の世界に入っています。)
ベンチマークアプリで計測してみた結果としては「最上位級のウルトラハイエンドやゲーミングモデルには及ばないものの、準ハイエンド級の使い心地とそれなり以上のゲーミング性能はしっかりと確保している」とった感想です。
【AQUOS R9 proのチェックポイント】
AQUOS R9 proは先代モデルのAQUOS R8 proから変わった点がいくつかあり、使っていくにあたって覚えておいた方が良い点がいくつかありますので、筆者が特に気になった点を挙げておきたいと思います。・リアカメラのトリプルカメラ化にあたって撮影時の感覚が変わった
R6以降のLeica協業のカメラを搭載したAQUOS Rシリーズはシングルカメラ仕様で、広角からズームまでを一つのカメラで賄ってきましたが、今回のR9 proではF値の異なる3つ(F値2.2の広角・F値1.8の通常・F値2.6望遠)のカメラで分けるようになったため、十分な明るさの無い場所や暗所の撮影はオート設定ではノイズが乗ったりしやすくなるので、注意が必要です。(マニュアルでシャッター速度を調整するなどでカバーは可能です。)
また、動画撮影においてはR8 proでは対応していた8K動画撮影はできなくなっています。(今のご時世、8K動画の再生環境自体がかなり少ないですが)
ライカ協業のシャープのAQUOS Rシリーズのカメラにはライカのレンズの名前の一つ、SUMMICRON(ズミクロン)の名前が冠されていましたが、トリプルカメラ仕様となったことで、「VARIO-SUMMICRON」(複数のSUMMICRON)となっています。(余談ですが、同じくライカ協業カメラを搭載しているXiaomiのライカカメラ搭載モデルには「VARIO-SUMMILUX」の名前が冠されています)

カメラ部に印字された「VARIO-SUMMICRON」の名称
・シャッターボタン新設
トリプルレンズ化に並ぶ、本機が本格的なカメラスマホとしたポイントの一つで、実際に撮影時にシャッターを切るのにはもちろん、キーを押し込むことで直接カメラアプリを起動することができます。これにより、さらにコンパクトカメラ的な使い方もできるようになったように筆者は感じます。

半押しによるフォーカス固定も可能なAQUOS R9 proのシャッターキー。
・ネットワーク接続においてミリ波非対応
NTTドコモ版R8 pro SH-51Dではn257のミリ波に対応(ソフトバンク版のR8 proは元々非対応)でしたが、R9 proはNTTドコモ版、メーカーモデル共々ミリ波非対応となっています。チップセットとしてはミリ波に対応(Snapdragon 8 Gen3と比べると若干速度は劣るものの)しているはずですが、国内の広い範囲でミリ波に対応した地域がまだ多くなかったり、コストカットなどの面から対応を見送ったものと思われます。
ミリ波の恩恵を大きく受けていたユーザー(それほど多くないと思いますが)にとっては、大きなスペックダウンのポイントとなりますので、該当する方は注意しておくといいかもしれません。
・メモリーカード非対応
AQUOS R9 proは先代モデルのR8 proの倍となる512GBの本体ストレージを搭載していますが、その一方で外部メモリーカードが非対応となりました。
写真の撮影やゲームアプリを中心とした利用なら、512GBもあれば困ることはそれほどないとは思いますが、動画の撮影(特に4K解像度60fpsモードで撮影)をがっつりと行う使い方をしているとあっという間にストレージが食い尽くされてしまいます。
そのため、スマートフォンで動画撮影をメインにバリバリ使うのであれば、USBストレージを考慮したり、外部ストレージを備えた他のハイエンドモデルのスマートフォン(Xperia1シリーズくらいしか今はほとんどありませんが)を考慮した方がいいかもしれません。筆者として個人的に一番気になった要素がこの点です。
・イヤホンジャック非搭載
前述のメモリーカード非対応と同様に昨今のハイエンドモデルでは搭載が見送られていることの多い機能の一つで、R9 proになってついに非搭載となってしまいました。また、有線イヤフォンをアンテナケーブルとして利用することで実装していたFMラジオ機能も削除されています。
イヤホンとしての利用だけでなく、(変換アダプタを併用しない限り)イヤホンジャックに差し込むタイプのレリーズ(撮影時にシャッターを切るリモコンの一種)が使えなくなる点と、筆者にとっては自宅で有線ヘッドフォンをそのまま挿せない(筆者は自宅内ではゴツめのヘッドフォンをスマホに差し込んで利用することが多いので)点が気になります。
個人的にはいっそのこと、フルスペック(USB4相当)のUSB Type-C端子を2基搭載するなどしてくれれば、それでギリギリ妥協してもいいかなぁ、とは思ってますが。
【AQUOS R9 proの写真の作例】
最後に筆者がAQUOS R9 proで実際に撮影した写真の作例をいくつか掲載いたします。写真は全てオート設定をリサイズのみ行っています。(モノクロ撮影はマニュアルモードにして、彩度設定を最低値の-5にしたうえで、他の項目は全てオートで撮影)
AQUOS R9 proに限った話ではありませんが、AQUOS RシリーズにはモノクロフィルターやLeica Monochromeモードなどがなく、モノクロ撮影を行う時は、マニュアル撮影モードにして彩度の設定を最低値に落とすことで可能です。










AQUOS R9 proにて実際に撮影した写真(リサイズのみ)
【しばらく使って感じたまとめ】
AQUOS R9 proはスペックのみの点で見た場合は、同世代のゲーミングモデルや、フラグシップハイエンドなどのウルトラハイエンド級のスマートフォンと比較した場合においては及ばない部分も少なくありません。一方で、今後の改善の余地もあるとはいえ、写真の撮影機能にトップクラス級に位置するスマートフォンであることも間違いありません。
また、R8 Proからは大幅な仕様変更もあってか、R8 proを使っていた感覚そのままとはいかず、多少の慣れも必要な部分もあります。それでも、あれこれと写真を撮るととっても楽しい「カメラ特化型スマートフォン」となっています。
性能の高いハイエンドの中からなんとなく選ぶようなスマートフォンではなく、「指名買いでどっぷりと使い込んでいくのが楽しい」1台となっています。
気になった方は是非、ホットモックのあるお店で実際に触って確かめてみてくださいね!
![SHARP AQUOS R9 pro 12GB/512GB ブラック(B) ライカ監修 カメラシステム[SIMフリースマホ] SH-M30AX-B](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/hikaritv/cabinet/plala/201/01255/2010125591_k.jpg?_ex=128x128)
SHARP AQUOS R9 pro 12GB/512GB ブラック(B) ライカ監修 カメラシステム[SIMフリースマホ] SH-M30AX-B
記事執筆:河童丸
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